No.4ベストアンサー
- 回答日時:
草花や衣類の色彩など、我々の住む世の中は色であふれています。
色の原因になる物質を色素といいます。染料は衣類などを染めるのに使われ、水などの溶媒に溶け、しかも繊維などに結合する性質を持ちます。絵の具、ペンキ、インクなどの着色物質は顔料といわれます。顔料は、水、油、アルコールなどに不溶で、粉末の分散状態のままで物を着色する色料の総称です。ただし、インクの着色料のように溶けていても顔料といわれているなど、厳密な定義は難しいようです。色素に可視光の一部が吸収され、吸収されずに反射された光が私たちの目に入ったとき、私たちは色が見えたと感じます。多くの化合物は、光を吸収するのですが、その光は、人間の目には見えない紫外線部分なので、このような化合物は人間の目には色がついているようには見えません。固体ならば、散乱光のため、一般的には白く見えるはずです。
化学的には2種類の化合物群が可視光を吸収します。
まず天然物で色がついているものといえば、植物の葉緑素(クロロフィルという化合物)、人間の赤い血色素(ポルフィリン)、赤い花の色素(アントシアニン)などがあります。これらの化合物に共通なのは、共有結合と言う特殊な結合を沢山持ち、多くの場合は、窒素(先の例では血色素、葉緑素)や酸素(先の例ではアントシアニン)を含んでいることです。このような有機化合物は、可視光を吸収し、色がついて見えます。19世紀の後半から、イギリスでは、インドからの輸入に頼っていた天然染料の藍(インヂゴ)を人工的に作るためにいろいろな有機化合物の合成が試みられました。これが合成色素の始まりで、現在ではほとんどの色を合成で作ることができます。
もう一つの色をもつ化合物群は主に鉄、クローム、コバルト、銅などの金属元素を含んだ化合物です。これらの金属元素は、その電子が特殊な軌道(d-軌道という)に入っていて、可視光を吸収します。例えばペンキの赤は酸化鉄(これは作り方により黄色にもなる)、黄色は二クローム酸鉛などで作られます。シリカゲルに含まれるコバルト化合物は乾燥状態で青、湿気を吸うと赤くなります。このようにこれらの金属化合物は様々の色を呈し、主として顔料や陶器の着色剤に用いられます。白い顔料、例えば2酸化チタンは可視光を吸収しないものです。黒い顔料は可視光の全てを吸収する物質(カーボンブラックなど)です。
参考資料:光と色の100不思議(東京書籍)
参考URLにたくさん資料が紹介されています。
参考URL:http://homepage1.nifty.com/kuwajima/lac100/
この回答へのお礼
お礼日時:2001/09/30 14:38
回答有難うございます。とても参考になりました。
参考資料とURLも教えていただき有難うございます。
また何か分からないことがあったときには教えてください。
No.5
- 回答日時:
有機色素(染料と顔料をひとまとめにして)は.大きく分けて5種類あります。
1)骨格金属を持ち.金属のDD遷移によって色を示すもの.結合は「配意結合」が主体で.共有結合に近い性質を持ちます。例としては.ヘモグロビン等のヘム代謝系色素.繊維上で発色した藍+カルシウム(疑問.繊維関係はほとんど関係していないので.色素名と金属名が対応しません)など金属を添加して色をだすもの
2)骨格金属を持たず.多いん環の共有二重結合をもつもの.例としては黄色103号とかのタール系色素。「二重結合」と「共有二重結合」とは異なります。前者が.隣接する2つの炭素原子の電子が共有されるのに対し.後者はSP2型電子配置またはSP1型電子配置をとる隣接炭素すべてで共有がおこります。
