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「少しも眠らない」という意味の、「まんじりともしない」という表現があります。
そこで、辞書で「まんじり」を引くと、だいたい以下のような説明があります。
http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%A4%DE …
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%BE%E3%82 …
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%BE%E3%82 …

紙の辞書も何種類か引いてみましたが、だいたい似たような説明でした。『日国』も『広辞苑』もほぼ同様です。

そこでちょっと疑問です。
ほとんどの辞書には「普通は打消しの語を伴って…」とか「多く、打消しの語を伴って…」などと書かれているとおり、「まんじりともしない」と連語のようにして使うのが一般的だとは思うのですが、「普通は…」「多く…」ということは、べつに打消しの語を必ず伴わなければならないということではなく、たとえば「まんじりとする」(ちょっと眠る)のような使い方も、まれではあるが許容されるということでしょうか?

個人的にはそんな言い方を聞いたことがないし、『日国』の用例にも載っていないので、どうなのかな? と思った次第です。

べつに困ってはいないんですが、ちょっと疑問に思ったので、お暇なときに回答ください。

A 回答 (4件)

『日国』を確かめてみました。



まんじり《副》
(多く「と」を伴って用いる)
(1) ちょっと眠るさまを表す語。普通「まんじりともしない」などの形で打消しを伴って用い、少しも眠らないことを強調する。
 *浄瑠璃・傾城島原蛙合戦(1719)三「寝ても夜の目をまんじりとも、明六つ五つ四つに過れば」
 *思い出の記(1900-01)〈徳富蘆花〉三・二三「胸は躍り、頭は冴へて、固よりまんじりともせず」
(2) ある行為を思う存分に、あるいはじっくりとするさまを表す語。じっと。まじまじ。
 *歌舞伎・桑名屋徳蔵入船物語(1770)四「どうでまんじりと泣かしては下さるまい」
 *二人女房(1891)〈有島武郎〉前・一「はずんだようこの声にひかされて、まんじりとその顔を見守った」
(3) 落ち着きなく何も手につかないでいるさまを表す語。
 *多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前・五・二「もう帰るか、もう帰るかと、待つ間を独兀全(マンジリ)としてゐると」

(1)の最初の用例は明確な否定形を伴っていませんが、意味的には否定なのでしょうか。

それはともかく、「普通」というのは文字どおり「普(あまね)く一般に通ず」であって「必ず」「絶対」とは言えないと思います。
(1)の「ちょっと眠る」の意味やそれを強調したい場合は、「うたたね」や「まどろむ」などの適切なことばもあるので、「まんじりとする」の出番がなかったのでしょう。(2)(3)の意味での「まんじりとする」は問題ないでしょうし、(1)の意味でも、何か特別な意図があれば使っても構わないかも知れません。誤解を招きやすいかとは思いますが。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
「傾城島原蛙合戦」のように(意味的には否定でも)否定語を省略する用例もあるために、「普通…打消しを伴って用い」と書いてあるのかな? と、回答を拝見してちょっと思いました。

お礼日時:2006/07/31 20:03

これは面白い疑問だと思ったので私も少し調べてみました。


成果は上がらなかったのですが(笑)。

まず「まんじり 語源」でネット検索してみたところ、教えてgooの過去の質問がヒットしました。
質問:「まじ」の語源は一体?の回答のNo.10の中です。
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1197407
『江戸語の辞典』によると『柳之横櫛』に「二晩 間睡(まぢ)ともしねへところへ~」という例があるようです。
これも「まぢとも」と打消しを伴った用例ではありますが、「間睡」は漢字からすると「ちょっと眠る」というの意味になりますよね?
他に「間睡」という言葉を使った例を探してみる価値はありそうです。
そこで今度は「間睡」をネット検索したところ、『仮名手本忠臣蔵』の「暫く御間睡遊ばされよ」という例が見つかりました。
http://etext.virginia.edu/japanese/chushingura/T …
これの読み仮名が「まじ」であれば、打消しを伴わない意味での使用例発見だ!と思って、近所の図書館へ行ってみました。
原本は1937発行の岩波書店とありますが、これは岩波文庫の黄版のようです。
期待を込めて確認したのですが、残念ながら読み仮名は「まどろみ」でした・・・。
岩波の『大系本』も参考のため見てみたら、漢字が「間眠」になっていました。

図書館へ来たついでに、「まじ」「まぢ」を『日国』などで調べてみましたが、「ちょっと眠る」用例は『江戸語大辞典』の他には見当たらず。
「間睡」「間眠」を『大漢和』で探してみましたが見つかりませんでした。

というわけで結局のところ成果は上がっていないのですが、何かもっとうまい検索の仕方をすれば使用例が見つかるのではと、諦めきれないでいます(笑)。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。とても参考になりました。
私自身そこまで深く考えずに何気なく質問してみたことに対して、ここまで手間ひまかけて調べてくださり、恐れ入ります。

お礼日時:2006/07/31 19:54

回答にならないこもしれませんが、#1さんへの補足を見て感じたことをお書きします。



文豪作品の用例とのことですが、青空文庫内を検索することである程度参考にはなります。
(昼間に"まんじり"をキーにやってみていたのですが、成果がなかったので回答しなかったものです)

ちなみに結果は、ヒットした47作品中45作品が否定をともなうもので、2作品がともなわないものでした。
ただし、その2作品は「大きく目をみひらいてじっとみる」の意味のほうです。どちらも有島『或る女(前)(後)』です。つまり、否定をともなわない「ちょっと眠る」の意味は0件ということになります。

45作品と書きましたが、1作品の中に2件の「まんじり」がふくまれることもあるため、件数としてはもう少し増えます。
また、『或る女』も前編と後編で2作品となりますので、厳密には1作品になります。

余談になりますが、『或る女』では「大きく目をみひらいてじっとみる」の用例が「まんじりとその顔を見守った」「まんじりとながめて」「目をまんじりと開いて」の3件あります。
ちょっと、私はこの用例自体アヤシイ感じがしてきました。
「まんじりと開いて」は使い方すらアヤシゲです。私のせまい経験では、揺れのある日本語は有島武郎しか用例がない、ということも多くありました。もしかするとかなり特殊(つまり間違いに近い)な語釈・位相かもしれない、と感じた次第です。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。検索までしていただいて恐縮です。
やはり辞書の「普通は…」は「必ず…」と読みかえるべきなのでしょうかね…?

お礼日時:2006/07/27 22:19

面白い疑問だと思ったので、ちょっと考えてみました。


「普通は・・・」「多くは・・・」という表現ですが、
こういう場合はそうでない場合と想定しているのではなく、
断定調で言い切らず、ちょっと幅を持たせて書いている、
そういうことだと思います。
したがって、「普通は・・・」とか「多くは・・・」と書いているからと言って
「まんじりとする」という使い方が許容されるということではないと考えます。

「まんじり」には「じっと見つめるさま」という用例があり、
「まんじりと見守る」=「大きく目を見開いて対象を見つめること」というような肯定的な表現もあるようですね。

この回答への補足

「まんじりともしない」という表現しか使わないなら、普通は連語や慣用句として見出しが立てられますよね。「腑に落ちない」のように。
(実際、私の手持ちの辞書のうち一冊はこのような扱いをしていました)

それを、わざわざ「まんじり」で見出しを立てて、「普通は…」「多く…」と説明するからには、それなりの理由があるのかと疑問に思ったのです。
私が不勉強なだけで、文豪の作品にも「まんじりとする」の用例があるとか…。

補足日時:2006/07/26 19:29
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。
辞書であいまいな説明をされても困りますね。

お礼日時:2006/07/26 19:25

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