No.3ベストアンサー
- 回答日時:
「電場に置かれた電荷に加わる力がクーロン力」ではありません。
相互作用の捉え方には遠隔作用論と近接作用論があります。相互作用する物体同士が直接力を及ぼすと考えるのが遠隔作用論、物体の間にある「場」を通して力が空間をじわじわ伝わって行くと考えるのが近接作用論です。一言で言うと、電気力の遠隔作用的な捉え方がクーロン力、近接作用的な捉え方が電場です。そして電場とクーロン力の間にはNo.2 の方が述べているような関係があります。こう書くと遠隔作用でも近接作用でも大した違いはないように思われるかもしれませんが、大変な違いがあります。電荷が電場を作るとすると電荷の周りには自分自身が作る電場があり、それが自分自身に力を及ぼすと考えざるを得ません。そして点電荷の自己相互作用による質量を計算すると無限大になってしまうのです。すると近接作用論より遠隔作用論の方が良いように思われるかもしれませんが、現在電磁相互作用にせよ、重力にせよ近接作用の立場を取る人の方が圧倒的に多数であり、遠隔作用論を捨てていない人はごく少数です。相対性理論ができてから遠隔作用論は極めて旗色が悪くなりました。遠隔作用論では同時刻の物体の間に無限大の速度で力が伝わりますが、相対性理論では同時刻という概念は座標系に依存する相対的なものに過ぎないし、光速を超える速度は許されません。電磁場は力を記述するための手段ではなく、実体であることを示唆する事実がいろいろあります。例えば運動する電荷の間に働く力には一般に作用・反作用の法則は成り立ちません。運動量保存則は電磁場の運動量まで入れなければ成り立たないのです。また重力も近接作用論である一般相対論が作られ、遠隔作用論(ニュートンの重力理論)は近似に過ぎないと考えられるようになりました。しかし近接作用論には自己エネルギーが宿命の様にまとわりついて来ます。「理論の本来の目的は他の物体との相互作用を計算することにあったはず。自己相互作用など考えないことにすれば良いのではないか。」と思われるかもしれませんが事はそう簡単ではありません。自己相互作用を考えなければ論理的に首尾一貫しないのみならず、自己相互作用が確かにあると言う事実があるのです。電磁波の放射によるエネルギーの減衰を計算するためには場からの反作用を入れる必要があります。また電子の磁気能率が自己相互作用がないと仮定した場合と異なる「異常磁気能率」と呼ばれるものもあります。いったいどうすれば良いのか。ファインマンはさんざん悩んだ挙げ句、ついに「相互作用のうち半分は時間を逆向きに進む」というまるでSFみたいな理論を作ったほどです。念のため言っておくとファインマンはオカルトなどではなく、20世紀最大の物理学者の一人です。点電荷でなく、広がったものを基礎理論にとり込むにも大変な困難を伴います。現在、近接作用論が一般に受け入れられています。それは量子論を考慮してもやはり「発散の困難」は残るが繰り込み理論によって処理できるからです。以上長々と書いてきましたが結論は「電気力は電場によって記述すべきである。クーロン力は静電場の場合だけ通用する便宜的なものに過ぎない。」と言うことになります。この他、もっとプラグマティックな観点からも電場による記述が勧められます。参考書に書かれていた内容と合わせて、電場について理解を深めることができたと思います。場についての知識が不十分で、クーロンの法則と電場を混同していましたが、おおよその電場についての概念は理解(と言ってもまだまだですが・・・)できたと思います。後半のほうに記述されていた、近接作用論において自己相互作用が働くのかどうかについてですが、これを先生に聞いたところ、自己相互作用は無視しろといわれました。確かに大学の試験では、そこらへんの議論をすると講義時間が足りなくなるから、そのように言ったのでしょう。
わかりやすいご回答ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
クーロンの法則は、2つの電荷に働く力ですよね。
F=(1/4πεr^2)×q1・q2
また、1つの電荷q2は電界(電場)を作ります。
E=(1/4πεr^2)×q2
この2つの式の関係は、
F=q1・E
となりますが、最初の式で見直すと、q2が電場Eを作ってそこに電荷q1をもってくると、力Fが働いていることと同じですよね。
F=q1・Eの場合のEが電場で、いつもq2の電荷が電場を作っているわけではありません。
この場合は、電場Eに電荷q1をおくと、q1はクーロン力Fを受ける、となります。
分かりにくかったらすみません。。。
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