No.2ベストアンサー
- 回答日時:
記号、とは、「現物」のかわりに指示のために使う標識です。
さて、「言葉は道具か記号」という文を
(いろいろ議論もありましょうが)
認めるとします。
しかし、これから、「道具は記号」という結論にはなりません。
日本語の「は」は、
「同値」を表す場合と、
「含意」を表す場合があるからです。
また、日本語だけでなく、英語の「is」も、
中国語の「是」も、そういう意味があります。
つまり、
「記号⊆道具」ですが、
「記号=道具」とはなりません。
たとえば、
「人間は、脊椎動物であり、哺乳類である」という文は成り立ちますが、
それから「脊椎動物は、哺乳類である」ということにはなりません。
このへんの言葉のアヤは、太古から問題になっています。
(中国古典の「白馬非馬論」がその代表)
その多くは「は」の「含意」(⊆)の役目を
むりやり「同値」(=)と解釈したことに基づく誤りです。
ご丁寧はご説明いただきありがとうございました。対象を記号化してしまうのが道具というようには解釈できないでしょうか。熱い火を記号に変えることによって使っても平気にしてくれるのが、たとえばフライパンという道具とかそういう意味にはならないでしょうか。
No.8
- 回答日時:
お返事いただきありがとうございます。
kaitaradouさんが「記号化」とおっしゃってることは、おそらく「工夫」のことだと思いました。
他の動物は、自分の身体をそのまま道具として対象を利用(コントロール)しています。しかし、人間はとても弱いもので、身体と対象の間に、道具を介さないといけません。肌の毛が薄いから、毛皮などを身にまといました。熊やライオンみたいに強靭なツメやキバを持たないから、石を削って槍や弓矢を発明し、活かしたわけです。やはり、人間は自然界の中で、とても弱い存在だったのだと思います。しかし弱いからこそ、こうやって文明を発達することができたと僕は思います。
まさに、「記号化」とは人間のなせるワザであり、そこらに転がっている変哲のない石ころを武器にしたり、現代だとありとあらゆるものを加工+制御(工夫とコントロール)していろんなものを製造しています。それは人間の知恵であり、文明であり、学問でもあり、人間と他の動物との大きな違いですよね。
そしてその根底には、繰り返しますが、人間の存在がとても弱い存在だった理由があると思うんです。サルのように、木の上で安全にかつエサもある安住した環境と違い、人間の起源はわかりませんが、とにかく弱かったんじゃないかなと思います。弱い分、頭がよくなったというか、努力しなければ生きていけない環境だったんだと思うんです。そう考えたら、辛い過去の経験や過ちや失敗も、今に生かすことができるし、逆転の発想というか、結局、頭の中の世界ですから。「工夫」次第で、マイナスもプラスに転換できるというか。
少し話が脱線しましたが、kaitaradouさんの「記号化」に対する視線は何か有意義なものに繋がっていると思いました。
人間の活動というのは、外界のあらゆる対象を記号化した形で頭の中に再現し、頭の中で記号化された外界を自由に変更して、改めて実際の外界を変更するというように考えています。おっしゃるようにそれを工夫と呼ぶことも正しいと思います。素人考えでは、専門に研究している人が記号化の意味をもっと広げるというか汎用性があるように発展させてくれればありがたいと思いますが、ぜんぜん根拠がない期待かもしれません。
No.7
- 回答日時:
他の方のご意見と、お返事を読みました。
「ペンによってインクを記号化しているから、書くことができる」ということでしょうか?この場合、ペンの形状により、インクをコントロールできるから書くことができるわけですよね。おなべと火の例を読めば、おなべの形状のおかげで、熱い火をコントロールして料理をすることができる。つまり、kaitaradouさんがここで言う「記号化」とは、操るという意味でコントロールということ正しいでしょうか?
ぜひ、教えて欲しいのです。kaitaradouさんが「記号を介さないと把握できない対象というものがある」と思われている内容を。火の例にしても、インクの例にしても、やはり取り扱うことができるからこそ、価値があります。その価値のこと(=記号を介さないと把握できない対象)を言っているのでしょうか?
