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A級戦犯に関する議論の中で、
「サンフランシスコ条約により、裁判は受諾した、しかし判決は受諾していない」などという論理展開をしばしば見かけます。しかしよく意味が分かりません。

この理論をご理解されている方に質問します。
・受諾する対象には何が存在するのでしょうか?(構成要素)
・何を受諾し何を受諾しなかったのでしょうか?
・裁判(だけ)を受諾するとはどういうことなのでしょうか?

よろしくお願いします。

A 回答 (7件)

すみませんが、だらだらと補足です……。

サンフランシスコ条約第11条の公定訳で、脱落している語句がありました。補うと次の通りです。
(公定訳)
日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。(引用終わり)

なお、「有罪が確定した後、覆(くつがえ)って無罪になり釈放される」ことと、「有罪は確定したままだが、刑期満了前に釈放される」こととは、全く別種の事柄です。そもそも、一般に受刑者は刑期満了まで服役することの方が少ないようです。
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この回答へのお礼

私の質問の趣旨を理解し、その質問に対し完璧に回答し、
かつ質問の背景を推測し、本質問以外の周辺の疑問を解消するほどの丁寧な回答をいただきましたことに感謝し、また敬服いたします。

ありがとうございました。

お礼日時:2006/08/16 13:23

拙文回答の「国外拘禁者については、連合国による執行の継続を認めることになる」について、補足説明します。

次の政府答弁を参考にしてください。

衆議院会議録情報 第015回国会 本会議 第11号​http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/015/0512 …
昭和二十七年十二月九日(火曜日)
(中略)
○田子一民君
(中略)
わが国は、平和条約の締結によつて独立国となつて、すでに半歳以上をけみしておるのであります。(中略)
今もつて海外におきましては、死刑の宣告を受けておりまする者五十九名を含む三百八名、これに内地在所者を加えますれば、千百三十名になんなんとする多数の人々は、いまなお獄窓に坤吟しつつあるのであります。
(中略)
○国務大臣(犬養健君)
(中略)
戦争犯罪に問われて現在巣鴨刑務所に服役中の者は、A級十二名をも含めて八百十名に上つております。また国外において服役中の者は、オーストラリアのマヌス島に百九十九名、フイリピンのモンテンルパに百九名、計三百八名でありますが、
(中略)
外地にあります戦犯者の内地送還につきましては、独立後現在までに、マヌス島より七名、モンテンルパより二名、合計九名の送還を見たのでありまして、いまだ少数ではありますが、この関係国の処置に対して感謝の意を表しますとともに、さらに一日も早く残りの全部について好意ある処置がとられるよう切望いたし、(引用終わり)
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【サンフランシスコ条約第11条】


Japan accepts the judgments of the International Military Tribunal for the Far East and of other Allied War Crimes Courts both within and outside Japan, and will carry out the sentences imposed thereby upon Japanese nationals imprisoned in Japan. The power to grant clemency, to reduce sentences and to parole with respect to such prisoners may not be exercised except on the decision of the Government or Governments which imposed the sentence in each instance, and on the recommendation of Japan. In the case of persons sentenced by the International Military Tribunal for the Far East, such power may not be exercised except on the decision of a majority of the Governments represented on the Tribunal, and on the recommendation of Japan.
公定訳(日本政府による公式の訳)
日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。(引用終わり)

【日本政府の公式見解】
外務省 歴史問題Q&A
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/qa/09.html
この裁判については様々な議論があることは承知していますが、我が国は、サンフランシスコ平和条約第11条により、極東国際軍事裁判所の裁判を受諾しており、国と国との関係において、この裁判について異議を述べる立場にはないと考えています。(引用終わり)

