No.2ベストアンサー
- 回答日時:
条文を素直に読むと、お子様の質問のとおりでしょう。
質問自体は、決して変な内容と思われます。実際、憲法制定時前後は、最高裁以外では憲法判断をすることはできない、という考え方もなくはなかったようです。
しかし、憲法判断は裁判官の職務・職権であって、下級審裁判所の裁判官も行える、そして、憲法81条は、最高裁判所が、憲法判断をする「終審の」裁判所である、すなわち、最後の段階の裁判所である、ということを意味するものだ、と考えられます(説明の方法がいくつかありうるのですが、当の最高裁の説明のしかたは、大雑把にいって、こういう説明のしかたであろうと思われます)。なお、訴訟についてのルールを定める民事訴訟法・刑事訴訟法にも、下の裁判所が憲法判断をすることを想定していると読むことの出来る規定があります(たとえば、民事訴訟法については、312条1項、刑事訴訟法については、405条1号をご覧ください)。
ですから、裁判所ならば、その事件を解決する限度で憲法判断をすることができるのですが、その中でも、最高裁判所の判断が、終局的な判断なのだ、と理解すれば、さしあたり大丈夫なのではないかと思います。
参考になれば、幸いです。
No.7
- 回答日時:
No.6です。
権力分立は、国家権力(立法・行政・司法)を一つの機関に集中させないことによって権力の濫用を阻止しようという制度ですね。議院内閣制は、イギリスなどから広まった制度ですが、議会に対する信頼が前提となります。つまり、議会は国民の意見を反映するもので、少数の意見も尊重する場であるという信頼です。この制度においては、仮に行政権が権力を濫用しようとした場合は、議会が法律をもってこれを阻止することになります。(この制度でも、議会の地位の低下により人権の保障を司法が担うようになっていきました。)
これに対し、アメリカは、議会に対する歴史的に不信(イギリスによる圧制)があるため、厳格な三権分立をとり、司法が行政と立法を監視しています。アメリカ型は、行政と立法が完全に独立しているといわれ、国民に選ばれた大統領は議会に席を置かず法案提出はできない代わりに、議会の法案に対し拒否権を持っています。
日本は議院内閣制をとっているのですが、議院内閣制は「行政と立法が不完全に独立している」といわれます。制度上は国会が首相指名権、内閣不信任決議権を持ち、内閣は国会の解散権を持っていますが、政党政治により第一党党首が首相になる以上、政変でもない限り行政と立法が馴れ合う関係になります。日本の場合、政権交代もほとんどありませんから、司法による監視も甘くなります(なぜなら、内閣が最高裁長官の指名権を持っているからです)。
議院内閣制による三権分立の維持は、議会の成熟、民主主義の成熟にかかっているということでしょうか。つまり、国民がいかに正しい代表を選ぶかということだと思います。
次に、「国」とは何か、ということですが、これは難しいですね。国際法的、形式的に考えれば、国家とは、領土・国民・主権の三要素がなければならないことになりますが、実質的に考えれば国家とは何でしょう?
領土の中に国民がいれば、そこにルールが必要になり、統治者と被統治者が生まれます。国家権力というと、上に挙げた立法・行政・司法があります。
例えば、なぜ国会の作った法律が私たち国民を拘束するのでしょうか。それは憲法に国会が立法機関であると定められているからです。内閣も裁判所も憲法に規定されているからこそ存在し機能しています。そして、憲法は主権者たる国民が定めたものです。簡単に言えば、主権者である私たちが、私たちの生活を豊かに、そして円滑に機能させるために権力というものを認め、そして、それら権力は私たちが認めた範囲内において私たちを拘束しているということです。
すべての出発点は個人の尊厳(憲法13条)にあります。個人を尊重し、国民に自由主義を保障するために、統治手段として民主主義を採用し、時に暴走する権力を監視するために三権分立、違憲審査権などの制度を取り入れているのです。個人の尊厳が目的であって、統治機構などの制度はそれらを達成する手段なのです。
もっぱら日本国憲法についての話になってしまい、国とは何かという根本的なところはあまり分からないのですが、世界には様々な政治形態があり、その中には独裁政治の国もあります。これは一応国家ですが、そこに住む人たちは恐らく個人の尊厳を保障されていないでしょう。もちろん、民主主義が万能の制度ではありませんが、そこに住む人たちの意見を最も反映しやすいベターな制度であることはいえると思います。
日本国憲法は国際協調主義を採っており、世界中すべての人の尊厳が保障されなければならないとしています。個人の尊厳や権利というのは、憲法に書かれているから保障されているのではなく、人として生まれながらに持っているものです。それを国家との関係において犯されないように明文化したものが憲法です。国家とは何かを突き詰めれば、個人の尊厳を守るために存在しているものではないでしょうか。
まだまだ勉強不足で分かりにくい文章になってしまいました。すいません(汗)。
ありがとうございます。
読み応えがありました。
(議院内閣制でないと 大統領制とかでしょうか?)
