A 回答 (14件中1~10件)
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No.14
- 回答日時:
大学中退後からリトアニアに行くまでの杉原氏の若い頃については、あまり語られていません。
その辺りにも要因はあると思います。1つ言えば、満州のシベリア鉄道買入交渉時に収集した資料などは、日本政府も分からない隠れた人脈があったものと推察されますので、ユダヤ人救済となることを予想できなかったと必ずしも断言できません。
ユダヤ人も国の無い民だったからこそ、世界中に情報網がめぐらされていますし、その手の危機感が鋭い人たちなので、1人が何か知ったり、気がついたりすれば、蜂の巣をつついたかのように大勢が動き出す可能性があります。もし富裕層のユダヤ人のためにビザを発給したのでしたら、美談にはしないでしょう。
ただ、杉原氏の外務省の命令に背き、無償でビザ発給という行為は、かなりの動機が必要です。それをユダヤ人とソ連の関係だけでは無理があります。実際、杉原氏もソ連政府も互いを好んでいませんから、杉原氏がソ連とリトアニアの情勢を熟知していたと考えるのが自然です。
No.13
- 回答日時:
〈2000万人分の公開裁判が行なわれていたということでしょうか。
〉公開裁判にかけられるのは、大物だけです。大物が一人逮捕されるということは、その大物の親族や、人脈に属する何百人かも、連座して、逮捕されているということです。
質問者は財産にこだわっていますが、没収されるような財産を持っているユダヤ人は、正規にビザを取って、さっさと逃げています。日本政府は、十分な旅費と、最終目的地のビザを持っていることを通過ビザ発給の条件としました。ユダヤ人に通過ビザを発給したのは、杉原だけではありません。しかし、他の領事は、条件を満たしたユダヤ人に限定していました。
十分な旅費を持たない外国人の入国を拒否するのは、どこの国でも同じです。今もそうです。杉原は、その点で、命令に反する行動を取りました。
実際、杉原のビザで日本領に入ろうとしたユダヤ人の一部が、旅費が無いという理由で、入国を拒否されました。日本国内のユダヤ人団体と、オランダ大使館が身元引受人になるという条件で、やっと入国が許可されました。
入国しても、その先の旅費がないので、6千人のうち、5千人は日本から出られませんでした。そして、戦争が始まると、彼らは送還すべき母国が無い外国人として、上海に送られました。
No.12
- 回答日時:
質問者は、ソ連の粛正が秘密だったと思い込んでいるようですが、ソ連は粛正を隠すどころか、公開裁判をやって、粛正を大々的に宣伝していました。
マルクス主義は絶対の真理と考えられていましたから、それに反した人間を殺すのは、正しいことであり、政治宣伝と政治教育の絶好の材料でした。中国の文化大革命のときも、失脚した幹部が公開裁判にかけられ、人民からつるし上げられる場面を、全世界に堂々と流していました。それが社会主義というものです。ソ連のユダヤ人迫害も、よく知られていました。イスラエルが誕生すると、イスラエルはソ連が解体するまで、ソ連のユダヤ人差別を非難し続けました。
ロシアはユダヤ人差別が激しかったので、ユダヤ系ロシア人の多くが、社会主義革命を信じ、命懸けで、革命のために働きました。しかし、その期待は裏切られました。
ソ連建国の時の記念写真では、雛壇の上に、レーニンを囲んで、ユダヤ系の政治局員がずらっと並んでいましたが、スターリンによって失脚させられ、写真から消されていきました。最後のユダヤ系大物のカーメネフは、1934年の大粛正で逮捕され、モスクワ裁判で自己批判させられた後、銃殺されました。国外追放されたトロツキーが、メキシコで暗殺された時は、世界的なニュースになりました。レーニンがユダヤ系だという事実は、反ソ宣伝のために捏造されたデマと決め付けられました。
ロシア人は昔からユダヤ人が嫌いであり、ユダヤ人差別が国民性になっています。体制が変わっても、国民性は変わりません。
杉原千畝はロシアの専門家であり、情報収集のために、ユダヤ人の情報提供者と接触がありましたから、リトワニアがソ連領になると、ユダヤ難民が危険になることはよくわかっていたはずです。ユダヤ難民も、ソ連から逃げたかったわけです。
杉原は、ナチスだけではなく、ソ連からも、ユダヤ難民を救ったのですが、ドラマでは、ナチスだけが悪者にされていました。推測ですが、マスコミの上層部には、社会主義国の真実の姿を隠しておきたい老人が残っているので、そこまで描けなかったのかもしれません。
なお、ユダヤ人の情報提供者に対して、便宜を図るようにという公電が残っており、それがユダヤ人に対するビザ発給は、外務省の方針だったという説の根拠になっているようですが、外務省が便宜を図るように命じたのは、少数の情報提供者に対してだけでした。難民に対するビザの大量発給が、杉原の独断だったことに変わりはありません。
この回答への補足
2000万人分の公開裁判が行なわれていたということでしょうか。
