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豊太郎はエリスとなぜ別れたんでしょうか?自分の思ったことでいいので感想を教えてください。

A 回答 (2件)

大学時代の授業で教授の言っていた回答を一席。


(私も豊太郎はとんでもない男だ,と思っていたのですよ。じつは。)

鴎外がドイツ留学中に一人の女性(その女性は結婚していた,と記憶しています)と関係を持ち,結局その女性を捨てる事になったというのは事実です。
しかし,ここで考えなければならないのは、今と鴎外の生きていた時代の因習の重みの差です。
彼は長男でした。そしてまた、家を守って行くべき家長となるべき男でした。
その時代,自分の家を背負って行かなければならない,ということは,今の私たちが思うのよりもはるかに重い意味を持っていましたし、周りから押し付けられる重圧もかなりのものだったと思われます。
まして、鴎外は、エリート中のエリートでした。家中の期待を背負った男だったのです。海外で勉強して、これから日本で自分の地場を固めて行く官僚。…そんな彼にとって、異国の女性とのスキャンダルは,その後の出世をすべて捨てなければならないような大事件でした。
彼自身、身体を引き裂かれるような痛みで,捨てた,女。
その女を捨てねばならなかった自分の周りの、非人間的な日本の完了システム,官僚システム。。。それを、人々に,訴えたかった。
その為に,彼は,『舞姫』を書いたのではないか。
彼女との恋を,無かった事にはしない為に。

と言うわけで,豊太郎は,周りの因習に屈して,愛するエリスを捨てたのです。
自分が卑怯者だと,自分を責めながら。
そう考えるのが自然だと思います。

鴎外の、日本の前近代の因習への、ぎりぎりの地点での反抗。
文学の中でしか,叫べなかったのだと思えば…。まあ納得はいきますよね?

豊太郎(=鴎外)は,言い訳の仕様の無いひきょーものには違いありませんが、少なくとも,斬れば血が噴出す人間ではあったのだと思います。
だって,『舞姫』書けば、自分の卑怯さともう一度向き合わなければならないんですもんね?
誰だって,痛いですよ。…これは。
むかつきますが、私は個人的に,鴎外のその弱さが好きです。
人間の弱さを愛する事が,文学だと思いますので。
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豊太郎=鴎外であり、小説はかなり鴎外に都合良く美化されています。


実際は、鴎外が捨てた女性はドイツからはるばる日本まで追いかけてきたのに、外国人女性と結婚するとはなんたること、家族総出で追い返しました。(文学史には「説得した」とありますが)
小説の方は、別れたとはいえ子供の面倒もみて云々・・・とありますがずいぶん苦し紛れの言い訳にしか読めません。
事実をそのまま書くと、自分が悪者になってしまうからいかにも都合が悪い。仕方ないから女を狂人に仕立てて、さあこれなら別れても申し開きはできるだろう、と私は解釈しています。
一番肝心の所を隠して小説にしたのだから、別れた理由に納得がいかなくても仕方ないですね。

鴎外は、こちこちの明治の男。妻より母、家族とは妻子のことではなく家のこと、というイメージがあります。
ごめんなさい、私アンチ鴎外なもので・・・。感想で良いとのことですので、ご勘弁の程を。

これは余談なのですが、鴎外は陸軍軍医として従軍した日露戦争の時、当時兵士の間に流行っていた脚気をビタミン不足ではなく伝染病であるとあくまで主張しました。海軍はちゃんと食料でビタミン対策をしたので脚気の死者は出なかったのですが、陸軍は脚気で死んだ兵士が戦死者くらいいたそうです。鴎外はおとがめ無し。
医者としてもとんでもない人間でした。
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