小学校の教諭がこんな感じのことを 小学生にわかるくらいで話せると良いのですが・・・。
(「国」がわからずに 「愛国心」を教育できる教師はいないと思うのですが・・・。)
ところで、またまた こどもが聞いてきました。
「国連憲章には 平和のために兵力を使うことがあるって書いてあるのに なんで 日本は国連に参加したの?国連も日本を参加させたの?」とのこと・・・。
(小六法の後ろのほうの 国際連合憲章がものめずらしくて読んだようです。)
歴史的背景とか あるんでしょうね・・・。
No.6
- 回答日時:
皆さん仰られるとおり全ての裁判所に違憲審査権が与えられています。
この点については最高裁判所において判断が出されたことがあります。「本条は下級裁判所が違憲審査権を有することを否定する趣旨を有するものではない。」(最高裁大法廷判決昭和25年2月1日)
日本の違憲審査制は付随的審査制といって、具体的事件が発生したときに初めて裁判所が事件を審査できると解釈されています。
一審段階でも違憲判決をすることももちろん可能ですし、具体的な法律のみでなく、立法の不作為(国会が、不平等を是正するための法律をあえて制定しないこと、あっても憲法の要請する水準にないなど、憲法の要請を立法が行わないこと)を審査することも可能であると有力に主張されています(下級審では認める判決もありますが、意見は分かれています)。
具体的には、4年前の熊本地裁で以下のような判決があります(ハンセン病訴訟)。
「遅くとも昭和40年以降に隔離規定を改廃しなかった国会議員の立法上の不作為につき、国家賠償法上の違法性を認めるのが相当である。」(熊本地判平13.5.11)
これはニュースでも大きく取り上げられた有名な判決です。また、これは一審判決で確定しました。
以上のように違憲審査は一審で確定することもあります。しかし、裁判所は一般的に違憲判断を下すことに消極的です。特に自衛隊や米軍駐留の違憲判断についてなど政治性を持つものは、合憲とも違憲ともせず、憲法判断を避ける傾向にあります(最近の下級審はそうでもありませんが)。
しかし、小5にして、そのような憲法上の論点について気が付くなんて、法律のセンスがあるのではないでしょうか。
ありがとうございます。
いろいろとあるのですね。
========================
三権分立も習ったようです。
「内閣総理大臣が国会議員から選ばれているから 不思議。三権平等じゃないんだね」って 議院内閣制も不思議がっていました。
習っているのが「日本の国のしくみ」の項目で、いろいろと話しているうちに「パパ、『国』って何?」って聞いてきました。
これは 参った。担任に質問しても 答えられそうにないし、こどもがいやみを言われそう・・・。
No.5
- 回答日時:
No.2の回答のものです。
>決して変な内容と思われます。
気がつきませんでした!
変な内容と思われない、と述べるつもりだったのに!今再読して気がつきました。本当に失礼いたしました。
質問者の方にたいへんいやな思いをされたかと思います。申し訳ございませんでした。お詫び申し上げます。
質問自体はまったく変なものだとは思われません。
No.4
- 回答日時:
すべての裁判所が憲法判断をする可能性を持っています。
実際憲法の判例では最高裁以外(高裁や地裁)の判決が重要な判例となっているものもあります。なぜそういいきれるかというと、そもそも裁判官の職責を考えてみてください。
>憲法第七十六条3項
>すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
ここでいう「裁判官」は当然最高裁判事に限られません。
すべての裁判官は「憲法」に基づいて裁判をしなければならないわけですから、これは当然のことといえます。
地方裁判所の裁判官だからといって、憲法違反の法律を見過ごして判決することになれば、この憲法の規定に真っ向から矛盾しますね。
また
>一審、二審で控訴しないで決まっちゃたら
それまでです。
というのも日本の違憲法令審査権(法律などが憲法に違反しているかどうかを判断する権限)は「付随的審査」が原則だからです。
日本における違憲判断は原則その事件限りの判断なので、事件が最高裁まで上らなければ、たとえ最高裁で違憲と判断される可能性のあった法律に基づいた判決が出たとしてもそれまでです。
このことはNo.1の方の回答と関わっています。
この81条は最高裁が「最後に控えている」憲法判断する裁判所であるといっているわけです。
3番目のバッターに打席が回らなければ最高裁はバットを振らないわけです。そのかわり3番目のバッターが空振り(合憲判決)しようがホームラン(違憲判決)を打とうが試合はそこまで。これが最高裁が「終審裁判所」であるという意味です。
No.3
- 回答日時:
ご質問の要旨は、最高裁以外の裁判所でも、いろいろと「決定」しているが、憲法81条で、その決定は最高裁だけではないか?
と云うことでいいですか?
それでしたら、その「決定」の趣旨が違います。
前者の趣旨は裁判の形式には「判決」「決定」「命令」とありますが、その中の「決定」を指します。
一方、憲法81条で云う決定とは、法律用語の決定ではなく、単に「決める」ことを云います。
これは、もともと憲法が最高法規としている所以で、他の裁判所が、例え、ある法律にしたがって判決したとしても(決定でも同じ)その判決が憲法違反かどうかを判定する最終裁判所としているのです。
ですから、例えば、一審で判決等が確定すれば最高裁の出番はなくなり、一審で確定判決となります。
No.1
- 回答日時:
81条
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則または処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
このように最終審が最高裁判所であると決めているだけです。法令などの違憲を問う裁判の被告はその法令、命令をした側なので、一審で違憲判決を認めるなんて(理論的に有り得ても)道義的に有り得ません。(一審で認めるようないい加減な審議で法令を作ったのか?って事になりますし、本当にそんないい加減に法令を作られては困ります。)
もちろん理論的には一審で違憲が確定する事も有り得るはずです。
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