当時は、命を奪われるということよりも財産没収のほうが切実だったとおもうのですが。ソ連では個人の商売は非合法ですよね。
No.11
- 回答日時:
歴史の事情を知るには、資料を丹念に読むことと、そこに想像力を働かせる
ことが必要です。
もっとも、そこには個人の主観が入る余地があるのですが。
>杉原に助けを求めたユダヤ人は、ナチスから逃れようとしたのではなく、
>共産主義から逃れようとしていたと思われます。
>一般ユダヤ人がソ連をそれほどまでに恐れていたということに疑問が
>あります。
第二次世界大戦前のヨーロッパ諸国は、共産主義と共産主義国家であるソ連を
非常に恐れていました。
極端な話、ナチスの台頭も、ドイツの共産主義勢力拡張への反動であった
とも言うことができるわけです。
また、共産主義勢力への恐れは、それは同じヨーロッパに住んでいたユダヤ人も、
同様であったと考えることができます。
次に、ドイツや東欧諸国から逃げ出したユダヤ人たちは、自分たちを受け入れて
くれる国を探していました。
No.11で紹介したURLにあるように、イギリスもアメリカも、当時は大量の
ユダヤ人受け入れに否定的でした。
それでは、ソ連が逃げてきたユダヤ人を積極的に受け入れたかというと、
それはNOでしょう。
自国領土を通過させることでさえ、日本のビザ無くしては認めようとしません
でしたし。
スターリンの大粛清について、当時のユダヤ人たちが正確な情報をもっては
いなかったでしょう。ですが、ユダヤ人たちはソ連が自分たちにとって安全な
居場所ではないことは、恐らく理解していたと思われます。
No.10
- 回答日時:
>(1)ポグロムは当時のソ連でも行なわれていたのでしょうか。
>(2)スターリンの大粛清はユダヤ人をターゲットにしたものではないはず。
ポグロムの事実は確認できませんが、当時のソ連国内のユダヤ人は他の多くの
民族と同様、集団隔離政策の対象となります。
ソ連国内のユダヤ人は、遠く満州との国境付近に強制移住させられました。
またユダヤ人指導者は、スターリンの大粛清の対象に含まれたようです。
参考資料『ウィキペディア-ユダヤ自治州』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%80% …
>(3)当時の状況は、ナチスドイツ支配下のポーランドなどからソ連支配下の
>国(リトアニアなど)にユダヤ難民が大量に流入していましたが、これは
>ソ連圏であれば助かると思ったからなのではないでしょうか。
リトアニアなどバルト海周辺の国がユダヤ人にとって、比較的安全であった
からでしょう。
実際にはリトアニアはソ連による併合寸前の状態でしたが。
また質問者の方は、総じてソ連に対して理解が不十分のように思われます。
当時のソ連は世界で唯一の共産主義国家であり、指導者であるスターリンは
古今稀に見るほどの独裁者でした。
彼は外国からのスパイ流入を極度に警戒しており、たとえ同じ共産主義者で
あっても、スパイの疑いがあれば容赦なく処分していました。
その彼が、スパイが紛れ込んでいるかもしれないユダヤ人の集団数千人を
受け入れるはずはないと、当時の状況から推測しています。
(ソ連関係の資料を詳しく調べれば正確な情報が得られるでしょうが、専門家
ではないので、そこまで調べるつもりはありません)
また、以下のURLで当時の欧米諸国が、ユダヤ人問題に冷淡だったという
ことを説明していますが、ソ連は項目すらありません。
ソ連がユダヤ人に寛容だったというよりも、共産主義国家のソ連が外国民を
受け入れなかったという点では、最初から論外だったから取り上げなかった
のではないかと判断しています。
◎参考資料『ヘブライの館2-ホロコーストを黙殺した欧米諸国』
http://inri.client.jp/hexagon/floorA6F_hb/a6fhb3 …
>(4)本当に貧しいユダヤ人が地球を半周して日本に来ることが出来るでしょ
>うか。日本に行くことが出来る比較的裕福な層でなければ、杉原のビザは
>何の効果もないのでは。
彼らはトランク一つで脱出したとは言え、それでも日本に行くまでの旅費を
もっていたという点では、中流層以上かもしれません。
実際、ポーランドから逃げ出すこともできず、ホロコーストの犠牲となった
ポーランド出身者のユダヤ人の数は270万人にも上ると言われています。
◎参考資料『ウィキペディア-ホロコースト』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AD% …
この回答への補足
大粛清にこだわられているようですが、
スターリンの大粛清はフルシチョフの代になって始めて明らかになったものです。
1940年当時の一般ユダヤ人が、スパイに対して厳重に警戒していたとあなたが言うソ連からどうして大粛清の内容を知る事が出来たのでしょうか。
No.9
- 回答日時:
テレビドラマと、薄っぺらなウェブの情報しか、目を通していないのでは
ありませんか?