「国会会議録検索システム」から引用
http://kokkai.ndl.go.jp/
2005年6月2日、参院外交防衛委員会。自民党・山谷えり子議員の質問に対する林景一・外務省国際法局長の政府答弁(国際法局については、次のURLを参照されたい)。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/sosiki/ …
(引用初め)
山谷えり子君
(中略)
 日本は東京裁判の判決を受け入れましたが、英文の「ジャパン アクセプツ ザ ジャッジメンツ」の、法律用語ではこれは判決の意味で、フランス語、スペイン語においても、この単語の意味、言語学的には裁判ではなく判決と読めるそうでございます。
 日本は裁判の判決を受け入れていますが、日本側共同謀議説などの判決理由、東京裁判史観を正当なものとして受け入れたのか、また、罪刑法定主義を無視し、今日でも概念が国際的に決まらない平和に対する罪で裁かれたことを受け入れたのか、国民の間に混乱があると思いますが、分かりやすく御説明ください。

政府参考人(林景一君)
 お答えいたします。
 先生も今御指摘のとおり、サンフランシスコ平和条約第十一条によりまして、我が国は極東国際軍事裁判所その他各国で行われました軍事裁判につきまして、そのジャッジメントを受諾しておるわけでございます。
 このジャッジメントの訳語につきまして、裁判というのが適当ではないんではないかというような御指摘かとも思いますけれども、これは裁判という訳語が正文に準ずるものとして締約国の間で承認されておりますので、これはそういうものとして受け止めるしかないかと思います。
 ただ、重要なことはそのジャッジメントというものの中身でございまして、これは実際、裁判の結論におきまして、ウェッブ裁判長の方からこのジャッジメントを読み上げる、このジャッジ、正にそのジャッジメントを受け入れたということでございますけれども、そのジャッジメントの内容となる文書、これは、従来から申し上げておりますとおり、裁判所の設立、あるいは審理、あるいはその根拠、管轄権の問題、あるいはその様々なこの訴因のもとになります事実認識、それから起訴状の訴因についての認定、それから判定、いわゆるバーディクトと英語で言いますけれども、あるいはその刑の宣告でありますセンテンス、そのすべてが含まれているというふうに考えております。
 したがって、私どもといたしましては、我が国は、この受諾ということによりまして、その個々の事実認識等につきまして積極的にこれを肯定、あるいは積極的に評価するという立場に立つかどうかということは別にいたしまして、少なくともこの裁判について不法、不当なものとして異議を述べる立場にはないというのが従来から一貫して申し上げていることでございます。(引用終わり)

【解説】
ここまでの引用で、答はほぼ出ていると思いますが、拙い解説を付け加えてみます。
judgment という言葉は、法律用語としては普通「判決」と訳します。「最大最高の英語辞典」と言われる OED(オックスフォード英語辞典)を引いてみましたが、judgment が「裁判」の意味を持つのは、古語などの場合のようです。

ところが、東京裁判の判決には仕掛けがありました。英文で1212ページに及ぶ判決(多数意見判決)の中に、次の内容が含まれていたのです。
○裁判所の設立の経緯に遡って記述。
○裁判が法に基いて正当に成立していると主張。
○ニュルンベルク裁判所条例も援用することを宣言(「ニュルンベルク裁判所の意見であって、本件に関連のあるものには、無条件で賛意を表する」)。
○弁護側が主張した「東京裁判設置の無権限」「裁判所条例の事後法的性格」などを退ける。

つまり、判決の中に、この裁判が正当に合法的に成立する根拠が書いてありました。ちなみに、通常の裁判の判決には、そんなことはわざわざ書いてありません。
したがって、「東京裁判の判決を受諾する」ことは、「東京裁判そのものが正当に成立していると認める」ことです。

【異説が誤りであることについて】
ご質問文では、「裁判は受諾した、しかし判決は受諾していない」となっていますが、「判決は受諾した、しかし裁判は受諾していない」と論じる人たちは存在するようです。この異説についてお答えしましょう。
彼らの帰結(結論)は、次のようなものです。「日本は、刑の執行を引き継ぐために、判決を受諾したのである。それに必要な部分以外は、受諾していない。その後、刑の執行はすべて終了したから、今や日本はこの裁判を認めない」。
しかし、この異説は誤りです。その理由は次の通りです。

