1. 市民社会と公民圏との二階建て構造なる国家という社会形態を採ったとき 社会
のあり方を 次のみっつの種類に分けてみた。
(α) 対話型:日本社会
(κ) 民衆暴君型:アフリカ型社会
(ω) 競争型:西欧社会
2. 以下にこれを説明した文章をかかげます。その中から 韓国社会については む
しろこの《アフリカ的段階》なる要素を色濃く持っているのではないかとたづねてみま
す。
*
§ 0 用語の設定
3. 社会形態は いやしくも国家と称するようになるならば 市民たちの第一階とそ
して公民圏としての第二階とから成ると考えられ この一階と二階との社会力学的な関
係――つまり支配かまたは共同自治か――のあり方によって 市民一般の生活のありさ
まや生活態度としての思想やが かなりの程度において規定される。こう考えます。
市民圏= 第一階: S 圏: 市民 S
公民圏= 第二階: A 圏: 公民 A
これら互いの力学関係: A ‐ S 連関制・・・(α)
こういう用語で説明して行きます。
§ 1 国ゆづり型としての A‐S 連関制
4. 日本における国家は 《国ゆづり》型であるゆえ 市民 S らは おとなしい。
もともとおとなしく けんかをするほどに仲良しであった。
5. その中から出た公民 A らは 特に優秀であったゆえ 人びとは社会というヤシ
ロにも特別な神棚をこしらえてやりもっぱらその空中庭園に住まわせた。この神棚と
しての第二階にまつりあげたことになる。そういうクニユヅリである。
6. 優秀であるうえに品行方正で申し分のないほど人間的な人間たちであったが
ただひとつ玉にきずなのは つねに人びとから注目を浴びていなければ落ち着かない。
お山の大将型であったことだ。
7. 市民らは かれらに根負けして それならと言うので神棚をわざわざこしらえ
て そこを棲み処とさせた。人権を限定するような檻に住まわせたと言えるのだけれ
ど これが のちのち或る意味でわざわいともなった。
8. 市民 S らの中には この第二階への出世志向が流行り病いのごとく起こり(=
アマアガリ・シンドローム) ひとつには とうとう A 者公民たちにこびへつらうよ
うになり ひとつには ゆすり・たかりをはたらき甘い汁を吸おうとするようになる
者が出た。
9. このお二階さん志向――そして別様に言えば お上意識;つまりは アマテラ
ス予備軍症候群――が絡んでくると 仲間どうしのあいだでも いざこざが絶えなく
なる。
10. 簡単に言ってこういうわけで 市民 S 者のあいだには まっすぐな心持ちに
もとづく行動と どこか歪んだところのある振る舞いと それら両面が見られること
になる。
§ 2 A と S とが《競争型》なるその連関制
11. つまり西欧の市民 S は そして公民 A も 誰もがおのれの中にお二階さん
志向(または アマアガリ欲望)を持つ。すなわちひとりの個人がその内面において
あたかも《 A = S ( A と S との一体)》としての市民 S であり この市民 S が同
じく《 A = S 》としての公民 A と成るという傾向を有する。こう推し測られる。
12. すなわちこの競争型とは
(ω) 欧米型(または遊牧民型): A ( A=S ) ∽ S ( A=S ) 連関制
である。相似形の記号( ∽ )の意味は つねに転覆(回転=レヲ゛リューション)
が起こり得るということを表わす。
13. 言いかえるとその社会では 第一階においてすでに 《人は人に対して狼な
り。( Homo homini lupus. )/ 万人の万人に対するたたかい( bellum omni con-
tra omnes. )》という市民(《 A = S 》なる市民 S )どうしの意識の流れが関係
し合っている。
14. そのような個人としての・ワタシとしての意識が互いに日常においてすらも
対立しがちである。そしてそのいわゆる弁証法的展開が ふつうに見通されているの
ではないか? 《意識の流れ》なる人間関係において《意識の対立と均衡》が目指さ
れる。
§ 3 (α)および(ω) 両者の比較対照
15. 日本市民が このアマアガリ志向に対して《くにゆづり》をしたと言うとき
それは非戦論であり そうだとすれば それに対して欧米市民は 主戦論に立つもの
と考えられる。
16. 土地に縄を張って ここはおれのものだと宣言したとき 言葉たくみににし
ろ力づくでにしろ その土地を獲ってしまえば 自分のものになると考える傾向なの
だろうか。
17. 日本市民は これこれはおれのものだと主張するときに どういうかたちに
しろ争うことは 人間の弱さから来ると考え それならと言って 非戦論を採った。
いちどゆづったら 相手やそのものを神棚に挙げてしまったのだから おいそれとは
返せと言えない。言わない。おとなしい。ただ それだけのことだと考えられる。
18. ただしそのアマアガリ・シンドローム(末は博士か大臣かの出世症候群)の
感染具合いに応じて 波風の立つこともある。
§ 4 さらに三つ目の A - S 連関制
19. これは 《アフリカ的段階》と呼ばれるもので ひとことで説明するなら
市民らに絶対主権があるようなかたちである。
(κ) アフリカ型:S (=じつは A ) ∽ A 連関制
20. 次の説明による。
◆ (『アフリカ的段階について』 ヘーゲルを解剖学した世界観?) ~~~~
http://y-bat.txt-nifty.com/doyo/2009/01/post-8de …
マルクスはインド・ヨーロッパ語圏の外にアジア的共同体を見出したが、吉本〔隆
明〕は そのアジア的段階より前の段階としてアフリカを見出している。
( a ) そこには殺生与奪権を独占し自由に行使できる王(☆ A )がいる。
( b ) しかし、民衆(☆ ――《〈じつは A 〉なる S 》――)は豊穣と生活の
保障と引き換えに王(☆ 権力)を認知しているのであって、不作や疫病があれば
王は民に殺されてしまう。
( c ) 生命の等価交換(という原始的なシステム)の上に成り立っていた頃の世
界が そこにはある。
( d ) 民衆(☆ 個人 S とその共同性)と王(☆ 権力と象徴=アマテラシテ
amaterasity )は等価なのだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
21. このアフリカ型(κ)は 特に( b )の特徴にかんがみて 民衆暴君型で
ある。日本は対話型(α) 西欧は競争型(ω)であろうか。
22. 暴君民衆(κ)の場合 大統領が辞めたあと そのおこなった不正を暴き
地に落とす。日本が敗戦国になったのを見ると 自分たちはあたかも戦勝国である
かのように 日本を何が何でも――しかるべき適切な批判とそれに尾ひれをつけた
〔だけではなく火のないところに煙を立たせる〕中傷誹謗とによって――どぶの中
に落とす。か?
23. 焦点は 歴史認識のもんだいではないように思えます。
民衆( S =じつは A )のたましいの在りかが問われているのでは?
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