まったくの主観で申し訳ありませんが、世にある伝承、あるいは古典作品(古いものほどその傾向があると思う)は、まったくオチがないとはいわないまでも、当たり前のことをずらずらと書き連ねる性格が多いようです。たとえば源頼朝が奥州遠征のとき、駐留地に井戸を掘ったがなかなか出ず、やっとでてめでたしここはそれ以来何の井戸と呼ばれるとか、文学作品の例を挙げるほどストックがないのでできませんが、とにかく「何が面白いの?」と思うのです。
なぜ昔は「オチ」というかダイナミックな展開性を求めなかったのでしょうか。
No.8ベストアンサー
- 回答日時:
難しい質問ですね。
いわゆる笑い、という代物は、本人の知識というか一般性というか、そういったものにかなり左右されるのですよね。たとえば現代の笑いでも、オチがどう落ちているのか自体わからなかったら笑いようがないですよね?くだらないしゃれで例を挙げると・・・とりあえず「ふとんがふっとんだ」とでもしますかね。
まずこの洒落(というか駄洒落)がわかるためには布団というものをわかっていなければなりませんし、ふっとんだのところに意図的に布団をかけているところがわからなければなりません。そして布団が普通ふっとばないということも・・・
昔、ある落語家が、ネズミは大きい小さいの言い争いでネズミが「チュー」とないたという落ち話ですが、それを英語でやったらまったく面白くない。というのを本題の前に話していたのですが、それに似たような現象ですかね。上の布団は。大中小というものの意味とかを知っていたりとか、いろいろな要因が必要なんですね。笑うには。そして言語が違うとまるきり意味不明となります。
で、昔のそういった笑い話にも、同じ共通点はありまして、当時のいわゆる常識をしらなければ、どういう場面なのか想像できないところが多々含まれています。
でもって、常識とか生活体系というのは今と大きく変わっているので・・・一番わかりやすいのは狂言でしょうかね。あれは当時の生活像がないと、かなりわかりにくい代物で葉あると思います。わかれば楽しいのですが・・・
そして笑いを取るために文があるわけではないということです。いわゆる笑える文というのは、文を書くときに際し無限の数がある体系のひとつでしかないです。
たとえば、第2次大戦もので広島のことを書いたもので、笑いに走っているものはありますでしょうか?おそらくないとは思いますが、そのほとんどは「笑いを取るため」ではなく「後世に伝えるため、」を命題としています。
そのため、古典でも伝承系、伝奇系、娯楽系・・・という具合に、分けて考える必要があります。
伝承系は、いわゆる歴史書というやつです。笑いを求めるわけではなく、ただそういったことがあったということを詳細にのこすための代物ですので、あまり面白さを求めてはいけません。
伝奇とか、軍記物語というのは、いわゆる読んでいてわくわくする、今で言うミステリーとかホラーとかアクションとかに近い代物です。
娯楽系は・・・いわゆる、笑いをもとめたものですね。
伝承系は、いわゆる知識を得る面白さですので、そのほとんどは興味がなければ面白くもなんともないです。後者2つが、読み物として成立します。
質問者さんがどの系列をもって面白くないとするかはわかりませんが・・・文章からするとおそらく歴史書のことだと思うのですよね。もともと面白さを求めているものではないですから・・・あれは。
長くなりましたが、こういったところだと思います。
なお、No7の方のはいわゆる三国志演義ですね。正史三国志は歴史書ですから、読んでいて面白いかというと・・・そういった風には書いていないため、微妙だと思います。
「オチ」という言い方がまずかったかと思います。なんというか「展開」どんでん返しみたいな。そういうものを古典作品に求めるのは筋違いなのかなと思ったのですが、ジャンルによってはあるのですね。私が触れるものは観光地などに書かれている伝承の説明ですから、それを読んで「ぜんぜんオチがない」とでもそういわれれば当たり前なのかもしれません。ただ、あまりにも当たり前のことをつらつら述べているという印象はぬぐえません。
No.10
- 回答日時:
頼朝の堀った井戸の近くに住んでいて、毎日水を汲んでいた人々は、「これはなんと頼朝の堀った井戸なんだぜ」と思うとちょっとわくわくしたと思います。
井戸のような生活に密着したごくあたりまえのものに、実は歴史上の有名人が関わっていた!というのは、けっこう衝撃的ですし、語り伝えるだけの価値があるエピソードだと思います。
……地元では、という限定はつきますが。
(「それどこの井戸? 知らないよそんなの」という人には面白くもなんともない話でしょう)
これは、どんでん返しが話の外側に用意されている好例ですね。
私だって毎日普通に使ってる歯ブラシが実はみのもんたデザインでしたとか言われたらビックリして触れ回りますって。みのもんた知らない人には「へえ。それが?」でしょうけど。
今も、そんなふうに、「地元でだけ面白い話」「内輪でしか面白くない話」「背景や裏事情がわからんと面白くない話」はたくさんあります。
そういう話を、「いつどこで誰が読んでも面白い話」言い換えれば、「それだけで物語として成立する話(作品)」にきちんと仕立て上げるのが、物語の技術、テクニックというやつです。
「何が面白いの?」と思われるような伝承や古典は、そういう技術がまだ未熟だったり(ほとんど意識にないんじゃないですかね)、あるいは時代の移り変わりによって「いつどこで誰が読んでも」の想定範囲がズレてきてしまって、せっかくの技術が空回りしているのではないでしょうか?