4)天然物系色素で.テルペノイド代謝物。カロチノイド系色素やアントシアニン系色素です。こちらは.ベンゼン環を持ちません。一部SP2型電子配置をもつ多環(名称疑問.CのみならずN.S.Oを環内にもつ)化合物の場合が多く(タンニン酸系黒色色素は.炭素環にOがついた形が基本骨格等例外があり).SP2環で主要な光吸収が起こり.隣接するSP3軌道が最大吸収位置を変更する傾向があります。
5)分子内にラジカルとなりやすい基を持ち.みずからがラジカルとなり発色する場合。多くの場合に光れいき反応で.光のエネルギーで遷移状態になるものの光を放出してもとの状態に戻るものが使われます。この「遷移状態」の電子配置が2重項か3重項かの違いで.前者から発する光を蛍光.後者から発する光を燐光といいます。蛍光が光を止めると発光がとまるのに対し.燐光はいつまでも光りつづけます。市販の「蛍光なんとか」という商品の多くはは燐光を使っています。例としては.白物洗濯用洗剤に含まれている「蛍光剤」で.紫外線を当てると白く光る傾向があり.スーパーによってはワイシャツ売り場に紫外線殺菌灯(たとえば電撃型殺虫機)が置いてある場合があります。これは「染料」とか「顔料」とか言われず蛍光材とか呼ばれています。染料・顔料には含まれないでしょう。
金属化合物を除く化合物は共有結合またはイオン結合で原子が結合し存在します。「共有結合」とは.電子を2つの原子で共有する電子雲を形成する場合の結合方法です。「イオン結合」は一方の原子が他方の原子に電子を与え.それぞれの原子がイオン状態である場合です。色素では.原子群(配意子)から金属に不対電子雲の電子を与え.実質的に共有結合状の電子配置(金属と配意子で電子を共有し一つの電子雲を形成する)で結合する「配位結合」があります。電子雲の状態から.共有結合の一形態に分類される場合もありますし.別の一つの結合形態として分類される場合もあります(ハ-ド・ソフト酸塩基理論の本を見つけて呼んでください)。一つの配意子が一つの金属に対して複数の配位結合をしている場合が.形状をカニにたたえて「キレート結合」と呼びます。はいい結合の一形態です。例としては金属を添加して染色する繊維用色素.血液中に存在するヘモグロビン等ヘム代謝物が一般的でしょう。
共有結合は有機化合物や有機金属化合物一般に見られる結合方式です。
イオン結合は.金属塩(例.無機金属塩と有機金属塩があり.前者は食塩.後者はステア燐酸ナトリウム(自宅で作る石鹸の主成分))化合物一般に見られる結合方式です。
はいい結合は.洗剤などで「エデト酸」添加洗剤があります。これは.エチレンジアミンテトラアセテート(カタカナから構造は分かりますね?)とも呼ばれ.不特定の金属に対してキレート結合する物質です。また.生体内酵素の多くは.マグネシウム・鉄・亜鉛を中心骨格にもつ多くの場合のポリペプチド(一部.蛋白質以外の核酸等を配意しにしている場合あり)をはいいしとするキレートです。これらは.比較的一般的に見られる結合です。
共有二重結合はSP2型電子配置をもつ炭素等(ONSPを含む)が3つ以上並んで存在する場合に限り.見られる形態で.ベンゼン(巨大なπ電子雲を上下にもつ)系化合物には一般的に見られる結合形態です。しかし.テルペノイド系化合物の場合には.間にSP3型電子配置の炭素などが入るために一般的ではなく.多くの場合色素等に限って見られる結合形態です。ヘム系色素(ポルフィリン・クロロフィル等).カロチノイド色素.アントシアニン色素等に多く存在します。
無機色素の場合には.イオン結合で骨格(スピネルとか)が作られ大体がD-D遷移で色を出します(金属の電子配置は有機物がはいいした形態とほぼ同じ.たたし.周りに金属や酸素がある場合が無機色素.有機はいいしがある場合には有機色素)。反射率が高い場合(チタン・スズ・アルミ等)は.かし光を吸収しないので.白くなります。カーボランダム・粉末炭素は光を吸収する場合です。注意を要するのが.黒色系無機顔料で.普通は.藍色(コバルトブルー系色素.ゴス)に鉄茶(酸化鉄系茶色に近い黒系顔料)を混ぜて.複数の顔料で黒色をだします。また.鉛スピネルを混ぜて黒くする場合もあります。炭素が燃えない低温用ならば.粉末炭素を使ったりします。