(1) 刑の執行を引き継ぐためだけなら、「刑の宣告」(sentence。主文ともいう)だけでよい。しかし、条約11条によって受諾したのは sentence ではなく、judgments である。そして、東京裁判のジャッジメントが内含するのは、「裁判所の設立、あるいは審理、あるいはその根拠、管轄権の問題、あるいはその様々なこの訴因のもとになります事実認識、それから起訴状の訴因についての認定、それから判定、いわゆるバーディクトと英語で言いますけれども、あるいはその刑の宣告でありますセンテンス、そのすべて」である。
すなわち、sentence は judgment のごく一部に過ぎない。
(2) つまり、この異説は、「『裁判』は誤訳で『諸判決』が正しい」と言いつつ、勝手に judgment(判決)を sentence(刑の宣告)にすり替えているのである。
(3) そもそも、裁判を認めないと言うなら、認めない裁判の判決をどうして受諾できるのか?「判決の受諾」には「裁判の受諾」が必要である。また、裁判を受諾すれば判決も受諾する。つまり、必要十分条件である。ゆえに、日本国が「judgments を受諾する」ことと「裁判を受諾する」こととは同等である。
(4) さらに、前述のように東京裁判の判決の中には「駄目押し」まで書き込まれている。その周到さは、ある意味、気味が悪いほどである。

【結論】
11条の趣旨は、次のようなものと考えられます。
「日本国は、すべての戦犯裁判の判決を受諾する。受諾することによって、刑の執行はどうなるか。国外拘禁者については、連合国による執行の継続を認めることになるし、国内拘禁者については日本が引き継ぐことになる。ただし、どちらも早期釈放許可を連合国に請願できる。釈放許可の手続きは次の通り。……」。
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この回答へのお礼

裁判は受諾していないという人は、判決そのものも受諾しておらず主文しか受諾していないと言う主張をしているのですね。常識の概念から大きく外れた屁理屈であるので理解できなかったようです。

私の疑問はこれで解消されました。同じ内容の記述がWikiペディアの記述にもあったので、間違いないのだろうということが確認できよりすっきりしました。

ありがとうございました。

お礼日時:2006/08/16 13:17

いわゆる東京裁判が大戦後行われ、その後、サンフランシスコ平和条約が結ばれました。

この条約は要するに日本と諸外国(例外もある)の間の講和条約なのですが、その中に

=====
第十一条

日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。

これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。

極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。
=====

という項があり、これが根拠となっているようです。

判決を受け入れる、という項ではありますが、裁判を受け入れない、という意味ではありません(原文はアメリカが作成し日本に口を出す余地はない)。ただ、裁判を受け入れる・受け入れないという条文はありませんから、そのような解釈も「可能である」というだけです。
裁判自体が正当か不当かということに関しても、個人レベルは兎も角、政府レベル(外交交渉等)では一度も触れられていません。

なぜこのような項があるかと言えば、講和条約が成立すると相手国は独立国になるため、相手国内で下した戦犯が、いかなる犯罪人を釈放することに対しても口出しすることが内政干渉に当たるため出来ない、さりとて自国に引き取ると他国民を抑留していることになるためこれもよろしくない、という事情によるものです。

その後、第3項の取り決め通り、アメリカを初めとする諸外国の同意を取り付けて赦免を行っています。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。

お礼日時:2006/08/16 13:04

#2です。


>その国際条約を無効化させる条約は締結したという事実・・・
無効にはなっていませんが実質上は無効(判事たちが過ちを認めている、戦犯たちが赦免されている)と同様ってことではないでしょうか。
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その後に赦免されているので戦犯であり続けているって事は無いと思いますが。


http://ja.wikipedia.org/wiki/A%E7%B4%9A%E6%88%A6 …
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サンフランシスコ条約に日本側は「言い渡された諸判決を受諾する」と


いっており「裁判を受諾する」とは言っていません。
つまり裁判は不当だが判決は受け入れると言う事です。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
ちょっと間違えて覚えていたようです。
ご指摘ありがとうございます。

判決自体は受諾しているのですね。
その国際条約を無効化させる条約は締結したという事実はない。(ですよね)
なので、A級戦犯は確かにA級戦犯であり続けていると解釈してもよいのですよね。

ありがとうございました。

お礼日時:2006/08/15 13:23

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