物語の制作技術に関する古典中の古典、アリストテレスの『詩学』には、「内輪ネタを外の人に話しても分からんで!」「どんでん返しや「おおっ!」という発見のない物語なんてクソや!」ということがちゃんと書かれている……はずです。
(すみません今手もとにないので記憶が頼り)
昔の人々が物語としての面白さを「求めなかった」というよりも、多くの作り手・語り手・書き手側が「期待に応えられるような技術を持っていなかった」というのが実情でしょう。
ましてや現代の、目の肥えた読み手の期待に応えるほどの技術を求めるのは酷だと思います。
語り手が素人ならなおさらですし、下でも触れられておりますが、記録・資料性の高いものであればあるほど、物語としての面白さは排除されてしかるべき、という考え方があります。
(物語としての完成度とリアリティを両立させるのは難しいっすよ。みのもんたならたぶん歯ブラシぐらいデザインしてると思うんですけどねえ……いやもうそのネタはいいですか。すみません)
だからこそ、そういう期待に十分に応えられるような古典は素晴らしい!ということにもなるんでしょうけれども。
(……と、現代人らしく無理矢理オチをつけようとして……自爆)
なにか「頼朝の」というのは結構いろんなところにあるのではないでしょうかね。それらが全部真実かはどうも信じにくい。一種の土地売り込み見たいのがあるのかもしれません。それに伝承は歪曲され単純化されなんの変哲もないくそ話に落ちていくのかもしれないですね。「技術を持っていなかった」!おおいに考えられますよ。現代人の感覚って相当肥えてますよね。CMなどを見ても2,30年前とはレヴェルが違うというか、視聴者の成長が明らか。ましてや何百年前はというのもあるでしょう。
そういうわけで、総記ものなどはもっともそのかたくなさが出るのでしょうね。
No.9
- 回答日時:
伝承や古典は、その当時のことを記録したものです。
それを、現在の社会状況などの照らし合わせて初めて意味のあるものとなります。
ツール(道具)は時代とともに変わっていきますが、その当時の状況からツールや改善策が生まれたわけで、現在の状況を踏まえて考えていかないと、歴史は死学になります。
かつてのこととを、現代に置き換え考えていくことが人間の知恵です。
現代に置き換えられないのなら、歴史を知ることは意味のないこととなってしまいます。
頼朝が掘った「井戸」とは現代では何にあたるのか、それを発想できる人がリーダーとなるでしょう。
歴史を史眼でみるというのは、難しいでしょうね。当時の心持になるということは現代に染まっているわれわれにとって可能なのでしょうか。
No.6
- 回答日時:
現存する最古の物語といわれる(おそらく奈良~平安初期に成立したと考えられている)「竹取物語」でも充分に面白い展開でドラマティックです。
今昔物語集など平安後期~鎌倉頃の説話集に至っては、仰っているのとは正反対にオチやダイナミックさに満ちたものが多数入っています。
歴史書に目を向けても「日本書紀」の中で同時代に近い「壬申の乱」の項などちょっとした戦争物を読むような迫力が感じられます。
但し、現代人とは感覚の違う部分はありますからなかなか理解し辛いところがあるのは確かです。
なお、伝承については元々がその場所や名の由来を説明するためのもの(が多い)なので、あまりドラマティックすぎるとかえって信憑性が感じられないのでは。
No.5
- 回答日時:
それは本当に面白い古典を読んでいないからでは?