いろんなリソースを通して調べれば、実像が少しずつ見えてきます。
昔、NHKの特集で見たのですが、シカゴの商品先物取引所の会長は、杉原
千畝氏に助けられたユダヤ人だったそうです。
当時は子供だったのですが、ほとんど着の身着のままで、ヨーロッパから脱出
したとのこと。
ヨーロッパでは金持ちだったユダヤ人もいたかもしれませんが、体一つで
脱出する人がほとんどだったようで、とても見返りの金銭を期待できるような
状況ではありませんでした。
他の方のように、その場での賄賂もなかったようですし、金銭目的という動機
では無かったと考える方が、自然でしょう。
この回答への補足
何度も言いますが、私は金銭目的だったと言いたいわけではありません。
時系列を整理すると、当時のリトアニアはソ連の保護下であったためナチスの脅威はなかったわけなので、テレビドラマや薄っぺらなウェブの情報で語られるような、貧しい人などの多くの人命を救おうと思ってやったことではなかったのではないかと疑問に思って質問しています。
現時点での疑問点を整理してみました。
一般ユダヤ人がソ連をそれほどまでに恐れていたということに疑問があります。
(1)ポグロムは当時のソ連でも行なわれていたのでしょうか。
(2)スターリンの大粛清はユダヤ人をターゲットにしたものではないはず。
(3)当時の状況は、ナチスドイツ支配下のポーランドなどからソ連支配下の国(リトアニアなど)にユダヤ難民が大量に流入していましたが、これはソ連圏であれば助かると思ったからなのではないでしょうか。
(4)本当に貧しいユダヤ人が地球を半周して日本に来ることが出来るでしょうか。日本に行くことが出来る比較的裕福な層でなければ、杉原のビザは何の効果もないのでは。
No.8
- 回答日時:
7です。
昨日のドラマはチラチラと見ましたが、外務省がナチスのユダヤ人差別政策に加担したかのような描き方で、おかしいと思いました。
本省がビザの大量発行を許可しなかったのは、ドイツに同調したためではなく、旅費のない難民を入国させて、面倒を抱え込みたくなかったからです。だから、杉原のビザの大量発給は、違反ではありましたが、国策に反するというような、重大な違反ではありませんでした。杉原はカウナス退去後も、ロシアの専門家としての能力を発揮して、順調に出世し、44年には勲章まで貰っています。
もともと日本には反ユダヤ感情はなく、日露戦争の時には、戦費調達のためにユダヤ人銀行団に助けてもらいました。日本の国債は、何度も暴落寸前までいきました。もし、暴落していたら、戦費が調達できず、大陸の日本軍は、武器弾薬が切れて、全滅していたでしょう。
ナチスが出てくるまでは、ロシアは世界で一番ユダヤ人差別が激しい国でした。ポグロムというユダヤ人虐殺事件をしょっちゅう起していたので、欧米のユダヤ人銀行家は、破産覚悟で、日本の国債を買い支えてくれました。だから、軍部や政界の一部には親ユダヤ感情がずっと存在していました。満州国の中に、ユダヤ人自治区を作り、ヨーロッパからユダヤ人を呼んで、経済特区にしようという計画までありました。
対米戦争が始まると、送還すべき母国を持たない国内のユダヤ人は、上海のユダヤ人居留区に送られましたが、それは差別のためではなく、治安上の理由からです。居留区は出入り自由で、比較的安全に暮らせたそうです。
一部に、杉原のビザ発行は、本省の指令に従っただけという説がありますが、杉原の独断を咎める公電が発見されているので、それが誤りであることは証明されています。
〈金を受け取っていないからといって、金目当てではなかった、とは言えないはずです。〉
何が言いたいのか分かりませんが、杉原はロシアの専門家という自負を持ち、周囲からも評価されていましたから、外交官をずっと続けていくつもりだったのは間違いありません。GHQが役人の大量リストラを命じなかったら、ソ連大使は無理でも、かなり出世していたでしょう。外交官を続けるつもりだったのだから、金目当てということは、ありえません。
No.7
- 回答日時:
ナチスドイツ以前で、一番多くのユダヤ人を虐殺したのはロシアです。
ソ連共産党の初期の幹部は、ロシアに迫害されたユダヤ人が多かったですが、スターリンが権力を握る過程で、ユダヤ人幹部は粛正され、レーニンがユダヤ系だということは極秘にされました。ソ連に併合されるというのは、ユダヤ人にとって、恐ろしいことでした。回答6に関連しますが、ソ連兵が数人やってきて、空砲を打てば、ソ連を怖がっているユダヤ難民は、クモの子を散らすように逃げたはずです。なお、日本領事館前に集まったユダヤ難民は、数十人程度だったようです。
