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たまに「父系社会」についてナントカカントカ、「母系社会」について~、という話を聞きます。
しかし、そもそも「父系社会」「母系社会」というもの自体が僕にはよく分かりません。
これらの言葉について、説明していただけないでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。

A 回答 (4件)

人の世は男と女とで出来ておるわけですが、両者が性的に結びつくためにはそれぞれが別の集団に属している必要があります。



たとえば母を同じくするキョウダイの性的結合を許す社会はほとんど皆無です。同じ家族の中での性交渉はタブーです。逆に言えば、男女関係が許されない間柄が設定されることによって家族が生成し、したがって非家族も生成される、ここに性を仲立ちとする二集団が生成する、ということです。

さて、相異なる集団に属する男女が性行為を繰り返しおこなえばやがては子どもが生まれます。生まれた子供は二集団の協同作業による結果ですが、この新参者の所属は母側か父側か、どちらかに決めなくてはなりません。

なぜと言うに、未決定のまま放置しておくと、以後の婚姻が不可能になるからです。最初に述べたように、男女の結合は異なる集団間のみで可能です。子供の所属を片づけないままにすれば、その世代において、二つの集団間の境界はぐずぐずに崩れてしまいます。それは次代のメンバーを生み出すことができない、ということも意味します。

要するに人が生まれれば、その所属が決定されねばならず、生まれた子供が必ず父と同じ集団に属することになるなら父系社会、必ず母と同じ集団に属するなら母系社会と呼ばれます。

日本はとりあえず父系的な地位継承と財産相続を重く見る社会と言えるので、父系社会がどんなものかは類推が付けやすいのですが、母系社会はほとんど想像を絶するものでしょうから、ちょっと解説を足します。

母系社会とよく似た言葉に母権社会というのがあります。母すなわち女が社会的権力を握っている社会のことですが、これは想像の産物に過ぎません。権力へアクセスできる、それをめぐって闘争するのは常に男でした。例外はありません。

男親の地位と財産を男の子供が引き継ぐことが「父権社会」の基盤なら、それと対称の、女から女への継承と相続を原則とする母系社会は母権社会であるはずだ、という推論がまことしやかに述べられ、信じられた時代がかつてあったのでした。

でも事実において、母系社会における重要な地位継承と財産相続は、母から娘へというラインでおこなわれるわけではないのでした。これに並行する男のラインこそが本筋です。すなわち、オジからオイへ、です。母の兄弟から姉妹の息子へ、ということです。女のラインは言わば道具、物差しみたいなものです。

母系社会の「私(男の子)」は母親の兄弟のあとを継ぐのです。たとえば母系社会における王の地位は先王の姉妹の息子へと受け継がれます。先王の息子たちには継承権は最初からありません。母系社会においては父と息子の絆よりもオジと甥の間の関係が大切で、情的にも篤いものがあると言われます。

どうでしょう、お分かりいただけたでしょうか。ややこしいようですが、慣れればどうってことはありません。それに母系ラインをたどる集団の更新には一つ、父系のそれに優越する利点があります。不貞行為による暗々裡における血統の断絶が生じ得ない、ということです。でしょ? 父親は誰でもいいわけですから、夫以外のものとつるんでも母系集団にとっては痛くも痒くもないのでした。自分らの女、すなわち母、の子であることだけは疑いようがありませんから。
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この回答へのお礼

詳しいご回答、とても参考になりました。お陰で少しづつですが父系母系について理解できてきました。
回答有難う御座いました。

お礼日時:2006/01/09 22:56

財産と子どもを一族の女性から女性へと相続していくのが母系、男性から男性へとなるのが父系です。

また、祭祀・儀式が行われる単位を男系で遡るのか、女系で遡るのかという見方も可能です。

ちなみに、母系と父系は完全な対立概念ではなく、他に双系社会というものもあります。日本は、この双系または双系的父系社会に分類されることが多いようです。
詳しくは文化人類学の入門書などを読まれるといいでしょう。
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この回答へのお礼

双系社会…なんだか結構複雑なんですね。財産や血筋だけでなく、儀式のあり方まで分類されるなんて、奥深いです。
回答ありがとうございました。

お礼日時:2006/01/04 22:29

文化人類学上の用語ですね。



簡単に言えば「自分は母方、父方どちらの親族集団に属しているのか」「財産の継承はどのように行われるのか」という分け方です。その他婚姻形態も関係してきます。現在の日本社会では相続制度の平等化、結婚の自由化などにより、母系、父系という用語は学問の世界以外では死語に近くなったため理解しがたくなりました。

理解を助けるために母系社会の例をいくつかあげます。

1.政治的地位は男性が占めていても財産の継承は母から子供に行われます。
2.母親が大事なことで困ったときに相談するのは夫ではなく、自分の兄弟です。父親(夫)は発言権がありません。しかし、父親は自分の姉妹からは頼りにされます。
3.離婚する場合は妻が宣言します。夫はわずかな荷物をもって(財産はない)出て行きます(実家に帰る)

母系・父系の用語は動物の社会(特に猿など)でも用いられます。

詳しいことは文化人類学の入門書を読んで下さい。
「文化人類学入門」祖父江孝男著 
中公新書 ¥777+税
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この回答へのお礼

母系、父系といわれても「?」でした。ので、母系社会の説明も含めてだいぶ理解ができました。
本、早速買おうと思います。
回答ありがとうございました。

お礼日時:2006/01/04 22:28

 家の血筋を父親をたどっていくのか、母親をたどっていくのかということです。

王権で重要な意味を持ちます。つまり初代国王の正統な子孫は誰なのか?ということです。普通は男系(父系)を正統とします。これは幾つかの意味があります。

1・男は1年で何人もの女性に子供を作らすことが出来るが、女性の場合は1年に一人しか作れない
2・母系社会は外戚政治(母の父親・国王の義父に支配された政治)になりやすい
3・女王は陣頭に立って戦うことができない

などです。
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この回答へのお礼

血筋のことを言っているんですか。確かに、王権社会ではかなり重要ですよね。
一般的に父系社会という記述のほうをよく見るのですが、それにも理由はあったんですね。
回答ありがとうございました。

お礼日時:2006/01/04 22:25

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