マルクス主義とは何か、またそれを継承し発展させた人の思想を勉強したいと思っています。
しかし自分自身マルクスについてはよくわかっては折らず、また彼のの影響は哲学、文学、経済など非常に多岐にわたっているのでどこから手をつけていいかわかりません。
ですからマルクスの哲学や思想を理解するのに役立つ著作、入門書や研究書(哲学思想についての本をお願いします。彼の経済理論などにはあまり興味がありません。)を教えてください。
また、グラムシ、ネグリ、アルチュセール、ルカーチ、廣松 渉の思想にもマルクスと同じくらい興味を感じています。彼らの思想を理解する著作、入門書や研究書も紹介してください。
『「資本論」を読め』とかいわれても厳しいですが、彼らの思想をしっかり理解したいと思うので、それなりの分量と内容の濃さを持ったものをぜひ教えてください。
彼らの思想について色々と知っている方がおりましたら、ぜひ知恵をかしてください。よろしくお願いします。
A 回答 (7件)
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No.7
- 回答日時:
#6にお答えしようと思いますが、回答者同士でやりとりするのって、マナー違反にならないのかな?
僕は「マルクスならこう考える」しか読んでないので、的場氏の議論の理解が不正確かもしれませんが、いちばん気になったのは、氏が弁証法をヘーゲルのそれと近似なものと理解していて、マルクスには非弁証法的な側面もあるとしている点です。氏は繰り返しソ連流のマルクス主義を批判していますが、弁証法をヘーゲル流に理解する、という点は、ソ連流マルクス主義と同じです。そして、それに対置する氏の考え方は、ヘーゲル的な弁証法を用いている、という意味では同様の平板さを持つウォーラーステイン的なグローバリゼーション論です。
氏も触れているように、アルチュセールは「マルクスのために」の中で、ヘーゲル弁証法の平板さ・単純さを批判しています。しかし、アルチュセールもマルクス主義のヘーゲル主義化から抜け出ることに失敗したと僕は考えています。
マルクスが駆使した弁証法は、唯物論にもとづく現実分析によって、ヘーゲルの平板さを超えていると思います。最近、誰だったかが「複雑系」の概念の先駆をマルクスがなしたのだ、ということを書いているのを読みましたが、「複雑系」についての入門書を読んだ限りでは(その程度で「複雑系」を理解できたのか?というつっこみは覚悟しています)、「複雑系」の概念は、なお機械論的な平板さを免れておらず、マルクス弁証法は、「複雑系」の概念よりも豊かな複雑なものの理解・分析の方法を提示しているように思います。
的場氏のマルクスの非弁証法なるものの根拠を探すとすれば、マルクスによる単純な分析的方法(デカルト的な方法)の駆使だと思います。複雑な現実を理解するためには、単純な分析的方法から始まり、その総合を高度化していく過程で弁証法が駆使される、というのが「資本論」でマルクスがやっていることです。ヘーゲルやソ連流マルクス主義は、単純な分析的方法を低レベルのものとして切り捨てました。的場氏はヘーゲルやソ連流マルクス主義が弁証法だと思っているから、マルクスの方法を非弁証法と言うのでしょう。
あとは細かいことを言い出すと切りがないのですが、1つだけ最も重要なものをあげれば、国家=国民国家の役割の過小評価です。国家は、法による規律を通じて、「国家の形態での市民社会の総括」を行っており、政治的にはもちろん、経済的にも「国民経済」というべき単位を維持しています。的場氏も指摘するとおり、マルクスは「国民経済」(氏の用語では一国資本主義)を自己完結的な秩序とは見ていないのですが、経済学批判のプランで、まず一国の単位で資本の運動を解明し、その後、より複雑な概念である国家や世界市場を扱う、としていた(「資本論」はこの資本だけで終わっており、国家や世界市場に、「資本論」ほどの厳密さと体系性をもって取り組んだことはありませんでした)のには理由があります。グローバリゼーションが、「国民経済」の自律性を弱めているのは間違いありませんが、氏の議論がこれを実態以上に軽く見ているのは、ヘーゲル的な単純化だとだと思います。
