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羅生門を読んでいて気になったのですが、後半部の

  そのときの、この男の心持ちから言えば、飢え死になどということは、ほとん ど、考えることさえできないほど、意識の外に追い出されていた。
 「きっと、そうか。」
  老婆の話が終わると、下人はあざけるような声で念を押した。
                        (羅生門/芥川龍之介)

下人の「きっと、そうか。」という言葉の効果がいまいち良くわかりません。
「きっと」とは何をさして「きっと」何でしょうか。
その後に「念を押した」、とあるので「きっと、そうか。」が念を押した言葉だと思うのですが、どうも納得がいきません。

どう言う風に解釈すべきなんでしょうか。
よろしくお願いします。

A 回答 (4件)

 老婆の話を聞くまでの下人は、盗人にならなければ飢死するのは明らかであるのに、盗人になることを積極的に肯定するだけの勇気がなかった。

また、老婆の死人の髪を抜くという行為は許されない悪だとも思っている。⇒ 餓死寸前という状況下においてもまだ人間らしさ、良心のかけらが残っている。・・・しかし・・・

 下人が老婆を捕まえると老婆は「自分が女の死人から髪を抜いているのは餓死しないためである。この女の死人も餓死しないために人をだましていた(蛇を干魚として売っていた)。だから、自分が女の死人の髪を抜いて鬘にして売るのも仕方のないことで、この女も大目にみてくれるだろう」と下人に話す。

 下人には、老婆の話を聞くうちに或る勇気が生まれてきた。⇒ 自分が餓死しないためには何でもできるという勇気が生まれてきた。

「老婆の死人の髪を抜いて売るという行為に対して、老婆に「きっと、そうか(おまえの言っていることに間違いないのだな!!自分が飢死にしないためなら何をしてもいいのだな!!)」と嘲るような声で念を押し、老婆の着物を剥ぎ取りその場から去っていく。

 物語前半の下人は極限状態においてもまだ人間らしさを残している、しかしそれは優柔不断でただの小心者であり座して死を待つだけの弱い存在でもある。

 しかし、「きっと、そうか」と声を出して言うことで人間としての良心の呵責を捨て去る瞬間が屹立してくる。ただ「生きる」という人間の本能が剥き出しになってくる。
「きっと、そうか」は、老婆に対して発せられた言葉であるが同時に本能のままに生きていいんだという自分への確認の言葉であり、また、目にみえない存在(たとえば神)への免罪符としての言葉でもあるのではないか・・・。

 下人はやはり「きっと、そうか」と声に出さずにはいられなかったのではないか。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。

>「きっと、そうか」と声を出して言うことで人間としての良心の呵責を捨て去る瞬間が屹立してくる。

思わず「なるほど」と手を打ちました。
あの言葉は老婆に言っているというよりも自分に言っている、そんな言葉なんですね。

詳しい回答、ありがとうございました。
とても参考になりました。

お礼日時:2005/09/28 19:34

質問者さんは「きっと」という副詞の使い方に


違和感があるのだと思います。
きっとは「屹度」と書きます。
屹度は「きびしく」とか「確かに」という意味で
ここでは老婆の論理に対して「確かにお前はその論理を守り通すのだな。俺もその論理を使うぞ」という
意味になると思いますが。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。
mat1922さんの言う通り「きっと」という副詞に違和感を感じていました。
回答のおかげで納得がいきました。

ありがとうございました。

お礼日時:2005/09/28 19:37

一応通説では


「悪に対する悪は許される」
ということを下人が確認したときの言葉となっています。つまり盗人になるという行為の自己内での容認ということなのでしょうが・・・
実際に小説の意図なんていうものは書いた本人にしかわかりませんし、それがさまざまに解釈されて広がっていくわけで・・・読まれた本人が哲学的に考えていくことに意義があるように思います。
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この回答へのお礼

早い回答ありがとうございます。
>盗人になるという行為の自己内での容認
なりほど、そう言う解釈の仕方もあるんですね。

私も色々考えて自分なりの解釈を見つけて、意義のある読書に努めたいと思います。

お礼日時:2005/09/28 19:28

>下人の「きっと、そうか。

」という言葉の効果がいまいち良くわかりません。

老婆が自分の行為を正当化したのを納得したのだと思います。

>その後に「念を押した」、とあるので「きっと、そうか。」が念を押した言葉だと思うのですが、どうも>納得がいきません。

その後の「では、俺が(略)」が念を押した言葉だと思います。
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この回答へのお礼

早い回答ありがとうございます。

>老婆が自分の行為を正当化したのを納得した

なんとなく分かったような気がしました。

お礼日時:2005/09/28 19:22

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