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こんにちは。

5月29日の産経新聞に以下のような文章が出ていました。
http://www.sankei.co.jp/news/050529/morning/edit …
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中国は「A級戦犯」が靖国神社に合祀されていることを問題視している。いわゆる「A級戦犯」は、東京裁判で裁かれた被告を指す連合国側の呼称である。日本はサンフランシスコ講和条約で東京裁判の結果を受け入れたにもかかわらず、その「A級戦犯」を合祀している靖国神社に首相が参拝することを中国は許せないらしい。

 だが、現在の共産党独裁国家の中国は、東京裁判や講和条約の当事国ではない。しかも、連合国は「A級戦犯」合祀を問題視していない。

 講和条約で日本は東京裁判の判決を受け入れたが、それは刑の執行や赦免・減刑などの手続きを引き受けたに過ぎない。「南京大虐殺」など事実認定に誤りの多い東京裁判そのものを受け入れたわけではない。講和条約を論拠に、「A級戦犯」合祀を批判する中国の主張は通用しない。
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こうした意見はよく見かけますが、少し疑問に思いました。

そこで質問です。

1、中国はサンフランシスコ講和条約に招請されなかったので、
日本の首相による靖国参拝に中国が文句を言うのはおかしいのでしょうか?
 それとも、この条約は日本が国際社会に宣言したものなのでどこの国に対しても有効なのでしょうか?

2、東京裁判の結果についてサンフランシスコ講和条約第十一条での、
「日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し」とあるのは、
産経新聞の主張どおりに東京裁判そのものを受け入れたわけではないのでしょうか?
 条約についてある一部を認めないという考え方は可能なのでしょうか?

以上の点について回答願います。
なお、ここでは議論ではなく「解説」をお願いします。

A 回答 (3件)

ご質問に則してお答えします。



1)私が別の質問に対して行った回答もご覧いただいているようですので、多くは語りませんが、ある国(々)に対して条約により認めた「事実関係」を、条約の当事国外に対して当事国ではないとの理由で否定することは一般国際法上認められていません(禁反言の原則)。もちろん、そのこと自体はその非当事国に権利や義務を与えたりはしませんけれども、講和条約の結果割譲された領土とか、確定された領土・領水の範囲、設立された国際機関の存在そのものなど、条約で定める事実に関する事柄は、条約の当事国以外もその事実を援用することができます(領土関係以外については、逆に援用しないこともできるが、当事国側が「援用するな」とはいえないということです)。
ですから、「国際的宣言」とはやや性質が異なると思います。
設問についていえば、「A級戦犯」などの戦争犯罪人の存在を日本が認めた=日本として、先の大戦では「侵略の罪」を犯したという「事実」については、中国側は日本に当然主張できるということになります。それを靖国に結びつけるところまでは、講和条約からは導くことはできませんが。


2)まず後段の「条約についてある一部を認めないという考え方は可能なのでしょうか?」という部分については、一般論として留保や解釈宣言を付すことが可能です(ウィーン条約法条約19条)。が、サンフランシスコ講和条約の性格上、日本側がそうした解釈宣言をすることは困難でしょうし、事実行われていません。

また前段については、正文であるところの英語を見ると、日本は「accepts the judgement of」極東軍事裁判所うんぬん、つまり極東軍事裁判所等の「判決」を受け入れると明記されています。もちろん同時に「will carry out the sentences imposed thereby」とあり、国内で刑の執行を受けている戦犯たちの刑罰を完遂することも約束していますが、「裁判そのものを受け入れたわけではない」とする主張は明らかに間違いです。判決を受け入れるということは、判決の根拠となった事実認定や裁判所の裁判権を含めて、その結果に文句をいわないことを意味します。

まさか産経新聞ともあろう大新聞社が間違ったとも思いたくはありませんが、当時の事情を知らずとも条約文を読むだけで(かつ、日本語でも同じ内容が書いてあるわけですから)分かる事であり、意識的に曲解していると言われても仕方のないほどの誤読だと思います。

この回答への補足

>「A級戦犯」などの戦争犯罪人の存在を日本が認めた=日本として、先の大戦では「侵略の罪」を犯したという「事実」については、中国側は日本に当然主張できるということになります。それを靖国に結びつけるところまでは、講和条約からは導くことはできませんが。