マルクスは、アナーキズムと自分の理論の分水嶺を、共産主義社会実現のために必要なのは、「国家の廃止」なのか「労働者階級による国家の掌握」なのかだと繰り返し述べています。それを氏が否定しているわけではないのですが、しかし、資本が国家を否定する可能性にまで言及する(氏は必然とまでは言ってませんが)という国家の軽視は、実態に合わないと思います。グローバリゼーションが、国家間の力関係に応じて進められるだけでなく、政治・外交・軍事といった国家の力を使って、国家エゴ(主としてアメリカの)として進められていることも多いというが、渡辺治氏や後藤道夫氏が繰り返し指摘しているところです。(渡辺・後藤編「講座戦争と現代1 新しい戦争の時代と日本」大月書店)
そして、この国家の役割の軽視は、氏の共産主義観のアナーキズムへの傾斜を帰結します。傾斜は、完全に移行したということではありません。この氏の傾向は、宇野弘蔵的な資本主義理解(資本主義を国家を主要な契機としては必要としない)や、それにともなって国家を機械のような平板な機能体として理解する、というところからきていると考えます。
ここで述べたことは、#1にあげた見田石介氏や上野俊樹氏の著作をベースにしたものです。
No.6
- 回答日時:
#4です。
>「マルクスだったらこう考える」は光文社新書です。
申し訳ありません。手元にあるのに間違ってしまいました。
同書は、新書という特性上入門書にしか過ぎませんし、「マルクスを再読する」の半分弱の内容しか書かれてありませんね。
総論的で大枠を書いてくれていますので、氏の考え方の趣旨理解としては読みやすいとは思います。「マルクスを再読する」は、総論から各論へと発展させています。
>的場氏のマルクス解釈には違和感がありますが。
今後の参考のためにどのようなことか少しだけでも教えていただければと思います。(場違いかもしれませんが)
マルクス(に限らずですが)はあらゆる解釈のなされているので、未だ、これがもっとも彼自身の解釈に近い、というものが錯綜しているとは思います。
No.5
- 回答日時:
#4について
「マルクスだったらこう考える」は光文社新書です。
#3に関連してですが、「マルクスだったらこう考える」の巻末には、最近出たマルクス入門書のリストが載っています。
僕自身は、的場氏のマルクス解釈には違和感がありますが。
No.4
- 回答日時:
私も最近マルクスはおもしろいな~と思いながら、それに関する本を読んでいます。
すでに読まれているかも知れませんが、やはりおすすめは的場昭弘氏の
「マルクスだったらこう考える」岩波新書
「マルクスを再読する」五月書房
がマルクス論の先端と言えるのではないかと思います。
後は、ネグリの「帝国」や「”帝国”をめぐる五つの講義」などでしょうか。
私がマルクスをすごいなーと思うのは、その視点に三次元性を感じるからです。人間は本来二次元的な認識や視点に立って物事を考えますが、マルクスは物事を二次元的な見方やスポットを当てた見方をせずに三次元をそのまま三次元として受け入れているように思います。その点で非常に知性的に感じます。
No.3
- 回答日時:
おはようございます。
え~と、余計なお節介だと思いますが、
私も、最初の頃は何を読めばよいのか探していました。
色々読むうちに、巻末の資料や注釈から、次の本が、芋づる式にどんどん溢れてきます。最近は、どれが重要なのかどちらがより本質的なのか、選別してパスする方に苦労しています。
図書館等で、関係する本の中から、巻末資料の充実した本を借りれば、質問に出ている名前も一杯出てくるかと思います。
まずは、はじめることですね。
