No.3ベストアンサー
- 回答日時:
修辞は? ということになると「本歌取り」「体言止め」ですね。
この歌は、「古今集」巻1春上にある「梅が枝に来ゐる鶯春かけて鳴けどもいまだ雪は降りつつ」を本歌としているとされています。今回話題になっている歌と本歌とでは「鶯が鳴いている状況(春が来た)」と「まだ雪が降っている状況」が共通しています。ところが、「梅と鶯」の組み合わせ、「杉と鶯」の組み合わせが大きな違いとなっていますね。この歌のキモはここにあります。「梅と鶯」という日本古来の美意識から脱却し、「杉と鶯」という新たな美を発見したということなのです。
「本歌取り」という修辞は、歌を鑑賞するに当たって「本歌を意識し、本歌の情景や心情を重ね合わせる」ということで、今回の場合は、「鶯といえば梅なのにそうではなく杉と鶯なのか」と鑑賞する事になるのです。色彩を思い浮かべて見ると「杉と鶯」のほうが「梅と鶯」より、ピンク色が見える分暖かさを感じますね。要は色彩において「まだ寒いんだ」と感じさせているということにもなるのです。
この歌に関して言えば、鑑賞の要点は「体言止め」よりも「本歌取り」だと思われますので、「体言止め」については省略します。もし「体言止め」の何たるかについて関心がおありでしたら補足をいただければ、ご説明いたします。
No.2
- 回答日時:
No.1の方がおっしゃるように、掛詞等は見られないように思います。
修辞というなら、最後の「山」が「体言止め」というあたりでしょうか。
杉の葉の緑とその上に積もった雪の白という色彩の対照、さらに、あえて言えば、鶯の声という聴覚と、雪の白という視覚の対照等も指摘できなくないと思いますが……。
No.1
- 回答日時:
浅学にしてこの歌が詠まれた背景が分かりません。従って、字句の通りで読んでみますと、この歌の意味は次のようになるでしょう:
鶯が鳴き、春が訪れたが、しかし、関所のあるあふさか(逢坂)の山の杉には、いまだ降り続ける雪が積もり、山も関所も銀の雪に閉ざされている。
「逢坂の関」は、京都と東国のあいだを隔てる関所です。東国には、武士たちがいる訳で、この歌が、後鳥羽上皇が都にいた時に詠んだものなら、春が訪れているのに、東国との連絡はうまく行かず、かたくなに隔たりはあるものだ、という意味になります。
歌の技巧というと、何を指すのか分かりませんが、「鳴けど」は「無けど」にかけることがあり、「降る」は「ふる=時が経過する」にかけることがあり、「雪」は「行き」にかけることがあり、「杉」は「過ぎ」にかけることがあるのですが、どれもかかっていないように思えます。「逢坂」は、出会いと別れの場所ですが、それは歌に詠み込まれています。
しいて、技巧というなら、「鶯の鳴けども」は、「春が訪れたが」という意味だということだというぐらいです。春が訪れたにもかかわらず、逢坂の関は、降り続ける雪になお覆われている、というのは、「鶯の鳴けども」で、「春が訪れたが」という意味になるからです。(あるいは、「鶯の無けども」と取って、「鶯はいないが」とも読めますが、こう読むと、後の言葉と意味が繋がらなくなります)。
浅学にして申し訳ありません。
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