当市の管理する公の施設である公園の管理を市が2分の1以上出資している第三セクターA株式会社に委託しており、来年4月からは指定管理者制度に移行する予定です。ところが、諸般の事情から市の出資を本年1月に全額引き揚げることになりました。
この場合、公の施設の管理を指定管理者に委託開始する4月までの2ヶ月間A株式会社委託することは、改正自治法の附則でなお従前の例によるとされていますので、改正前の自治法第244条の2に抵触し問題でしょうか。
問題があるとすれば、いかにすればよいでしょうか。
1月にA株式会社の市の出資比率が0となれば、改正自治法の経過措置でなお従前の例によるとされる法第244条の2第3項及び施行令第173条の3の規定(委託する法人は、普通地方公共団体の出資比率2分の1以上の法人)から、市の出資比率が0となれば、公の施設を委託できる法人としての資格を失い、法第244条の2違反となるのではないでしょうか。
そこで、(1)出資を引き揚げると同時に委託契約を解除し、直営とするか、(2)保守等の業務の一部を委託する、又は(3)指定管理者への移行を前倒しするしかないのではと考えています。
現在は、(2)でいこうと考えていますが。
A 回答 (1件)
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No.1
- 回答日時:
整理するために、まず指定管理者制度を無視して考えましょう。
改正前の自治法において、公の施設の管理委託先は、普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるもの又は公共団体若しくは公共的団体に対してのみできました。ご質問の株式会社のケースは、このうち地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものに当たります。
自治法上、さらにこれは2つに分かれますが、いずれにしても普通地方公共団体が一定割合の出資をしているのが要件です。
この要件は、要するに管理委託先は、民間はダメ、公的なものだけと言っているわけだから、改正前の自治法下で、もしも管理委託先がご質問のケースのように完全に出資金が引き揚げられて民間企業になってしまったら、当然に管理委託者としての要件は失われると考えられます。(もしこれを認めたら、管理委託を開始するときだけ公的なものであれば、その翌日に民間になっても問題なし。ということになって、何のために制限してるんだか、制限している意味が失われてしまいます。)
次に、今回の指定管理者制度導入時の自治法の附則を見てみましょう。
「この法律の施行の際現に改正前の地方自治法第二百四十四条の二第三項の規定に基づき管理を委託している公の施設については、この法律の施行の日から起算して三年を経過する日(その日前に改正後の地方自治法第二百四十四条の二第三項の規定に基づき当該公の施設の管理に係る指定をした場合には、当該指定の日)までの間は、なお従前の例による。 」となっています。ここで従前の例によるというのは、まあ要するに改正前の地方自治法244条を適用するということです。
改正前の地方自治法244条下での出資金引き上げケースは上述のとおり整理したところです。
つまり、今回のケースのA株式会社は管理委託者としての要件を失うことになります。よって、管理委託者としての要件を有していることを前提として結んでいる現行の管理委託契約は失効すると考えるのが普通ではないかと思われます。
次にこの事態をどのように回避するかですが、通常は指定管理者制度の前倒しでしょう。
というのは、直営にするといっても突然に町の職員をその施設に派遣して、運営するといっても定員上の余剰も、ノウハウもないのでは、とてもそんなことはできないと考えられること。
次に、いま貴方が考えておられる、個別の業務委託をA株式会社と結ぶという方法が考えられるわけですが、実質的に管理委託時代にやっていたことと全く同じことをさせることになるわけです。
自治法上、どの程度の業務であれば指定管理者とするのか、あるいは業務委託とするのかは明記されてないので、それは当該団体の判断ですが、もしも業務委託で対応できる程度の仕事であれば、そもそも管理委託導入時にA株式会社に管理委託などさせずに業務委託しておけば良かったはずで、この度の状況変化から指定管理者制度の導入が大変だから指定管理者制度とせずに、業務委託とするというのは実質的には脱法行為でしょう。
指定管理者制度の肝は、指定管理者に一定の権限を任せることによって、公の施設の効用をあげようとするものです。逆に言えば、業務委託にしてしまえば、その利点は全くなく、また、いったんそのような方向に舵を切ってしまえば、この先もA株式会社との随契となり、コスト削減などを図ることもできないし、他社と競争させて、サービスの向上も図れないしと良いことはありません。
ここは頑張って指定管理者条例を作り、指定管理者選定手続きを実施すべきでしょう。
ちょっと間をはしょっているので、追加の疑問があればどうぞ。
tokyotomin様、早速、丁寧な回答ありがとうございました。
貴殿がいわれるとおり、指定管理者制度の前倒しが正論であると私も思います。ただ、現実は何かとありまして、現在検討されているのは、1月末で公の施設の管理委託契約は解除し、2から3月の2箇月は、私法上の委託として維持管理についてはA株式会社に委託し、使用に関する部分(施設の使用許可の取り次ぎ等)は直営とする方向でやれないか、人員や予算の検討をしています。
もっとも、指定管理者の選定は12月中に終わる予定ですので、指定管理者制度の前倒しもまだ案のうちの一つとして残っています。
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