No.1
- 回答日時:
本当にマルクスとマルクス主義についてまったく知らない、という前提で書きます。
こんなこと知ってるよ、とは言わないで。エンゲルス「空想から科学へ」(新本屋で手に入るのは岩波文庫か新日本出版社のもの)
マルクス公認のマルクス主義の入門書です。最近はマルクスの盟友エンゲルスの入門書は「マルクス思想を俗流化した」と評判が悪いのですが、それはわかりやす過ぎて重みが感じられないからだと僕は考えています。マルクス自身が公認したことの重みは忘れるべきではないと思います。
エンゲルス「フォイエルバッハ論」(岩波文庫か新日本出版社)
やはりエンゲルスによるマルクス主義哲学の概説書です。
レーニン「カール・マルクス」(岩波文庫か新日本出版社)
ソ連崩壊以降、レーニンも散々な評価なのですが、短くて的確な要約は使えます。付録の「マルクス主義の3つの源泉と3つの構成部分」も使えます。
片桐薫編「グラムシ・セレクション」平凡社ライブラリー
グラムシの著作の断片をテーマ別に編集して読みやすくしたもの。編者の解釈に沿った編集は、僕的には違和感があるが、載せられているのはグラムシの言葉なので、グラムシ入門には使いやすい。
日本共産党的なマルクス主義ははやらないようですが、僕が勉強してきたのはそっちのほうなので、そういう系統の本を中心に紹介します。はやりの方は他の方がやってくださるでしょう。
不破哲三「科学的社会主義を学ぶ」新日本出版社
政治家である日本共産党議長の本の紹介というのは気が引けるのですが、マルクスも政治運動の指導者でした。いちばんわかりやすく、しかもマルクス主義の全体像を語ってくれています。経済理論も入ってますが、経済理論には関心なくても、この程度なら読めるのでは?
鯵坂真「科学的社会主義の世界観」新日本出版社
この著者は学者です。この人の近年の研究はぱっとしませんが、入門書はわかりやすいです。
浜林正夫「古典から学ぶ史的唯物論」学習の友社
この人も学者です。できるだけマルクスの言葉を引きながら、史的唯物論をわかりやすく説明しようとしています。
竹村英輔「グラムシの思想」青木書店
いろいろな系統のグラムシ解釈がありますが、どの系統の人にも共通するグラムシの入門書の定番です。ただし、古い本なので古本屋か図書館に行くしかないかも。
この後は研究書です。入門書と研究書には、難易度という点では、だいぶ隔たりがあります。
見田石介「資本論の方法」I・II(見田石介著作集3巻・4巻)大月書店
IIがまとまってます。Iは、IIの土台となった個別論文で、こっちの方が深いです。
山本広太郎「差異とマルクス」青木書店
無名ですが、異色の疎外論です。これも古い本なので、入手が難しいかも。
上野俊樹「アルチュセールのイデオロギー論」「イデオロギーとは何か」(「上野俊樹著作集1 経済学とイデオロギー」所収)
前者はアルチュセールの有名な論文「イデオロギーと国家のイデオロギー装置」(「アルチュセールの<イデオロギー>論」三交社がいちばん入手しやすいかな?)の研究で、後者がそれを踏まえて上野氏が自分の議論を展開したもの。
上野俊樹「アルチュセールとプーランツァス」新日本出版社(「上野俊樹著作集3 構造主義とマルクス主義」にも収録)
前項のは、アルチュセールを肯定的に評価したものだが、これは批判したもの。後半はアルチュセールの弟子筋のプーランツァスの批判。
不破哲三「史的唯物論研究」新日本出版社
不破氏のマルクス主義理論研究論文を集めたもの。グラムシについての論文もあるが、これは60年代の「構造改革論」(知らないだろうなあ?)のグラムシ解釈を批判し、グラムシ理論の問題点を指摘しただけのものなので、あまり研究という感じはしないが、この観点の議論はあまり行われていない。
長くて読みにくいかも。
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