小泉純一郎首相の靖国神社参拝を傍論で違憲と判断した
大阪高裁判決が10月17日に確定しました。
1) 原告側の賠償請求が棄却され、勝訴した国側が上告し
ても、上訴の利益がないために棄却されるのは間違いない
2) だから国側は上告しなかった(岩手靖国違憲訴訟を踏まえて?)
3) 原告側は傍論の違憲判断を評価し、こちらも上告
しなかった
4) 結果として、今回の傍論の違憲判断は高裁レベル
の初の違憲判断として確定した
と、このように理解しています。
とうことは、高裁レベルで違憲か合憲かの判断がなされ
なかった、もしくは合憲と判断された別の損害賠償請求
にたいして、原告側が上告した場合、最高裁判所が違憲
かどうかの判断をしてくれるのでしょうか?
そして、現在そういう訴訟は進行中なのでしょうか?
No.9ベストアンサー
- 回答日時:
キリがないので、これを最後にしますが…。
>>結果に影響しない理由は無意味、という風に理解する方が自然に感じられます。
法学的には誤りです。結論に至る過程の論理を重要とするのが法学です。たとえ最終的な結果に影響しないとしても、過程で述べられたことは決して無意味ではありません。
>>「違憲、だから原告勝訴」とすれば国が上告できたのに。
それは参拝自体の合憲性とは別の論点(政教分離原則と信教の自由の関係など)が関係してきますから、あのような判決になることも当然ありうることなのです。
>>いきなり原告として適格かどうかを判断する訴訟の方が、費用や
日数のコストが削減できていいような気がします。
(出された)結論を知っているから、そう思うだけです。結論から正しい考察法を考えてはいけません。考察から結論が出てくるのです。結論が出ていない段階で、いきなり請求の適格性を考察するのは、法学的に著しく不自然な考察法であり、法的素養のある人が見れば「最初から請求を棄却するつもりだったからそういう考察法を取ったのだろう」と考えることでしょう。
>>今回もその前の福岡地裁も批判されるべきは、
正しい法的思考を身につけた人が見れば、今回の判決は批判されるべきものでも何でもありません。結論を先取らず、法的論理に沿った正しい考察をしています。
>>違憲判断を国が不服と感じても、勝訴しているために上訴が認め
られない、という部分につけ込んだような、言い逃げのように見える部分ではないか、
結果論です。考察法は正しいのですから。
強いて言えば悪いのは、判決理由中の判断を理由とした上訴を許さない現在の訴訟法でしょうか。大阪高裁判決が悪いわけではありません。
なお、既に述べたとおり現在の学説状況から見れば、今回の靖国違憲訴訟で原告の請求が認められる余地は法学上十分にあります。
ご回答ありがとうございます。
行政訴訟に関する大学の講義で、原告不適格により請求
棄却という例を知り、最初から教えてあげればいいのに、
と違和感を感じたことを思い出しました。
私の理解はその頃から進歩がないようです。
>強いて言えば悪いのは、判決理由中の判断を理由とした
>上訴を許さない現在の訴訟法でしょうか。大阪高裁判決
>が悪いわけではありません。
上訴を許さなかった最高裁の前例がある以上被告は
上告できず、また原告も間違いなく上告しない、
それが分かった上であえて違憲の判断をしている
のですから。
他の訴訟ですべて同じ結論に達しているわけではないと
いう点で議論の余地がある問題に対して、それは
やっぱり言い逃げじゃないかな、と。
No.8
- 回答日時:
日本における違憲審査は、現行制度上通常の訴訟の中で行われます(付随的審査制)。
判決主文で違憲が宣言されることはなく、違憲の判断は常に判決理由の中で書かれるのです。今回のような判決を違憲判決と言わないのであれば、日本において違憲判決なんて存在しないことになってしまいます。私は、大阪高裁判決は紛れもなく確定した違憲判決であると考えます。「裁判判決に私的な思想信条を基に無理やり傍論として判決に書き加えた」とか言っている方がいますが、私はそうは思いません。今回の訴訟が、論文式の試験として出題されたとして、どのような論文が評価されるでしょうか。間違いなく「参拝は合憲か」→「請求は認められるか」という答案構成のものですよ。いきなり請求の適格性を論じた答案には、必ずや低い評価しか与えられません。前者の方が、法的思考として自然なんですよ。ですから今回の大阪高裁判決は、間違っても必要のない裁判官の個人的な意見をことさらに付け加えたものではありません。実際にそういう順序で検討したということです。
