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例えば物理でいうエネルギー保存則やニュートンの法則のように、心理学は何を基礎として学問を発展させてきたのでしょうか?
また、統計を取る事で「心」をわかろうとする試みは本当に正しいのでしょうか?(物理的統計学とは別に それだけならしょうがないですが)

A 回答 (5件)

心理学の基礎となる理論や法則ですか。


昔はいろいろあったようです。

例えば20世紀前半にアメリカで隆盛を極めたワトソンの行動主義では、
「条件反射」を生物の行動の基本原理と考えており、
条件反射の組み合わせにより、
人間を含む生物の全ての行動は説明できると考えました。
しかし、現在では条件反射を絶対的な原理と考える人はいません。
方法論としての行動主義は、
今でもアメリカの心理学の中心的な研究パラダイムですが、
条件反射だけで行動を説明できるとは考えていません。

さらにさかのぼって、
現代の心理学の祖とされる19世紀のヴントの心理学においては、
人間の心理を可能な限り細分化し、
心の構成要素を探ることが目的とされました。
つまり、
全ての物質が原子からできているのと同じように、
心の最小単位を探そうとしたのです。
(ちなみに、この時点では素粒子などはまだ発見されていませんでした。)
ヴントの実験では、
人間の心は「単純感情」と「純粋感覚」という心的要素に分解できるとされましたが、
これまた、現在ではこの考えをとる人はいません。

また、一般の人々にはフロイトの精神分析が有名だと思いますが、
フロイトは、人間の心の中に、
自分では気付くことのできない「無意識」の領域があると主張しました。
そして、その無意識の内容を探る方法として、
「夢」や「自由連想」を解釈するという「精神分析」が考えられたのです。
フロイトは精神分析によって人間の無意識を解明できると考えたわけですが、
これは言ってみれば経験の学問であって、
科学的な裏づけは全くありません。
日本で有名なユングという学者も、基本路線はフロイトと同じですので、
同じく科学的な裏づけはありません。
はっきり言うと、心理学全体の中では、
フロイトやユングは亜流です。

他にも、心理学の歴史を見てゆくと、
数々の基本原理が考えられ、研究され、消えています。
心理学は学問としての歴史は浅く、
まだまだ不完全な学問なのです。
現在の心理学の方法論では、
(隣接領域である精神医学や神経生理学の方法論でも、)
人間の心の基本原理を見出すことは、おそらく不可能です。
ここ10年ほどは、
複雑系の考えを取り入れた研究などが多く見られるようになっています。
言い換えると、人間の心の構造は「複雑系」であり、
単純な原理での説明は不可能であると考えられるようになってきているのです。

では、心理学がどのような研究を行っているのかというと、
他の回答者の方々もおっしゃっている通り、
人間の「行動パターン」の解析を通じ、
人間の「機能」もしくは「メカニズム」を探ることに主眼が置かれています。
もちろん、研究できるのは、
限られた状況における限られた行動パターンです。
しかし、これを積み重ねることにより、
限定的ではあるものの、
人間の行動に対する客観的な視点を得ることが出来ます。
大げさに言えば、人間性に関する、
新たな視点を得ることになるのだと思います。

もう一点、
統計で人間の心を研究することの是非についてですが、
これに対しては、現時点では私は「是」と答えます。
統計というのも一つの方法論であり、限界はあります。
しかし、
その限界を理解した上でなされた研究は、
その再現性を確かめることが出来ます。
つまり、客観性を保証できます。
また、
統計を用いる際には、
測定方法や測度に対して妥当性のチェックが行われますから、
数量的というだけでなく、
概念的にも客観性の高い研究が出来ます。
(逆に言うと、統計を使わない研究は、
 主観的で思い込みの塊のような研究になりがちです。)
もちろん、統計こそ最良の方法だと考えているわけではありません。
現在の心理学では、統計を適用できる範囲に限界があるために、
心理学の研究自体が限定されてしまうというジレンマを抱えています。
しかし、現時点ではそれに勝る方法が見出されていません。
(ただし、科学を標榜する学問であれば、他の研究分野でも、
同じようなジレンマを抱えているのではないかと思います。
数学という枠の中でしか、
客観性を表現できないことが多いわけですから。)
ということで、
統計は、限界を知った上で使う分には、
悪くない方法だと思っています。

