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昭和48年の刑法の過去問なのですが、「スタンダード100」(行為無価値第四版、141頁)についての質問です。
問題は、「甲は乙を毒殺しようと思い、毒入りの酒を飲ませたが、致死量には達していなかった。しかし、乙が苦しむ姿をみてかわいそうに思い医師丙のもとにつれていったら、丙の処置のミスにより死亡した」です。
「スタンダード100」の答案例によると、乙の死亡という結果が発生しているにもかかわらず、中止犯の成否が検討され、結局、甲が医師丙のもとに連れて行ったのは真摯な努力といえるから、中止犯の成立を認めています。
そもそも、結果が発生してしまった場合に、中止犯の成立の余地はあるのでしょうか?

A 回答 (4件)

 おっしゃるとおり、中止未遂は


    実行に着手
    結果が発生していない
    自己の意志により之を止めた
というのが要件です。

 しかし、結果が発生していても中止未遂を認める場合があるようです。

 判例でも
    福岡高裁(昭61、3、6判決)
    ナイフで刺した後、止血をして救急車を呼び、   被害者を救急車の車内に運び入れた
例が、結果発生を阻止するために真摯な努力をしたとして中止未遂とされています。

 理由は♯2の方が要約しているとおりと思われます。
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 この場合に問題になるのは、


  毒薬が致死量に満たなかったこと
にあると考えるべきです。
 つまり、
  殺害の意志を持って、毒を飲ませたが、
  致死量ではないため死ななかった
ということになり、このままであれば
  殺人未遂罪
が適用されると考えられ、
  その後の医師の治療方法に問題があった
ために
  被害者が死亡した
のですよね。
 ポイントになるのは、
  致死量に満たない毒薬で苦しんでいる被害者
  をそのまま放置して死なせた場合
には、
  殺人未遂と被保護者遺棄致死
に問われ、
  殺人と同等
と考えられますが、
  治療を受けさせるために医師の元まで搬送した
ということで、
  殺人行為を中止した
という論点になるのではないでしょうか?
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 No1さんのような因果関係の考え方もありますが、


考え方としては、結果が発生しても中止犯の成立を
認める、との考え方があります。
 多少古いですが、大谷実「刑法講義総論」では、
木村・団藤・平野・大塚・前田・山中の立場とあり
ますね。同書415頁ですが、要約しますと、現行法の
立場からすれば、結果が発生した以上、中止犯は不
成立とすべきだが、真摯な努力がある以上、違法性
ないし責任の減少に反映させるべきことなどを理由
に、中止犯の成立を認めるべきとの考え方がある、
とあります。
 ただし大谷先生は、これは解釈論を超えた立法論
ではないかという書き方をされておられます。

 実務・判例は、結果が発生した以上、中止犯は不
成立ですが、有力な考え方として、中止犯の成立を
検討する考え方もあるということです
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甲の行為と乙の死の結果について、因果関係がなければ、たとえ結果が発生しても、その結果の責任を甲に問うことは出来ず、中止犯の成立の余地はあるのではないでしょうか?



「スタンダード100」の答案例を見ていませんが、中止犯を論ずる前に、因果関係について論じているのではありませんか?
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