李白の詩について
中国の友人から李白の『月光吟』という五言絶句の詩を教えてもらいました。詩の内容を説明してもらったのですが、詳しく知りたいです。日本語に訳すとどんな詩になるのでしょうか?
床前明月光
疑是地上霜
拳頭望明月
低頭思故郷
です。字は何箇所か間違っているかもしれません。よろしくお願いします。
「静夜思」セイヤシと読むのが一般的ですが、「静夜の思い」と訓読する学者もいます。訓読も訳も下の方のが参考になると思います。なので井伏鱒二のちょっと趣の異なる訳を。
ネマノウチカラフト気ガツケバ
霜カトオモフイイ月アカリ
ノキバノ月ヲミルニツケ
ザイショノコトガ気ニカカル
ザイショは在所。郷里、ふるさとの意味。
これは江戸時代だったか、昔の訳の剽窃らしいのですが、古拙な味わいがありますよね。
あと谷崎潤一郎もこの詩について言及してます。
今から千年以上も前の「静夜の思い」でありますけれども、今日のわれわれが読みましても、牀(=床)前の月光、霜のような地上の白さ、山の上の高い空に懸かった月、その月影の下にうなだれて思いを故郷に馳せている人の有様が、不思議にありありと浮かぶのであります。また、現に自分がその青白い月光を浴びつつ郷愁に耽っているかの如き感慨を催し、李白と同じ境涯に惹き入れられます。(『文章読本』より)
漱石は『こころ』のなかで「故郷」をこんなふうに形容してます。
私は何時でも学年試験の済むのを待ちかねて東京を逃げました。私には故郷がそれ程懐かしかったからです。貴方にも覚えがあるでしょう、生れた所は空気の色が違います。土地の匂も格別です、父や母の記憶も濃やかに漂っています。
土地への愛着はもちろん家族や親類、旧友への想いも含め、故郷を離れている人にとって特別ですよね、ふるさとって。その中国の方が故郷を離れて日本に滞在しているのなら、この有名な望郷の詩にひとしおの感慨があるかもしれませんね。
こんな感じでしょうか。
秋の夜、目覚めると寝台の前を月光が照らしていた。
そこは明るく輝き、まるで地上に霜が降りたようだった。
光をたどって窓の外を見上げると、山の端にかかる月が見えた。
その景色を見ていると故郷が懐かしくなり、思わずうなだれてしまった。
李白の「靜夜思」でしょう。
牀前看月光 牀前月光を看る
疑是地上霜 疑ふらくは是れ地上の霜かと
舉頭望山月 頭を挙げて山月を望み
低頭思故郷 頭を低れて故郷を思う
私も忘れてしまって意味は怪しいが、
「寝床に月光がさしてきた。
地上の霜かと思うほどだった。
頭を挙げて、月や山を眺め
頭を下げて、故郷を想い出した」
床前(しょうぜん)、月光を見る
疑うらくは、これ地上の霜かと
こうべを挙げて山月を望み(私の記憶では山月)
こうべをたれて、故郷を思う
夜眠っているとき、ふと目覚めると枕元が白く光っている。
霜かと思うが、月の光であり、月を見上げているうち、遠い故郷を思い出すという感じ。
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