判決理由というのは何のために書かれるのでしょうか?その判決がどういう検討を経て出されたかを明らかにし、判決を事後的に検証する(不当な部分があると思われる場合は上訴する)ためにあるんです。とすれば判決理由は、できる限り現実に判決を出すために行った考察に近い形を取るべきであり、現実に考察を行ったにも関わらず、出た結論からすれば結果的に不要だったからといって、書かないべきではありません。
批判されるべきは、朝日訴訟最高裁決定のように、結論を出した後に念のためなどと称して憲法判断を行うケースであり、請求を検討するうえで憲法判断を行うことが法的思考として自然である場合は、全く非難に値しないものと考えます。
ご回答ありがとうございます。
結果に影響しない理由は無意味、という風に理解する
方が自然に感じられます。
「違憲、だから原告勝訴」とすれば国が上告できたのに。
今回もその前の福岡地裁も批判されるべきは、違憲判断
を国が不服と感じても、勝訴しているために上訴が認め
られない、という部分につけ込んだような、言い逃げの
ように見える部分ではないか、と思います。
論文の評価については皆目見当もつきませんが、いきなり
原告として適格かどうかを判断する訴訟の方が、費用や
日数のコストが削減できていいような気がします。
適格な原告が違憲・合憲の司法判断をもとめる訴訟を
起こしてくれないものでしょうか。
No.7
- 回答日時:
No.2です。
高裁で判決は確定しましたが「違憲判決」が出たわけでない。(原告棄却との判決が出たんですよね)
裁判所には「違憲立法審査権」はあるので法律に関する違憲合憲の判断を問う裁判は原告適格は緩やかなのでほぼ誰でも可能。
ただし今回のような行政庁や行政機関の違憲行為に関する違憲合憲の判断は必ず何らかの裁判上の権利を持つ者による裁判か民衆訴訟等による訴訟が必要です。
つまり不正な公費の支出等での裁判すれば判断を仰ぐことは出来ますが、本件の原告及びその取り巻きたちは民衆訴訟等の手段では違憲判決や国の敗訴との判決は通常出ないことをよく熟知しており、原告適格がないのを承知で今回のような傍論等なら違憲との意見の出る可能性がある通常裁判を山ほど仕掛けているのです。
山ほどある馬鹿な裁判のうち偶々ひとつがこのような
馬鹿な判決となったと言うことです。
ご回答ありがとうございます。
>つまり不正な公費の支出等での裁判すれば判断を仰ぐ
>ことは出来ますが、本件の原告及びその取り巻きたちは
>民衆訴訟等の手段では違憲判決や国の敗訴との判決は
>通常出ないことをよく熟知しており、原告適格がないの
>を承知で今回のような傍論等なら違憲との意見の出る
>可能性がある通常裁判を山ほど仕掛けているのです。
なるほど、目からうろこがおちるような思いです。
No.6の回答者も書かれているような形で、「金返せ」的
な訴訟を起こせば良いわけですね。
白黒つけるために、それこそ合憲論者でもいいから
そういう訴訟を起こしてくれないものですかね。
No.6
- 回答日時:
9月30日の大阪高裁の違憲判決を知った小泉は上告を問う記者に対して「勝訴でしょう」と答えていますね。
10月17日に福岡地裁についで大阪高裁の違憲判決が確定しています。この件は終了しています。
浄土真宗10派(東本願寺、西本願寺)で組織する、真宗教団連合が小泉に小泉の参拝行為は憲法違反と抗議文を出しています。
どうして原告が上告しなかったのか分かりがたいですね。裁判費用かなんらかの差し金か。
小泉が公務中に公用車に乗って参拝するのはけしからんと思います。玉ぐし料は自費らしいですが。
以前の私人として発言政治家(小泉も)は玉ぐし料や職務抜け出し分の給料を国民に返還しなければならないと思う。職務抜け出しの職務怠慢も謝罪せよ。ふざけるなですね。
ご回答ありがとうございます。
>どうして原告が上告しなかったのか分かりがたいですね。
>裁判費用かなんらかの差し金か。
私としても原告が上告してくれなかったのは残念です。
最高裁で最終判断がくだされ、それが違憲合憲どちらの
判断であれ、以後の訴訟に拘束力をもつことができたの
にな、と。
No.5
- 回答日時:
傍論とは、判決理由を構成しない裁判官の個人的意見です。