私は今でも『源氏物語』や『平家物語』は、十分面白いと思いますよ。
もちろん、細部のエピソードではつまらん場面もありますが、現代の大河小説
でも、隅から隅まで面白い話というのは、そんなにないでしょう?
また新しい作品ほど、古い作品をお手本にしており、面白い部分は受け継ぎ、
つまらない箇所は取り入れないようにしていると思います。
ある意味、文学の先駆者である古典作品に多少のアラがあるのはやむを得ない
と思います。
また、時代的背景というものも考慮しなければなりません。
中国では歴史的に、国家・天下を論じる文章を重んじ、創作話を軽視する傾向
がありました。
(前者を大説、後者を小説と呼びます。小説の語源はそこから来ています)
欧米においては、比較的自由な創作が許されたギリシャ・ローマ時代を除き、
中世以降はキリスト教の影響が強かったため、教会ににらまれるような内容の
作品が書けないという縛りもありました。
欧米で面白い文学が増えるのは、キリスト教の束縛が薄れてきたルネサンス
時代以降なのは、そのような理由があるからです。
No.4
- 回答日時:
文学の範囲は広いということを無視していませんか。
紀行文や軍記に落ちは必要ありません。淡々と事実を記録したり、風景を描写しその時の心情を述べるだけでしょう。
オチがある文学、必要な文学がありますが、通常はオチを明らかにつけるのは落語や人情ものでしょう。古典は時代背景、当時の習慣、人間心理などが分かり推察力を働かさなければ面白みが出ないと思います。
文学的な素養がないのでだめですけど、伝承で読んだものに「面白み」を感じませんでした。あっというような逆転満塁サヨナラホームランのような鮮やかさがないんですよね。印象に薄い気がします。
No.3
- 回答日時:
「オチ」や「ダイナミックさ」が読者の心の中にあったからです。
「当たり前のことをずらずらと書き連ねる」と感じているうちは「読んで」いるのではなく、ただ「文字を追って」いるだけに過ぎません。
書かれていることから情景や当時の世相を思い浮かべ、そこに息づく人々の心情などを感じることこそが「読む」ということではないでしょうか。
あいにく私はその井戸の話を知りませんが、想像してみてください。
井戸を欲する人の気持ち、掘っても掘っても水が出ない苦しみや絶望感、そして遂に水が出たときの高揚……
とても「ダイナミックな展開性」に溢れているではありませんか。
No.1
- 回答日時:
こんにちは。
高校の国語の先生がある時、話してくれた内容です。
第二次大戦終了後、GHQのお偉いさんが、「日本を統治するに当って、日本人を知らなければいけないので、日本を代表する詩を選んで英訳してくれ」とある日本の国語学者に命じたそうです。
その人は島崎藤村の「緑なすハコベは萌えず、青草も敷くによしなし・・・」という詩を選んで英訳して渡したそうです。
そのお偉いさんは詩の英訳を読んで「この詩は何も書いてない詩ですね」と言ったそうです。
かの学者さん、「どうしてですか?」と聞くと、「『緑色のハコベという草が芽生えた』と書いてあるのでその情景を思い浮かべて次を読んだら『そんな物はない』、『青い草が生い茂っている』とあるのでそれを思い浮かべて次を読んだら『そんな物はない』・・・結局全部読み終えて何も残らない作品だった」といったそうです。
日本人なら「緑色のハコベが芽吹いた、そんな物はない」とは読みませんよね。(笑)
これは、「ハコベが芽吹くにはまだ早い早春である」というのが日本人的な訳?でしょう。
そして、肌寒さや残雪などの光景を自分の頭の中に想像する事で作品を味わっているといえます。
当然、想像される物は人によって違います。
同じように「オチ」という定型的な結末に固定される事を嫌ったのではないでしょうか。
逆にいうと、そこからいろんな事を想像(創造?)できる自由度を楽しんだのではないかと思います。
「オチ」という言葉の選び方が適切だったかどうかと思いますが、「展開」といってもいいと思います。そういう「静的」な展開というものが、どうもあまり情緒だけで、ストーリーとして強くない気がしました。
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