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ロバート・グレイヴスの『ギリシア神話』第1話に「ペラスゴイ人の創世神話」というのがあって、
ずっと気になっているのですが、出典とか、どうもよくわかりません。
オピーオンもそうですが、7つの惑星にそれぞれ男女のティターンを配した、という部分もそうです。

どなたかご存知の方、いらっしゃらないでしょうか。

A 回答 (1件)

グレイヴズの本を参照できませんが、検索してわかったことをお答えします。


「ペラスゴイ人の創世神話」 が肯定的に紹介されているサイトをいくつかみても、出典があげられているものはありませんでした。そこで、「創世神話」 にたいして批判的な Wikipedia などのサイトからまとめてみました。
はじめに結論をのべると、
(1) 「ペラスゴイ人の創世神話」 に関しては、直接的な出典はないらしい。
(2) それでも 「創世神話」 は、グレイヴズなりの根拠にもとづくらしい。
以下は (1) の説明です。(2) については次の記事を参照。わたしには十分な判断ができません。
http://en.wikipedia.org/wiki/Eurynome_(oceanid)


「オピーオン」 (Ophion) は、いくつかの神話 (詩) にあらわれます。ただし、それらはペラスゴイ人の神話ではありません。そのうちでもっとも有力なものは、ロードスのアポロニオス (前3世紀) による 『アルゴナウティカ』 です。
http://www.gutenberg.org/dirs/etext97/1argn10.txt
これは、オルフェウスがアルゴー船の上で創世神話をうたう、ごく短い場面です。ヘシオドス (前8世紀) の 『神統記』 などとことなり、そこでは女神エウリュノメーと蛇のオピーオンが最初に世界を統治します。Wikipedia によれば、グレイブズはこの箇所からエウリュノメーをさまざまな神話に共通する女神であると判断し、 「ペラスゴイ人の創世神話」 を再構成したといわれています。しかし、アポロニオスには書かれていない細かな内容についての典拠が明らかでないため、神話学の主流からは、いまのところグレイブズの推測の域を出ないものとみなされているようです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Ophion
http://homepage.mac.com/cparada/GML/001ShortEntr …
このことは、ギリシア神話やギリシア語のある部分がペラスゴイ人に由来する可能性を否定するものではありません。しかしペラスゴイ人についてはわからないことの方が多く、直接伝わっている神話もありません (グレイヴズのものをのぞけば)。
http://en.wikipedia.org/wiki/Pelasgia


「7つの惑星にそれぞれ男女のティターンを配した、という部分」 はもしかすると、ティターンの名前まで、オルフェウス教 (Orphism) の神話 (Orphic myth) と一致するかもしれません。それが下のサイトに紹介されているのですが、そのオルフェウス伝承の出典は不明です。
http://www.timelessmyths.com/classical/stars.htm …
オルフェウス教の神話は、卵から最初の神があらわれるという点でも、ペラスゴイ人の神話に似ています。
http://www.timelessmyths.com/classical/creation. …
http://www.sacred-texts.com/cla/af/af10.htm
オルフェウス教自体は前6世紀には確認される古い起源をもつものですが、伝わっている文書の成立はずっと後のことです(~ 4 AD)。ピタゴラス教団とのつながりや輪廻思想の流入などがみとめられるようですが、ぺラスゴイ人との関係はここでも不明でした。
http://en.wikipedia.org/wiki/Orphism_%28religion …

参考 「ペラスゴイ人の創世神話」
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/antiGM …

参考URL:http://homepage.mac.com/cparada/GML/index.html
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この回答へのお礼

うおぉぉぉ~。なんて詳しい回答!
ものすごく参考になりました。
(念のため。グレイヴスは紀伊国屋書店から刊行されています)。
ありがとうございました。

お礼日時:2006/08/22 19:26

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