遺産相続(亡くなった父の使い込み)
独身の伯母が亡くなり、父と叔父が相続を受けますが、1年後、まだ相続完了していないうちに父が亡くなりました。その後、伯母の通帳のうち1冊を父が使い込んでいたことが発覚し、叔父は私(長男)に、伯母の死亡前後に父が引き出した金額も計算に入れるよう言ってきました。公平性という点から一応納得出来る意見ですが、税理士は伯母死亡の3年前までの贈与までさかのぼって調査する必要があると言っていました。この判断は正しいですか?そうだとすると、生前伯母が叔父と険悪であったことから、伯母が父や母へ好意で譲っていた金銭なども含めて、叔父に取られてしまうのでしょうか?
回答(1件)
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No.1ベストアンサー20pt
1.民法における「みなし相続財産」について。
相続分の計算については、具体的な数字を使ったほうが説明しやすいので、叔母の遺産を次のように仮定します(設例を参考に、実際の数字を当てはめて計算してみて下さい)。
預貯金の残高2000万円(計算を簡単にするため不動産はないとします)、負債なし(負債も相続財産です)。このほか父に生前贈与分1000万円がある。
(1)計算する場合、まず、特別受益となる生前贈与された財産を計算上戻します(民法903条1項)。これを「みなし相続財産」といいます。事例では、預貯金2000万円+父への生前贈与1000万円=3000万円が「みなし相続財産」です。
兄弟だけが相続人の場合、均等分割が原則ですから、1/2にすればいいのですが、既に贈与されたものは遺留分を除き、実際には、取り戻せません。
(2)この「みなし相続財産」について、まず、各人の計算上の相続分を試算します。父と叔父はそれぞれ1500万円(3000万円×1/2)となります。
(3)父の相続分は、生前贈与された分を引きます。1500万円-1000万円=500万円となります。
(4)叔父については、分配可能な遺産総額2000万円のうち1500万円を相続することになります。
では、預貯金の残高1000万円、このほか父に生前贈与分2000万円がある、としたら計算は次のようになります。
(1)と(2)は上記と同じ結果です。
(3)父の相続分は、生前贈与された分を引きます。1500万円-2000万円=▲500万円となりますが、マイナス分を吐き出す必要はないので、ゼロとなります。
(4)叔父については、分配可能な遺産総額1000万円のうち1000万円を相続することになります。
なお、被相続人(=叔母)の意思が、特定の相続人を特別扱いするというものであった場合は、その意思が尊重されますから、生前贈与を考慮せずに、これを除外した残りの財産だけを対象に法定相続分に従った分割を行うことも可能です(民法903条3項)。ただし、遺留分の制約はあります。
2.遺留分について。
相続人が最低限受け取ることのできる相続分を、「遺留分」(民法1028条)といいます。相続人が父と叔父の2人だけの場合、それぞれの遺留分は1/2×1/2=1/4と計算されます。叔母の「みなし相続財産」のうち1/4は、叔父が遺留分として受け取る権利があります。
上記の例でいえば、「みなし相続財産」3000万円×1/4=750万円が叔父の遺留分となります。もし、父が生前贈与で叔母から2500万円の贈与を受けていたら、叔母の預金残高500万円に加えて、250万円(=750万円-500万円)を代償として父から叔父に渡すことになります。
遺留分の算定の基礎となる「贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り」認められます(民法1030条)。ですから、相続財産に戻し入れるのは、1年前までの贈与を考えればいいと思います。
3.「税理士は伯母死亡の3年前までの贈与」について。
税理士のいう3年以内の贈与というのは、相続税法基本通達19-1に規定されています。詳細は、国税庁HPから該当箇所を下記、参考URLに貼っておきますので、ご参照下さい。
この規定は、相続税を納税するほどの多額の遺産であれば、相続税法上、必要な規定であると思います(税収を確保したいという国税庁の思惑がある)。
相続人が2人の場合、5000万円+1000万円×2人=7000万円まで非課税です。
要するに、叔母の遺産が生前贈与分を含めて7000万円を超えるのなら、3年前の贈与まで遡る必要がありますが、それ以下なら、3年前のものまで考慮する必要はなく、民法の遺留分の規定通り1年前の贈与まで考慮すればよいものと思います。
この回答へのお礼
参考にします。ありがとうございました。
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