にもかかわらす、マスコミに大きく取り上げられることを見越して行ったという点において、政治的意図が極めて高い発言であると思わざるを得ません。
三権分立にも抵触するであろう大問題であると考えます。
この回答への補足
ご回答ありがとうございます。
三権分立という点で、政治的な発言を裁判所が
行ってはいけない、というのは分かります。
しかしそうすると、政教分離という政治的な
問題について、司法の判断を下すにはどうしたら
よいのでしょうね。
No.4
- 回答日時:
靖国訴訟は、そもそも勝訴のありえない訴訟だという考え方をお持ちの方もいらっしゃるかとは思いますが、私はそうだとは思いません。
政教分離原則と信教の自由がどのような関係に立つかは、実は法学上争われているところです。そして現在憲法学会で最もメジャーである芦辺先生(故人)の学説によれば、政教分離原則は単なる制度的保障ではなく、信教の自由と表裏一体のものと考えなければならないとされています。つまりこの見解によれば、一人で国家を代表するような立場にある人が行った政教分離原則違反行為は、個人の信教の自由を侵害する可能性があるということになるのです。なお学説上は、政教分離原則をそもそも人権であるとする見解もあります(一方で単なる制度的保障とする見解もあります)。
No.3
- 回答日時:
先日の大阪高裁判決は、大変立派な判決であり、総理は判決の確定を厳粛に受け止めるべきだと考えています。
もっとも、日本では一定の例外を除き、一つの訴訟の結果は他の訴訟に影響しません。ですから他の訴訟で憲法判断が行われるかどうかは、その裁判所次第ということになります。
なお、私は大阪高裁の憲法判断は、傍論だとは考えていません。というのは、判決を導くための検討過程に入っているからです。本来傍論というのは、判決を導くの検討過程に入っていない、蛇足の記述を言うべきもので、その典型は朝日訴訟の最高裁決定です(訴訟は終了したと談じてから、なお念のためと称して憲法判断を行った)。
この回答への補足
ご回答ありがとうございます。
質問が曖昧でした。すみません。
違憲か合憲か白黒つけるにはどうしたらよいかと
白黒つきそうな具合に事が進んでいるのか、
というのを知りたいのです。
No.2
- 回答日時:
高裁で違憲の判断が確定したわけではありません。
高裁は本来憲法判断なしに賠償請求の棄却できる事案にかかわらず裁判判決に私的な思想信条を基に無理やり傍論として判決に書き加えた大暴挙でもっと広く批判される愚挙です。
傍論ならぬ暴論が高裁でまかり通った恥ずべき判例です。
どちらかといえば左の人間より。
この回答への補足
ご回答ありがとうございます。
> 高裁で違憲の判断が確定したわけではありません。
大阪高裁での判断は確定したと思うのですが。
最高裁での判断が出ていない以上、最終的な司法の判断は
確定していない、という意味でしょうか。
>本来憲法判断なしに賠償請求の棄却できる事案
であるというのが引っかかっているところなんです。
原告不適格というのですよね。
そのように門前払いされることなく、違憲か合憲かを
問うことはできないのでしょうか?
No.1
- 回答日時:
靖国関連訴訟での憲法判断は避けられる傾向にあるので、最高裁まで上告してもその判断をせずに、損害賠償の部分のみが論ぜられる可能性が高いと思われます。
現実問題、靖国参拝が違憲であろうと合憲であろうと、原告が賠償を受けられるかどうかが焦点なので、憲法判断はされない、もしくは傍論で語られるのです。
この回答への補足
ご回答ありがとうございます。
重ねて質問させていただきます。
>現実問題、靖国参拝が違憲であろうと合憲であろうと、
>原告が賠償を受けられるかどうかが焦点なので、憲法
>判断はされない、もしくは傍論で語られるのです。
原告は損害賠償が認められて被害を回復することが目的
ではなく、靖国参拝が違憲であるという司法判断がなさ
れることを目的にしているが、違憲か合憲かを直接問う
方法が損害賠償請求訴訟という方法以外にないので、そ
のような訴訟形態をとっている、と理解しています。
その場合、仰る通り、違憲か合憲かの判断をする前に
賠償されるべきかどうかを判断されてしまうわけです
よね。
違憲か合憲かを直接問う方法はないのでしょうか?
またそれはなぜでしょうか?
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