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今、核医学診断装置について勉強しています。でもいまいちよく分かりません。γカメラ、PET、SPECT、を詳しく教えてもらえませんか?

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回答 (7件)

 放射性同位元素(RI : radioisotope)を含む薬を患者に注射すると、薬は血流に乗って臓器に取り込まれます。そして臓器から放射されるガンマ線を計測して薬の体内分布を調べるのが核医学(nuclear medicine)です。
 核医学では臓器や組織の形状よりも、その機能の状態を調べます。たとえば癌にだけ蓄積する薬を用いて癌の転移巣を全身に渡って探したり、正常な心筋にだけ蓄積する薬を使って心筋梗塞を起こした部分を薬の分布の欠落部として描出します。また血流量に比例して脳に蓄積する薬を使って脳の血液循環を調べます。このようにそれぞれの臓器の機能を標識する数十種類の薬が開発されています。

 γカメラ(シンチレーションカメラ)はガンマ線を計測して薬剤の体内分布画像を撮影するのに用いられる装置です。ガンマ線の光子一個一個のカメラへの入射位置とエネルギーを測定します。人体から出るガンマ線のうちカメラに垂直に飛び込むものだけを測定するために、カメラはその前面にタングステンや鉛でできたコリメータ(小さな孔が稠密にあいている厚板)を備えています。コリメータを通過した一個のガンマ線光子は数十cm角のシンチレータ板に当たって数千~数万個の低エネルギー光子に変換されます。この光を数十個の光電子増倍管(PMT: photomultiplier tube)で計測します。それぞれのPMTの出力を総合して、シンチレータのどこにガンマ線が当ったかを3mm程度の精度で決定します。(また、低エネルギー光子の総エネルギー量から個々のガンマ線のエネルギーを算出することができます。)こうして、薬剤の3次元的な分布を2次元平面に投影した透視画像が得られます。この画像をシンチグラムと言い、たとえば癌の転移巣を全身に渡って探すのに使われます。
 最近では半導体検出器を用いたγカメラが開発されていますが、コリメータが必要であることに変わりはありません。

 さて、γカメラを人体の周りに回転させながら透視画像を多数撮影し、X線CTと同様に「投影からの画像再構成法(reconstruction from projections)」を適用すれば、薬剤の分布を示す断層像が得られます。これがSPECT(single photon emission tomography)です。
 ある薬剤の出すガンマ線はすべて同じエネルギー(波長)を持っており、そのエネルギーは放射性同位元素の種類によって決まっています。異なる放射性同位元素を含む複数の薬剤を注射した場合、γカメラでガンマ線のエネルギーを測定すれば、どちらの薬剤によるガンマ線なのかが分かりますね。こうして一度の撮影で複数の薬剤の分布をそれぞれ別々にイメ-ジングすることもできます。
 さて、薬剤から放射されたガンマ線はγカメラに到達する前に人体組織で散乱・吸収を受けるので、定量性の良い断層像を得るにはこれらの影響を補正しなくてはなりません。散乱を受けたガンマ線のエネルギーは薬剤の出すガンマ線本来のエネルギーより低いので、ガンマ線のエネルギーを測定することで散乱線を(或る程度)識別・除去できます。また吸収の影響は線吸収係数分布が分かっていれば(或る程度)補正できます。そこでX線CTと全く同様に人体外から放射線を照射して、人体の線吸収係数分布の断層像を作っておけば良いことになります。(とは言っても実際の計算は膨大で、なかなか完全にやることはできません。)この場合、X線管の代わりに容器に入れた放射性薬剤(外部線源)を使います。手抜きする場合には、人体を一様な水袋で近似して補正を行うこともあります。
 患者の放射線被曝を抑制するために、投与できる放射性薬剤の量は(法的に)制限されています。この事がSPECTのS/N比および空間解像度を制約しています。


