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 よく何かをしようというときに、いろいろな団体や人が集まって「○○実行委員会」というのを作ると思うのですが、この団体は、法的に見れば、「権利なき社団」ということになり、法人格もない任意の団体ということになります。
 この実行委員会に対し、たとえば損害賠償の訴訟が起こされ、所有財産以上の額の支払い命令判決(たとえば所有財産が120万円なのに300万円の支払命令)が出た場合、法人のような「破産宣告」に類する行為を行い、不足分を免責にするということは可能でしょうか。
 また、可能でない場合、実行委員会の構成員の支払い義務はどのようになるのでしょうか。
 どなたか法律に詳しい方、ぜひよろしくお願いいたします。

A 回答 (3件)

 法人の破産の場合は一般的には最終配当が行われ、裁判所の「破産終結決定」が下されますと、裁判所が法人登記簿に「破産終結」という登記をします。

これにより「法人」は最終的に消滅し、この世の中から消えてなくなったことになります。権利義務の帰属主体である「法人」そのものが消えてしまうのですから、その債務も存在しないことになります。他方、「自然人」の場合には破産が終わっても死亡してしまうわけではありません。その存在は残りますから、「免責」によって残債務を消してやることになります。「権利能力なき社団」につきましても、破産宣告されますと、その社団については総有財産だけがその責任産となります。それで、確保されなかった債務を、構成員各自が直接に取引の相手方に責任を負うものであるかは、学説上は通説は認めませんが、営利団体では認め、非営利団体では認めない有力説もあります。判例は、通説のとおり、認めていません。設問では、破産宣告を受ければ、構成員の支払い義務はないことになります。

参考URL:http://roppou.aichi-u.ac.jp/scripts/cgi-bin/hanr …
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この回答へのお礼

 質問を出してからほとんど時間もたたないうちに回答をいただき感激しています。実は今回の質問は、私がこの「おしえてgoo」に登録して初めての質問だったのです。パソコンをあまり知らない私が、この質問をするために四苦八苦しながら登録を終え、ニックネームも何も知らないという意味で「不知男」としました。質問を打ち込んでいる最中は、「こんな質問には誰も答えてくれないかもしれないなあ」と半信半疑でした。ですから、今回のご回答は涙が出るほどうれしいです。今後私も答えられる質問にはできるだけ答えていこうと思いました。(情報公開と個人情報の保護の分野については少しだけ知識があります。)
 shoyosiさん、今回は本当にありがとうございました。

お礼日時:2001/08/02 11:21

この種の問題は、学説上、様々に説が分かれております。

ここでは判例の考え方を中心にご説明いたします。


人の集まりが、その集まっている個人個人を離れ、団体として独自に存在するものとして認識できるような実態が備わったものを「社団」と言います。
一方、ある目的をもって集まってはいるものの、あくまである目的のために個人個人の契約によって集まったものにすぎず、各個人を離れ、団体として独自に存在するとは言えないような団体を「組合」と言います。

上記の「社団」の中で、公益目的で営利目的を有しておらず、主務官庁の許可(民法34条)を得たものが『公益法人』であり、営利目的を有し(商法52条2項)、一定の手続きを済ませたものが『営利法人(会社)』です。

「社団」としての性質は有しているものの「法人」としての要件を備えていないものを「権利能力なき社団」と言います。

しかし、「権利能力なき社団」と「組合」との区分けは非常に難しく、個々の事例に合わせて判断すべきであると考えられております。

但し、そのどちらであるにせよ、その代表者または管理人の定めのあるものは、その名において訴え、または訴えられることができるとされ(民事訴訟法29条。最判昭37年12月18日)、訴訟上の当事者能力が認められております。


このうち、まず「権利能力なき社団」からご説明いたします。
「権利能力なき社団」というためには、「団体としての組織を備え、多数決の原則が行われ、構成員の変更に関わらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理など団体としての主要な点が確定していることを要する。(最判昭39年10月15日)」とされております。

「○○実行委員会」が、上記要件を満たし、「権利能力なき社団」であると判断される場合、その社団の資産は「構成員に総有的に帰属するもの(最判昭32年11月14日)」とされ、「権利能力なき社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、その社団の構成員全員に、一個の義務として総有的に帰属するものであり、構成員各自は、取引の相手方に対し、直接には個人的責任を負わない(最判昭48年10月9日)」と解されております。

従って、「権利能力なき社団」の債権者は、その社団の資産に対してのみ強制執行等の手続きをとることができるだけです。
この「権利能力なき社団」が、「破産宣告(破産法126条1項)」を受け、社団財産が「破産財団(同法6条)」となった場合には、債権者は、その破産財団から配当を受け得るのみとなります(破産法15、16条など)。
ですから、ご質問の設例の場合、債権者は、社団資産の120万円に対してのみ、配当を受けることができることになります。


一方、「○○実行委員会」が、民法上の組合の性質を有するものである場合には、事情が全く異なります。

この場合、各組合員は、利益が出た場合のみならず、損害が発生した場合にも、その出資の価額に応じて各組合員は配分して責任を負うものとされており(民法674条)、債権者は組合財産のみならず、各組合員の個人財産に対してもその権利を行使することができ(民法675条)、しかも、組合財産に対して先に権利行使をしなければならない必要はなく、先に各組合員に対して権利行使をすることもできるものと解されております。

ですから、ご質問の設例の場合、債権者は、組合財産120万円に対して先に権利行使をし、残債権180万円につき、各組合員に対してその出資価額に応じた割合で請求しても良いですし、最初から、300万円全額に対して各組合員に対して出資価額に応じた割合で請求しても良いことになります。
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この回答へのお礼

 大変丁寧なご回答ありがとうございました。わかりやすく説明していただき、よく理解することができました。また、具体的な判例も入れていただき大変参考になりました。
 今回私が質問したケースでは、zatsunennさんのご説明から判断すると、「組合」ではなく「権利能力なき社団」ということになりそうです。
 zatsunennさんだけでなく他にご回答をいただいたお二人も含め、法に詳しい方が会員にいらっしゃるということは本当に心強い限りです。
 今回は本当にありがとうございました。

お礼日時:2001/08/02 11:47

理論的にはzatsunennさんが詳細に解説しておられるので私は実務上でお話しします。


まず、その損害賠償請求の訴状を提出する場合、当事者適格証明書はどのようなものでしょうか? その証明書がなかったり適当でなければ口頭弁論以前に「却下」となる可能性が強いと思います。仮に、そうでなくてもその委員会の一人が原告である場合など勝訴が非常にむつかしいと考えられます。
次に、仮に、勝訴したとしても実際に強制執行はどのようにするのでしよう。銀行預金口座名も、その債務名義に記載された名称なら結構ですが、最近では口座開設時に資格証明書など必要ですから、これまた、実際の強制執行が困難と思われます。そのようなわけで質問のように次々と進行して行かないと思います。
私なら、被告を「○○実行委員会」としないで、その構成員全員を被告とし、共同して支払え、と云うような訴状でします。そうした場合誰に請求してもかまいませんから債権回収に現実的と思われます。
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この回答へのお礼

 早速のご回答ありがとうございます。大変参考になりました。ご回答中「私なら」以降の記述は実務面で特に参考になりました。
 質問からさほど時間もたっていないというのにご親切な回答をいただき、tk-kubotaさんには心から感謝いたします。
 本当にありがとうございました。 

お礼日時:2001/08/02 11:58

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