No.3ベストアンサー
- 回答日時:
この問題を正しく理解するためには当時の国制について知る必要があります。
大日本帝国憲法によれば国の主権者は天皇です。しかし天皇という一個人が国政を行うのは不可能なので、立法は帝国議会に、行政は内閣に委ねられました。これらの機関は、主権者である天皇を補佐する権限と「責任」を委ねられたのです。
しかし、軍事は一般行政から分離され天皇自らが行うことになっていたので(統帥権の独立)、軍の運用について内閣が口を挟むことは許されませんでした(日米開戦の日さえ、直前まで内閣には知らされなかった)。
また、より大きな問題として軍部大臣現役武官制というものがありました。これは陸軍大臣・海軍大臣を現役の軍人から選出する制度です。現役の軍人には軍の現状を熟知し軍人に対して睨みが効く利点があるものの、内閣が軍の意向に反する政策を行おうとするとき、軍の意向を代弁する抵抗勢力となりました。内閣の意志は閣議で決定されます(全会一致、現在でも同様)が、軍部大臣が抵抗すれば意志決定ができません。さらに悪いことに、当時、内閣総理大臣には閣僚を罷免する権限はなく、抵抗勢力を排除することもできなかったのです。結局、軍部に歩み寄って妥協するか、閣内不一致(意志決定不能=総理の責任)で総辞職するしかありません。
また、軍部にとって好ましくない人物が総理になる場合、大臣要員を選定しないことによって組閣不能(流産)にさせることもできました。
これらの問題は、個々の軍人の責任ではなく、制度上の欠陥として指摘されるべき事項です。
もうおわかりでしょう。
軍は、統帥権の独立と軍部大臣現役武官制という当時の制度により大きな発言権を確保した(与えられていた)のです。226や515は単なるきっかけにすぎません。大日本帝国憲法体制自体に軍部の独走を許す制度上の欠陥があったのです。
No.2
- 回答日時:
軍隊は上意下達が原則でその大本である統帥権は天皇にあり侵すべからざるものでした。
しかし実際は天皇の名のもとに行われるだけでした。
2.26などの事件は軍部内の派閥争いもからんだもので比較的自制のある皇道派が敗れ統制派が天下をとったので、軍部の独断専行の歯止めがきかなきなりました。
事件そのものは天皇の奉勅命令で収拾されましたが軍部の独走はそのままでした。
軍隊はそもそも戦争を目的にする組織です。 その上皇軍不敗の信念を持つ思想団体でもありました。
(海軍はもう少し計数的な考えだったようですが)
軍国主義に走るのは必然だったのです。
No.1
- 回答日時:
軍国主義の台頭はなにも2.26や5.15からいきなり始まった訳ではありません。
私は更にその前の日露戦争後にはその萌芽があると考えています。それこそ、絶対勝てない相手であったはずのロシア帝国に勝利した日本。なかでも作戦立案で圧倒的な成果を挙げた参謀本部。そのメンバーは陸軍&海軍大学校卒のエリート軍人です。彼らはその事に驕り学校の講義は日露戦争の勝利を題材とするようになりました。個人的には勝ち戦は何故勝てたのか?もっと効率の良い方法は無かったのか? 負け戦は何故負けたのか?他に良い方法は取れなかったのか?と言う教訓を引き出してくれると思うのですが、彼らは勝ち戦を模倣して自己満足に浸るだけだったようです。つまり彼らの進歩は日露戦争で止まってしまいました。
そうこうしていると、彼らは自分達の利益のみを追求するようになります。同じ学校の先輩と後輩関係や高級軍人どうしの婚姻による結びつきはそうした参謀本部の構成員グループの閉鎖集団化はそれに拍車をかけた事でしょう。 そのうち、彼らは国家予算の極一部(交際費や機密費といった名目)で自分達の支持基盤を作ります。現在の右翼はその流れを汲んでいますが、その右翼を使って世論を傾けて自己保身に突っ走る事もままありうる訳です。
2.26や5.15を起こした人達はれっきとした軍人です。彼らは当時の憲法では天皇に忠誠を誓う人々なのですが、そういった私利私欲に目が眩み、戦争や不必要な軍拡を阻止しようとしていた当時の政府首脳を大勢殺しました。当時の昭和天皇は激昂したそうです。天皇にしてみれば「朕の信頼してやまない重臣を殺された!!」と言った思いだったのでしょう。事件後この事件に参加した軍人は処分されています。この事からも両事件はテロでは無くクーデターや叛乱と分類されてしかるべきだと思います。
とはいえ、これでクーデターを起こした軍人と同じ考えの人達が居なくなったわけでは無く、逆に戦争回避の為に動いていた当時の政府の首脳はほぼ根絶され彼らと思いを同じくする人々もその動きが封じられてしまい、主流派と非主流派の立場が逆転する事になりました。
最後に、高橋是清 石原莞爾 栗林忠道 八原博通といた方々が常に国の舵取りしていたら戦争は回避されていたか、または戦争になってももっと別の終わり方だったかもしれないと個人的には思います。
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