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1.「じろりの女」にでる「待合」はどんなところですか?泊まる部屋もあるし、酒も飲めるし、女と遊べるところですか?

2. 「お酒でも、買ってきて飲ませてくれると、オヨシちゃんも、女中なんかはさせておかないと言う人がアチラコチラから現れてくるだろうがな。」

意味は分からないが、これはからかう言葉ですか?

A 回答 (2件)

1.「待合い」


これは時代によって多少使い方が異なるのですが(たとえば江戸時代「待合い茶屋」というと、芸者を呼んで遊ぶところとなります)、この戦後間もない頃の「待合い」は、連れ込み宿、いまでいうラブホテルみたいなところなんだと思います。

2.この部分の背景をちょっと説明しておきます。

語り手のゴローは、江戸時代の「幇間」(読みは「ほうかん」、あるいは「たいこもち」ともいいます)を意識して演じている人物です。

幇間は、江戸時代、遊郭で、宴席を盛り上げるために、おもしろおかしい話をしたり、踊りを踊ったりして、さまざまな芸を見せる人です。その芸も、すばらしい、とか、カッコイイ、とかいう芸ではなく、いかにもバカに見えるような、そんな芸です。そうして、遊びに来た旦那にお世辞を言って、よい気分にさせる。それが幇間の仕事なんです。

ゴローは、安吾に多い「頭と体が引き裂かれた男」です。
引き裂かれて、幇間をやることを通して、自分の場所を見つけようとしています。

江戸時代の花魁(高級遊女)は、気位が高く、簡単に気を許さない。そうした花魁と旦那の仲を取り持つのも、幇間の仕事です。

それと同様、この『ジロリの女』に出てくる金龍も、ゴローが追いかける三人の女性である衣子、衣子の娘の美代子、社員のヤス子も、ゴローにとっては花魁の位置にある女性たちです。

そうして、物語が進んでいくにつれて、それぞれの境遇が変わっていき、そうしてその性質のちがいが浮き彫りにされていく。

そうしてゴローがほんとうに、その存在のまるごとを許される女性がだれだかわかりますか? とにかく、その女性とめぐりあうことができるわけです。

ご質問の会話は、ゴローが衣子の家の女中に向かって軽口をたたく場面です。
こんなふうに幇間はだれにむかってもお世辞を言う。

衣子は、美代子の縁談の持参金をめぐって、大浦博士と話をする、という。

この大浦博士と衣子は実は恋人同士でもあり、同時に、財産を巡っては、争ってもいるんです。衣子は病院その他の財産を守りたい、大浦博士はなんとか手に入れたい。
美代子の結婚は、その駆け引きの道具でもあります。

ここからは「花魁」と「旦那」の話、「幇間」のアンタはお帰り、とゴローさんは締め出しをくらってしまった。ところがゴローさんも話に加わりたい。だから女中に頼むんです。

どこか、自分をこの家のどこかに隠しておいてください、と。

ここで「鼻薬」は、おこづかい程度のお金。
そうして「オヨシちゃん」がかわいい、美人だと言っているわけ。

女中なんかはさせておかない、というのは、女中をやめさせて、恋人にしてやろう、という男がいっぱいでてくるよ、って言っているんです。

あげたお金で、お酒でも買ってきて、お燗をつけてくれるとうれしいんだけどな、と、そんなことを本当は頼んでいるわけではない、頼んだとしても、実際にはそこまではしてくれないでしょう、それでも冗談で、そんなことを言っている。

それが「女中をからかいながら」ということなんです。
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この回答へのお礼

背景まで説明していただいて本当に助かりました。坂口安吾の世界をもっと分かりました。有難うございました。

お礼日時:2006/09/18 10:50

こんにちは



1,「待合」(まちあい)は、以下の辞書の2にもあるように、昔は、男女の密会の場を指す言葉でもありました。

> 2.「お酒でも、買ってきて飲ませてくれると、オヨシちゃんも、女中なんかはさせておかないと言う人がアチラコチラから現れてくるだろうがな。」

前後の文脈が分からないと、はっきりしたことは言えませんが、
「もし(私に)お酒でも買ってきて、飲ませてくれる位の親切心がオヨシちゃんにあったら、『女中なんかはさせておかない(もっとちゃんとした身分を与えてあげる)』などと言う(やさしい)人が、あちこちから名乗り出てくるだろうけどなぁ」

まぁ、オヨシちゃんに対する、たわいない軽口
(からかい・しゃれ)とも取れますね。

参考までね。

参考URL:http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E5%B …
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