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スリーピース(三つ揃い)スーツについてお伺いします。

ジャケットの下にベストを着た場合、ジャケットのボタンは普通はずすものなのでしょうか?
また、ベストの一番下のボタンは留めないではずしておくべきなのでしょうか?

よろしくお願い致します。

A 回答 (3件)

No.2の方の”海外で高い評価を得ている方の説明によると”とは、先月


61歳で亡くなられた評論家OM氏のことと思いますが、正確に言えば、”海外の一部で高く評価をする人も中にはいるが”というレベルです。我々はさほど彼のことを評価していません。年に6回 日本へ仕事のため出かけますが、(私はニューヨーク在住)成田空港では、欧米行きの飛行機への搭乗許可を取り消したい服装をした人がまだたくさ
んいます。日本でクラシコイタリアといわれている一連のイタリアの正統な服をパロッたとしか思えないラインは、例えばローマのゲイやナポリのチンピラが着る服なのであって、国家を代表するエリート教育を受けたものや、将来そうなるであろう者が着る服ではない。また金があるというだけでキートンやブリオー二らの服を買うことは彼らを侮辱することにも等しい。
 産業革命以降、英国には現代に通じる服作りの伝統はあっても、服のデザイン、様式については実は厳密なものは存在しません。
なぜかと言えば、彼らの服作りは、現在においても千人に満たない極限られた数の世襲貴族とその周辺の人たちのために発達してきたものであって、彼らが最も重要視したことは、ウエストマークの位置(へそから指一、二本上にある、身体の一番細い部分)を正確に押さえ、決してその位置を変えないことで、これ以外、服のデザインや、細かな仕様については比較的自由なものなのです。従って、これぞブリティッシュと呼ばれるデザイン、仕様の服はあるようでいて、その実 存在しないのです。対してアメリカでは様々な事情があって、1918年頃までにブルックスブラザーズによって創り出された3つボタン段返りの服を業界を挙げて普及に努めたこともあって、アメリカントラディショナルと言えば、どの社も大筋で似たようなものとなったのです。
 さらにアメリカンブリティッシュまた、ブリティッシュアメリカンとは、肩の作りが、アメリカ仕込みのナチュラルショルダーコンストラクション、ウエストのシェイプはダーツを取って絞った英国調の服という意味なのであって、具体的には、例えばラルフ ローレンのポロの服などを意味します。ロンドンのサビルローは、言わば札幌のラーメン横丁の洋服屋版と言え、つまり、もの作りの基本は同じながら、店ごとに味付け、盛り付け方が異なるのです。顧客は自身のテーストに会ったテーラーを探して選べば良いということになります。
 さて、スリーピースのボタンの掛け方について、世界でこれ以上ない正しいことを言うと、まず、かつては、ヴェストが現代のジャケットに相当するものであったということ(ジレはフランス語)。これは、18世紀末から19世紀にかけての欧州王室の男性を描いた絵を見ていただけば理解出来るでしょう。実は英国のテーラー仲間では、今でもヴェストよりもウエストコートという言い方を好みます。コートはcoatですが、”ものを覆う”というニュアンスの言葉であり、本来テーラードの上着のことを日本人はしばしばジャケットと言いますが、正しくはコートと言うべきなのです。現代の日本人が使っている、コートは本当はovercoatというのが正しい(昔は日本人も”オーバー”と呼んでいた)。 繰り返すと、元来スーツとは、ヴェストとトラウザーズ(スラックスのこと)を意味していたのであって、その上に 当時の上着は、フロックコートなどと呼ばれる丈がヒザくらいまでの長いもので、それを組み合わることによって、紳士の着こなしが成り立っていたのです。つまり、素材が異なったものであったとしても、スリーピースが紳士服の当前の姿であったということなのです。そのフロックコートは、産業革命以降の交通機関の発達、ビジネススタイルの変化など、より活動的な服が望まれたことにより、コートの丈はお尻が隠れるくらいの短いものとなって、現代のスーツにぐっと近づいたものとなったのです。
 スリーピースのヴェストを上着のVゾーンからまったくのぞかせないのは、実際まったく正しくありません。 我々は上着の第二ボタンをかけた状態でヴェストの上のボタンが二個のぞくくらいで仕立てます。もちろんウエストマーク、つまり三つボタンにおける第二ボタンの位置は微動だにしません。(日本の若い人向けの店で見かけるスーツの上着のボタン位置は、でたらめに高い位置にあり、いくら腰の位置を高く、少しでも足を長く見せたいという気持ちは理解出来ないこともないが、これは世界の笑いものです。) 上着のVゾーンの深さは、ある程度顧客の好みを反映出来るものであって、ヴェストのVゾーンについても 上着のそれに合せていけばいいのです。 ダブルの上着については、基本的には6つボタン2個掛けになりますから、Vゾーンも狭くなりますが、この場合は、No.2の方の言う通りヴェストの上部をまったく見せないよう仕立てるのもありですが、私の好みは衿付きのヴェストの上部をほんのわずか見せることです。
 次にヴェストのボタンの掛け方について、世界でこれ以上はない、ということを書きます。英国王エドワード7世(ウインザー公の祖父)にまつわるエピソードの数々はさておき、トラデショナルなデザインのヴェストのフロントボタンの数は、フォーマル用の3個を除いて5個から7個(多くは6個)となります。ここでフロントボタンの配置に注意してください。全てのボタンが一直線に配置されているのであれば、一番下のボタンまで掛けてもよいのです。 但し、もし、一番下のボタンが少し開いた位置に付けられているのであれば、これは掛けてはいけないということです。さらに、ヴェスト着用であれば、上着のボタンをはずしていても、まったく礼を失することにはなりません。これは先述した通り、元来ヴェストが現在の上着に相当するものであったことが理由です。No.2の方が、公共の場でのシャツ姿は非礼云々と書かれていますが、その本当の理由は当時ドレスシャツとは言っても下着に近いポジションであったので、それを人前で見せることは紳士にふさわしい行為ではないと考えられたからです。上着のボタンの扱いについても ここではっきり世界の解答を申し上げます。それは、基本は立って掛けて、座ってはずすというものです。特にフィット感の高いシングルの上着は座ってボタンを掛けるようには作られていません。ダブルの上着については、立っても座っても必ずボタンを掛けていなければいけません。 但し、座っている際に、6つボタン2個がけの、下のボタンのみを掛けることは許されています。このようにするとウエスト周りが幾分楽になります。 スリーピースのボタンを上着をも含めて止めてしまうのは、決して間違いとは言いませんが、はっきり言ってナフナフ(即ちダサい)です。 上流階級の男の服のエレガンスは、他人が見て、緊張感を覚えるような服をパジャマのように着こなすことにあります。ボタンをあまりに几帳面に留めると 着慣れていないことを人前でさらしてしまうことにつながるのです。(3つボタン段帰りの服はこの意味で登場してきました。)また、それによって男としての人間のスケールを小さく見せてしまうことにもなります。 紳士はいったん服を着たならば 決して人前でネクタイの結び目に手をやって ディンプルを気にするしぐさをしたり、ウインドーに映った自分の姿を気にしたりしてはいけないのです。人前で服に気を遣っていると絶対に思わせてはいけないのです。最後に たとえボタンの配置がまっすぐなベストであっても、ソファーなどに座る際には、やはり一番下のボタンをはずした方が楽になり、服にも無理がかかりません。私が申し上げたことから、日本の政治家の装いが いかにでたらめか、世界のエリートから陰で馬鹿にされているか、理解いただけるでしょうか。 戦前の政治家諸氏は こんなではありませんでした。 紳士服とは、相手に対する尊敬を表わしてもいるのです。
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この回答へのお礼