どうして靖国に結びつけることができないのでしょうか?
回答を読んだだけではよくわかりません。

補足日時:2005/05/31 09:45
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。
明快に答えていただき感謝します。

#1の方とは考え方がまったく違うようですが、
これはここだけのことなのか、それとも日本全体で戦争とその後の処理について議論ができていないのかを私自身も考えたいと思います。

こうした意見の違いがここでの議論にならないように、ここに来たすべての人にお願いします。

「accepts the judgement of」の解釈についてもいろんな意見があるようです。
エストッペル(禁反言の原則)は忘れかけていた言葉です。
こうした場面で使うのですね。勉強になります。

お礼日時:2005/05/31 09:36

#2の続きです。



>>どうして靖国に結びつけることができないのでしょうか?
回答を読んだだけではよくわかりません。<<

そんなに難しい話ではなくて、戦犯を神としてまつることを許容しない趣旨の規定が講和条約にはないからです。もうちょっといえば、戦犯の公職からの追放などの規定もなく、赦免についての手続き規定すらあることを考えあわせると、少なくとも講和条約上は、戦犯とて永久に罪人とは考えられていないことがわかります。もちろん、そのことと「過去において戦争犯罪を犯した」という事実は別のことです。
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この回答へのお礼

再びの回答ありがとうございます。

>そんなに難しい話ではなくて、戦犯を神としてまつることを許容しない趣旨の規定が講和条約にはないからです。

わかりました。
私は難しく考え過ぎていたようです。
(本当は少し反論したいのですが、そうすると質問自体が削除になるのでここではしません)

お礼日時:2005/05/31 17:28

最初に断っておきますが、国内法と国際法では下記のような違いがあります。



(A) 国内法では、公の規範としての法令が、私人間の取り決めである契約を規制する。法令違反に対しては、国家が介入する。

(B) 国際法と言うのは、基本的に「慣例」であり、明文の確定した根拠はない。例えば毒ガスの使用を禁じたハーグ陸戦法規は、調印各国が批准し、調印各国を拘束する「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約」です。それぞれの国が結んだ条約等(私人間の契約に相当)を公式に規制するものではない。「国際法違反」という概念は基本的に存在しない。例えば、先日中国の副首相が日本首相との会談をキャンセルした事件は「国際法違反」かもしれませんが、それを判断したり制裁を加えたりする上部機関(国内法における裁判所)は存在しません。

質問者様が、ご質問に対する答えになる「国際法上の規定」を求めているのでしたら、「そんなものはない」というのが正解になります。

ご質問への答えですが、
(1) 条約について発言する権利があるのは、調印した国だけと言うのが普通の考え方でしょう。現に、ソ連やそれを継承したロシアは、さすがに最低限の国際常識を弁えているようで「サンフランシスコ条約第2条C項で日本は千島列島を放棄しているではないか。北方四島は千島列島の一部。日露間に領土問題は存在しない」などという論理展開はして来ません。日本とソ連=ロシアの関係を規定するのは日ソ共同宣言他の「日本とソ連=ロシアが結んだ条約等」です。

(2) 産経新聞の記事には、外務省内で「刑の執行や赦免・減刑などの手続きを引き受けたに過ぎない」とする意見があると書かれていました。条文を読む限り、そのような解釈は可能でしょう。質問者様は、条文を読んでどのように解釈しますか?

なお、産経新聞の主張は、「A級戦犯として有罪判決を受けた重光葵氏や賀屋輿宣氏が、講和条約締結後に外務大臣などの公職についており、旧連合国がそれを問題にした形跡がない」ことから裏付けられます。

以下は余談ですが、死刑にならなかった重光氏と、死刑になった東條氏の違いはどこにあるのでしょう?連合国が決めた刑罰の軽重だけです。

重光氏については、「重光葵記念館」が存在します。中国にこのことが知れたら、「A級戦犯の記念館など言語道断、取り壊せ」と言って来るかも知れません。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。

>質問者様は、条文を読んでどのように解釈しますか?

ここは、議論する場ではありません。
私は質問者であって回答しません。
私が回答する必要も意味もありません。
お間違えのないように。

お礼日時:2005/05/30 14:23

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