No.3
- 回答日時:
有機の顔料は結構あります。
たとえば.洋菓子の黄色で天然顔料を使うとすると.「卵の黄身」です。化学合成の有機顔料では.コピー機に使われている黒色顔料か一般的です。(メーカーによって差があり。少し染料が混ざっています)。無機染料は.6かクロムの黄色-橙色で有名でしょう。最近は使われていませんが.昔の口紅は6かクロムでした。
無機顔料は.アルミノシリカ珪酸塩かほうけい酸塩でしょう。焼き物に使われている顔料や泥絵の具と呼ばれているもの.印刷インク等にも使われています。
珪酸塩では.D軌道が関係する混成軌道が生成し.この軌道内での電子の移動がちょうど.かし光の波長に一致しているものを使用します。主に遷移金属の珪酸塩や鉛酸塩になります。
有機の場合には.π電子雲の軌道が.ちょうどかし光の吸収域に会う場合に.顔料・染料として使われます。共役二重結合が存在しないと.吸収位置がかしこうにできません(普通の有機物は.紫外域に吸収を持つ)。発色団・じょしょく団も必要です。
もし検索するのであれば.分子設計の分野で検索してください。分子の配置から.きゅうこう度を推定するという分野です(電子雲の話なので私は理解できません)。
No.2
- 回答日時:
まず、色というものはなんなのかはご存知だという前提で話を始めます。
光の中の特定の波長の吸収が色として人間の目に認識されるのだ、ということはおわかりですよね。(ここのところに対する説明が必要でしたらその旨お書き下されば、詳しく説明いたしますが)
ですから、同じ結合を持たない限り完全に同じ色というのはあり得ません。
つまり、同じ赤でも朱赤、橙赤、深紅、紅色、等いろいろあるのは、色の吸収波長が微妙に異なっているからです。
顔料は無機物の結合格子が光を吸収しているものです。この結合格子の種類によって色が異なります。ですから、顔料にはもともと色がついていますね。これを膠着剤を使って布や岩などの上にのせていくのが顔料を彩色に用いる場合の用法です。
しかし、染料は染める対象の材料と化学結合してはじめて発色するものですので、顔料と染料では発色のメカニズムが全く違います。従って、色も厳密には全く異なります。これは、吸収波長を測定すればすぐにわかります。
ただ、吸収する波長領域が近ければ人間の目には似たような色に映りますから、どちらを使っても、「青」や「赤」や「黄」が出ている、と見えます。
でも、これら二つに実際のところ共通点はほとんどありませんよ。
イメージとしては、そうですね、ハンバーグと豆腐バーグの違いみたいなもんです。見た目はよく似ていますが、材料も味も異なりますよね。そんな感じです。
本は、検索エンジンでひっかければいろいろあると思いますよ。「染料」「顔料」「染める」などで、組み合わせてみて下さい。また、お近くの工業試験場などに問い合わせれば、いろいろ教えてくれると思います。
草木染めでしたら、山崎青樹さんが第一人者ですが。
No.1
- 回答日時:
違いについて
顔料は.水などに溶けないで色をつける色素
染料は.水などに溶けて色をつける色素
その他は同じ。
「発色団」の言葉から.有機物の色素に限ります。
共通点は.
かし光の範囲に吸収が見られること。
比較的安定な物質であること
でしょうか。
本としては.食品添加物の「香料」の本を見てください。「色の香料」として.顔料・染料について解説があります。
繊維関係は関係してないので不明。工業用色素も同様です。医薬品や生化学関係の本にも記載があると思いますが.こちらは特定の物質についての解説になると思います。
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