 一方、ベータ崩壊して陽電子を出す放射線同位元素を含む薬を患者に投与すると、患者の体内で発生した陽電子は近くにある電子と対消滅反応を起こして消滅し、陽電子と電子の質量が2個のガンマ線光子(それぞれエネルギー0.511MeV)に変換されます。このとき陽電子と電子の運動量の合計が保存されるので、発生した一対のガンマ線光子は互いに丁度反対方向へ飛びます。
 PET(positron emission tomography)では患者の周囲にガンマ線検出器を数十~数百個配置しておき、二つの検出器が同時にガンマ線を受けた場合にだけ、この一対の検出器を結ぶ直線上で対消滅反応が生じたものとみなして記録します(同時計数法)。このやり方なら、コリメータなしでガンマ線の飛来方向を検知することができます。収集したデータはX線CTと同様に「投影からの再構成法」を用いて画像再構成します。
 最近では、PETにも利用できるようにしたSPECT装置が販売されています。2個の対向するγカメラを備えた装置であって、PETに使うときにはコリメータを取り外すのです。(陽電子放出核種を使った場合でも、勿論、コリメータを付けたままにして、同時計数を行わないでSPECTを撮影しちゃっても構わない訳ですが。)
 コリメータを用いずに撮影すると、ガンマ線の利用効率が高く、また機械的可動部分少ないので、PET専用機では数秒で撮影することも可能です。しかし、空間解像度はガンマ線検出器の開口の大きさのみならず、陽電子が発生してから対消滅するまでに数mm程度移動してしまうことによっても制限されます。
 PETでは人体内にありふれた元素の同位元素であるC11、N13、O15、F18などが利用できることが重要です。水や糖や脂肪をこれらの放射性同位元素でラベルしたものを注射薬あるいは吸入ガスとして用いて、薬が血流と共に循環する様子や生化学反応で代謝される過程を詳細に分析できる訳です。これは診断はもとより、生理学や薬理学の基礎研究に非常に役立ちます。
 しかしこれらの陽電子放出核種の半減期は数分~数時間なので、実際に投与する何倍~何百倍もの量をその場で生成し、短時間で製剤し、速やかに投与しなくてはなりません。このために、同位元素原子を製造するサイクロトロン・薬剤合成装置・薬剤検査装置などもPET装置のすぐそばに設置し、これらを放射線防護壁で囲む必要があります。(比較的半減期の長い核種を工場で生産して、比較的短距離にある検査施設へ輸送するという方法を使っている施設もありますが。)
 PETの画像はそのまま利用されることは稀です。バックグラウンドノイズを除いたり、放射線量を規格化したり、吸収補正を行ったりして(SPECTと違って吸収補正は比較的容易なのです)画像処理したものを見ている。ですから、どういう情報をどういう画像処理で引き出したものなのか、良く理解した上で読影しなくてはいけません。

現在あるPET装置は必要な分解能を得るために、コリメータがついています。原理的により分解能が得難いSPECT装置でもコリメータが使われています。装置の説明書や教科書を読むとその問題は解決するでしょう。

シンチレーターは、放射線を光に変えるものです。それをさらに電子に変えて増幅して計測します。γカメラのコリメータは、検出器に入射する放射線の方向を選ぶためのものなので放射線を通すものは使えません。しかし、そのうちに入射方向情報も計測する検出器及びそのシステムが開発されるとコリメータは不要になり感度が飛躍的に増加するでしょう。教科書にも書いてあるので、参照されるとよいでしょう。

この回答への補足

ありがとうございます、わかりました。またすいません、PETはコリメータを必要としないですよね、SPECTもコリメータを必要としないのですか?

PETは陽電子が転換した消滅放射線を検出しCTの原理で画像化する装置です。SPECTはγ(X)線を検出し、CTの原理で画像化する装置です。

例えはよくないかもしれませんが、CCDカメラというのはビデオカメラではなくってビデオカメラの部品ですよね?使いようによっては他のカメラ(デジタルカメラなど)にも部品としてのります。

γカメラという言葉は二つの意味があります。『ビデオカメラ』のレベルで言えば『シンチグラムに使うカメラ』ですし、部品のレベルで言ったら、ガンマ線を検出する部品のことなんです。部品レベルで言う『γカメラ』はコリメータのあるなしなどの違いはあれど、SPECTの機械にも搭載されているものだと思います。

単純Xpの原理をコンピュータを使い立体映像化したのがCTですが、シンチグラムの原理(集積核種からのガンマ線検知)を同じくコンピュータを使い立体映像化したのがPETやSPECTです。PETとSPECTの違いは使用する核種の違いだと思います。

この回答への補足

あー、そうなんですかぁ。ちょっと話が変わるんですけど、シンチレーターって、放射線を電子に変えるものなのですか?あと、今問題をやっていたんですが、「γカメラのコリメータは放射線透過度の高い物質で作られる。」っていう問題でこれは誤まりなんですよ、正しい説明はわかりますか?宿題で明日までなんです。お願いします。

γカメラとは『~シンチグラム』などという検査の時に使われる機械で、静脈注射された核種から放出されるガンマ線を検知することからガンマカメラといわれています。

日立メディフィクスというこの機械の大手メーカーのホームページを載せておきます。

この回答へのお礼

お答え頂きほんっとうにありがとうございます。何度もすみません、では、γカメラとSPECTは同じものなのですか?

参考URLをよんでください。原理は(3)の方がわかりやすく記述していると思います。

(1)PETについて
http://square.umin.ac.jp/TNMT/SHOKO/222.html
(2)医療応用されたPETについて
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/tracer/www/educ …
(3)SPECTとPET


専門領域がこれらを用いるところでないため、あまり深い知識なしに見ていましたが。なるほどこんなもんかあという感想です。まだまだ大学病院などにしかありませんが、これから増えていくんでしょうね。

この回答への補足

ありがとうございます。とても詳しく書いており、よく分かりました。でもγカメラがまだちょっと分からないのですが、分かりませんか?

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