補足ですが、
他の方々もおっしゃっているように、
統計は統計であり、
統計以上のものではありません。
この方法によって人間の心のある側面を、
「統計的に」知ることは出来ます。
しかし、統計的に知るということは、
ある確率分布を知ることを意味するだけですので、
目の前にいる人の行動や考えが、
一般的な確率分布に従うとは限りません。
もし心理学で誰の心でもわかるようになってしまったら、
心理学者は対人関係には悩まないですむでしょうね。
ついでに言っておくと、
統計のことを真面目に勉強しなかった心理学科の学生などは、
なまじ心理学の知識を持ちつつ、
統計の限界を知らないものだから、
心理学の知見は絶対的事実であるかのように
考えてしまう人がいます。
はっきり言うと、
これでは心理学を勉強したことになりません。
トリビア心理学を知ってるだけですね。
(現実には、大学院生などでも、
統計の使い方が滅茶苦茶な人がたくさんいますけどね・・・。)
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簡単にお答えします.



その名の通り心理学は「心」の「理(ことわり)」に関す
る学問です.ご存じの通り「心」そのものには直接触れた
り,観察したりすることができません.その簡単には扱う
ことのできない「心」をどう捉えるかということが,これ
までの心理学の歴史的変遷でもあります.現代心理学のほ
とんどは,「心=行動」と捉えたうえで,自然科学の手法
を用いることによってそれらを数量化→統計処理して解明
しようとしているのです.


>統計を取る事で「心」をわかろうとする試みは本当に正
しいのでしょうか?

このような疑問を持たれることはごもっともで,感情的に
「心を測ることなんてできない!」という人も少なくはあ
りません.しかし,そうしなければ現状では,各自が
「心」について言いたいことを言い,より主観的な議論ば
かりが横行することになります.そうなればもう学問とは
いえませんよね.
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観察と、その考察によって説明付けをしていました。

しかし、脳や神経の研究、また、遺伝情報の解読など『基礎医学』の進歩により、より、科学的な解明が進んでいます。

しかし、化学物質の受け渡しから「人の『心』がわかるのか?」という疑問(批判)から、その研究領域にもよります。

スティーブン・ピンカー (著),  山下篤子 (訳)
   『人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か』(上)(中) NHKブックス

参考URL:http://books.yahoo.co.jp/bin/detail?id=31419496
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No.1の方の回答にもあるように、心理学も物理学と同様、仮説を立て、それを調査・実験してみる実証科学として発展してきました。


ただ、どうしても人間心理には
>エネルギー保存則やニュートンの法則
のようにキレイな大理論、グランド・セオリーは中々ありません。もっと細々とした経験的な法則を積み重ねる手法が主だと思います。

>統計を取る事で「心」を
何を目的にするかによる、と思います。
例えば「人間はどのような条件の時に不注意になりやすいか、を調べて事故の発生を防ぐ」研究なら、実験結果を統計的に処理するのはとても有効です。
しかし「目の前にいるこの子が不登校で苦しんでいる、という問題をいかに解決するか」では統計的なアプローチは、限定的にしか役に立たないでしょう。

あるいは別の言い方をすると、「心をわかる」などという大それた(?)ことを指向している心理学者はいない、と思います。それぞれの専門分野で
「人間の思考や行動にはこういう傾向(法則)があり、それが判れば、現実社会ではこう役に立つ」という事をできるだけ客観性を持たせながら研究している、という姿勢だと思います。
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物理も心理学も、現象の観察と、結果の分析、仮説の構築というプロセスを基礎にして学問を発達させてきたのだと思います。


統計を取ることで心をわかろうとする試みについてですが、これも物理を例にとって考えてみます。
たとえば私がボールを投げた場合、そのボールが放物線を描いてどこに落下するかは現在の科学で簡単に予測可能です。
しかしながら、ボールを構成する量子の一つの状態を予測することはできません。
心もこれと同じではないでしょうか。
ひとりひとりの心を完ぺきに理解することはできません。しかしながら全体としての傾向を理解することはできます。この知見は実際に応用できるわけで、それは学問として十分に意義のあることだと思います。
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