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特許明細書そのものには著作権はないとされていますが、明細書の背景技術の説明などにおいて、書籍・論文などの著作物から図面のコピーがそのまま転載されている場合、その図面の著作権の取り扱いはどのようになるのでしょうか。明細書に転載することによって、オリジナル図面の著作権が消滅するとは考えられませんが、著作権のない明細書を二次利用する場合に、オリジナル図面の著作権はどのように取り扱われるべきなのかが第一の疑問です。また、明細書に転載する場合に、図面の著作権者に転載許可を求めるべきなのか、その必要はないのかが、第二の疑問です。弁理士に質問しましたが、明確な回答が得られませんでした。よろしくお願いいたします。

A 回答 (1件)

まず図面に著作権があるという前提において、上記疑問は著作権法上の引用(著32条1項)、あるいは出願公開に当たっては開示のための利用(著42条の2)に該当するものであり、転載許可は不要と考えます。



本質的には、「図面には必ず著作権がある」という認識を改める必要があると考えます。技術論文(私見ですが明細書も含みます)が著作物であると言われる所以は事実等の説明の順序や表現方法が人によって異なり、そこに創作性を見いだせるからです。事実又はアイディア自体は著作物ではありません。
つまり、たとえば方程式、実験データ等は事実であって著作物ではありません。数式は初めて数式化した学者の著作物ではなく、実験データは初めて実験をして論文発表した研究者の著作物ではありません。また実験データを表現したグラフについても著作物としての創作性を認められていません。説明しようとする内容が同じであれば、その表現も同一もしくは似たものとなるのであって、内容が同じであるが故に表現が決まってしまうものは、創作性があるということはできないという判断です。
問題の図面ですが、ビジネスモデル特許等特殊な出願でない限り、上述したような事実を示している図面である可能性が高いと考えます。そのような観点で判断なされてもよいかもしれません。

なお、明細書が著作物である場合でも明細書の2次利用は認められる(著作権を行使できない)というのが一般的な考え方です(明細書の公共性より)。
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この回答へのお礼

早速懇切な回答をいただきありがとうございました。
おかげで理解がかなりすっきりしてまいりました。私自身は、特許よりもむしろ学術論文を書くことが多い、基礎よりの研究者です。仰るとおり、数式は著作物ではないというのが直感的に理解できますが、論文に掲載されている実験結果を表すグラフや、現象のメカニズム、物質の構造を説明する図面などは、二次利用にあたっては、論文の版権を持つ学会や出版社に転載許可を文書での許諾を得ることが求められ、場合によっては利用料金を請求されたりすることもあるのが通例となっているため、これらのものは著作物であるという理解をしておりました。仰るとおり、これらが著作物でないならば、特許明細への転載の問題も全く氷解いたします。ご回答を踏まえて、学会や出版社の見解を求めてみたいと存じます。ありがとうございました。

お礼日時:2005/11/09 21:14

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