丁寧なご回答ありがとうございます。
専門家の方からのアドバイスは大変参考になりました。
「ヴェスト着用であれば、上着のボタンをはずしていても、まったく礼を失することにはなりません」とのこと。実は私も上着のボタンを留めない方が格好良く感じることが多かったので、安心しました。

お礼日時:2006/09/09 10:29

服飾に関して、海外で高い評価を得ている方の説明によりますと、



【スーツの伝統(英国)として、公共の場でのシャツ姿は非礼であるという事から、ベスト(ジレとも言います)が考案されたのです。これは、生理的あるいは緊急の理由で上衣を脱がなければならない時のための、とっておきのアイテムなのです。ようするに、ジャケットの予備着という事です。予備着であれば、普段はできるだけ隠されているべきです。とくにダブルのスリーピースを着る場合は、ベストを完全に隠す事、これは基本です。
シングルの場合、フロントボタンの位置、ジャケットのプロポーションから考えるとベストを隠すのは難しい。
しかしダブルであれ、シングルであれ、ジャケットのボタンは留める事が原則です。クラシックな英国スタイルはベストの位置はかなり低く、ほんの少しだけジャケットの下から覗かせるスタイルです。
そして、ベストの一番下のボタンは必ず外す事です。】

というような説明がされています。
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この回答へのお礼

参考になりました。
ありがとうございます。

お礼日時:2006/09/05 22:41

ジャケットの釦は留めます(よほど太っていてとかならば別ですが)。


ジャケットもベストも一番下の釦は留めません。
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この回答へのお礼

やはり、ベストを着ていてもジャケットのボタンは留めるべきなんですね。
ベストも一番下のボタンはジャケット同様はずしておくということ。
参考になりました。
ありがとうございます。

お礼日時:2006/09/05 22:44

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