〈ということは、杉原がビザを発給したのはひょっとして金目当て。。。〉
質問者は、そこへ誘導したかったわけですか。杉原が賄賂を取らなかったことは、とっくに決着がついていると思いますが。
そもそも、ビザで入国を制限するのは、旅費も無いのに入国して、迷惑をかける外国人を入国させないためです。ソ連が日本の通過ビザのあるユダヤ人にだけ、通過を認めたのは、確実にソ連から出ていくという保証を求めるためです。
日本領事館前に並んだユダヤ人のほとんどは、貧しい難民でした。日本滞在と、日本から出国するのに必要なだけの旅費を持っていたなら、ビザ発行条件を満たしましたから、通過ビザを発行できました。ユダヤ難民に通過ビザを発行した日本の領事は杉原以外にもいました。しかし、杉原以外は、十分な旅費を持っているという条件に合った人に限定していました。
ビザの発行は領事の裁量です。それなのに、杉原がわざわざ本省にお伺いを立てたのは、十分な旅費を持たないユダヤ人を、人道上の理由で、大量に入国させてよいかという、治安上の理由からです。
杉原ビザで日本に入った6千人のうち、外国の親戚の送金などで日本を出国できたのは千人だけで、残りの5千人は出国するだけのお金がないので、日本国内のユダヤ人団体の世話で生活し、戦争中は、上海のユダヤ人居留区に送られ、戦争が終わってから、イスラエルに送還されたそうです。
ありがとうございます。
お話は概ね分かりましたが、
金を受け取っていないからといって、金目当てではなかった、とは言えないはずです。
しかし、私は「金目当て」にこだわりたい訳ではありません。
仮に金目当てだったとしても、多くの命を救う結果になったことには間違いないのですから。
No.6
- 回答日時:
>なお、回答2の〈自らの危険を感じてのものであった可能性〉はありません。
>なぜなら、在外公館の安全を守るのは、その国の義務だからです。
>領事館が現地当局に保護を依頼したなら、警察でも、軍隊でも動員して、暴徒を鎮圧しなければなりません。
そりゃ道理ですが、あの状況下・情勢下ですからねえ。
ソビエト側の手厚い保護など望めるかどうか微妙じゃないですか?
二次大戦終了後現在までであれば全くその通りだと思いますが。
この回答への補足
皆様。御回答ありがとうございました。
もうひとつ疑問に思うことがありまして、
杉原がビザを発給した時期はリトアニアがソ連に併合(1940/8/3)された時期と重なります。なので、杉原に助けを求めたユダヤ人は、ナチスから逃れようとしたのではなく、共産主義から逃れようとしていたと思われます。経済活動が出来なくなることを恐れたユダヤ人資本家が中心ではなかったのではないかと。
ということは、杉原がビザを発給したのはひょっとして金目当て。。。
という結論は飛躍しすぎでしょうか。
No.5
- 回答日時:
> 結果的には多くの命を救った事になりましたが、ピザを発給している
> 時にはこれが命を救う事になるとは杉原は予想できなかったはずです。
ここが誤りです。
ヨーロッパにおけるユダヤ人差別というのはともかくすごいもので、大量虐殺があろうが無かろうがユダヤ人たちは身の危険をはっきりと認識していました。だからこそ、ユダヤ人たちは逃げようとしていたのです。
そうでないとしたら、なぜに「多くの命」というほどの人数が逃げようとしたのか、説明できなくてはなりません。
杉原は、当然、その思いに応えたのです。
杉原の業績を無視しようとする動きは、日本が帝国であったと位置づけようとするGHQの意思と、GHQに解体されずにそのまま残った外務省のメンバーがその意思に迎合した結果です。
この意思は、War Guilt Information Program と呼ばれるGHQの洗脳政策として実施されました。
杉原の業績が顕彰されると、悪の帝国であるというテーゼが崩れてしまいますから、認めるわけにはいかなかったのです。
GHQによる洗脳の影響は現代にも残っており、「日本人がいいことをしたはずがない」という偏見が多くの人に刷り込まれています。それゆえに、素直に偉業を偉業として見ることができず、妙な動機を探そうとしてしまう心理が働くのです。
早めに、洗脳から脱しましょう。
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