難題です。ぜひ、kaitaradouさんのひっかかりを解明してみたいです。^^;
この回答への補足
記号化とコントロールの関係は貴重な提言だと思います。記号に変えない限り頭の中で自由に操ること(これもコントロールですね)は不可能です。おそらく対象を記号化することと対象をコントロールすることはほとんど同じことなのではないでしょうか。体という道具を使ってほかの生物は対象を利用(コントロール)していますが、人間は対象と体の間に道具という新しい記号化の装置を置いて、ほかの生物にはできないことを行えるのではないかと思います。これがおっしゃるところの価値の創出につながるのでしょう。
補足日時:2005/06/22 13:47私の愚問に興味を持っていただきありがとうございます。また指摘なさった価値と記号の関係は貴重なご意見と思いました。続きを補足の欄に書きます。
No.6
- 回答日時:
認識論とか記号学とか難しくてわかりませんが、素人なりに頑張ってみたいと思います。
デザイン用語で「ピクトグラム」という言葉があります。絵文字とか象形文字という意味です。パソコンで言う「アイコン」みたいなものです。
つまり、形を見れば、そこにメッセージ性があるんです。カナヅチを見れば、多くの人は持つ場所を間違えません。理にかなった形をしていますから。全ての商品はそのように計算されてデザインされています。色にしてもそうです。道路の標識もそうですよね。標識に書かれた絵である「記号」を、一目で伝わるように工夫されています。標識という道具は記号として働いています。また、標識を一目で標識と認識できなければデザインとして問題があります。つまり、標識という道具は記号なんです。
ペンを見れば、それをペンと人間は認識します。道具であるペンは、人間が認識したときに、情報をもたらす記号でもあるのです。一目でペンとわかり、インクの色がわかり、インクの残量がわかり・・・といった具合です。
広告デザイナーの方が、「広告はひとつのコミュニケーション」だと言っていました。つまり、言葉であり、伝える道具であり、また記号でもあるんです。
kaitaradouさんの趣旨に沿っているかわかりませんが、何か参考になれば幸いです。あと、kaitaradouさんがいつも答えられている頭の世界と外の世界の話に共感します。失礼しました。
No.5
- 回答日時:
>道具は、対象を記号に変える働きを持たないでしょうか
記号化(象徴化)は、言語によって対象を表現し直すことであるため、「道具」そのものは「対象」となることはあっても「記号化」の主体とはなり得ません。
道具に機能を与え、使うのは人間(主体者)であり、道具とは、ある目的達成の手段(方法)です。道具そのものが自動的に対象を認識し、記号化するということは無く、記号という「象徴化されたもの」を認識するのは、主体者である人間です。
現在の「道具」という概念が、一般的に「他の目的のための手段・方法として利用される物や人。」というものである限り、記号化の機能は無いと言えます。
記号化は、人間(主体者)の行為です。新しい記号を創造することが出来る機械でも無い限り、人間のみが為しうると思います。機械が出来るのは、選択と変換のみ。選択と変換だけでは、新しい記号を作れません。
長々と書いて、ハズしていたらすみません。
この回答への補足
記号の専門的定義をきちんと学んだことがないのであるいは意味のないことを述べるかもしれませんが、私は直接感覚の対象にならないような対象を、あたかも感覚できるかのように変えるものが記号(あるいは記号化という働き)と考えています。たとえば望遠鏡で遠くのものを見たという倍望遠鏡を通して見えている像というのは記号ではないかと思っています。又おなべでものを煮るときに熱くないのはおなべによって火が記号化されているからだと思っています。この場合熱くなくなると同時に火は料理に役立つものへと変えられているので熱くないのだと思っています。もしおなべの代わりに手を使ったら熱くてしようがありませんが、この場合道具による記号化が起こっていないからではないかと思っています。
補足日時:2005/06/22 09:36No.4
- 回答日時:
技術関連の仕事をして来たため、哲学関連は素人ですので、直接の回答は出来ないのですが、回答に至るアプローチの方法を実務的な側面からアドバイスさせていただければ(そうならなかったら、ごめんなさい)と思います。
実務的には、一言で言うと「定義を明確にし、仮説と検証を行う」ということになります。まず、「記号と何か?」私は、答えを知りませんので仮設を立てます。
仮説1:「記号とは、具体的なものに対応付けられたラベルではなく、物が持つ様々な特性の中から抽出されたある側面に対応付けられたラベルである」と仮定します。
具体例による検証:大工の棟梁が弟子に「オイ、そこの道具を集めて持って来い」という文脈の”道具”は具体物を指すので、記号ではない。一方、やくざの兄ちゃんが「あいつは、ボスの道具に過ぎない」の文脈での”道具”は、”自分の考えを持たずに手足となるという側面”を表しているので記号である。
仮説1は取り合えず第一段階の屁理屈にはなりそうですが、この定義では「彼は金槌だ」の金槌も記号になるので、何かちょっと違和感があります。そこで、少し定義を修正してみましょう。
仮説2::「記号とは、具体的なものに対応付けられたラベルではなく、物が持つ属性のうち、特に社会心理現象に関連付けられた側面に対応したラベルである」と仮定しましょう。
具体例による検証:「彼は金槌だ」の金槌は、具体物を表すわけではないですが、特定の社会心理現象を表しているわけでもないので、記号ではない。「道具と化した現代情報化社会の人間精神」の文脈では、”道具”は社会心理現象と関連付けられた側面を代表しているので記号である。
仮説2だと、いくらか「道具は記号だ」と言えそうになりますが、いかがでしょうか?このように考えてくると、「道具は記号か?」に対する答えは、「道具」という言葉をどのような文脈で用いるかと、また、社会心理学上の位置づけ如何であるということになるのではないでしょうか(自己流でアプローチするための例です。悪例かもしれませんが)。
ご丁寧に解説してくださいましてありがたく感じます。私の設問の文章が悪かったためでご迷惑をかけました。文章は「道具は、対象を記号に変える働きを持たないでしょうか」とすべきだったと思います。
No.3
- 回答日時:
言語学を学んだものからして、アドバイスを。
言語は道具であると考えた人がいました。
というよりも、伝達手段として。
それが発展して「コミュニケーションの手段としての言語」という発想が生まれました。
だから、口から発声されなくても、手話やボディーランゲージも言語の中に入ります。
一方、言語というものの構造が記号であるということを、ソシュールなどの言語学者が提唱しました。
それが言語以外にも発展して、文学や音楽や演劇やファッションや、あらゆるものを記号として解釈する「記号論」という発想が生まれました。
この両者は別々に発生したものであって、言語を「道具」であるということと「記号」であるということの背景にはニュアンスにものすごい隔たりがあります。
したがって、「道具は記号なのでしょうか」以降の質問文は、すでに意味をなさないと感じられますでしょうか。ご納得いただけないようでしたら、数学的な集合論で説明している2の回答をもう一度ご覧になることをおすすめします。
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