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アメリカ文学史上における代表作を、10冊から15冊くらいの範囲で年代順に挙げていただけませんか?ベスト10というより、全集的な視点でお願いします。もちろん個人的な意見で結構ですが、ただ、あまり趣味に走ったものにならぬよう、穏当な線でのご回答をお待ちしています。

まあ10~15冊という数は少なすぎるだろうとは思いますけれども、それ以上になるとちょっと読むのが億劫になりそうなので(^_^;)。
それから、
1.SFやミステリなど、エンタメ性の強いものは今回はなるべく別扱いとしてください。ただしどうしても外せないものは入れてください。
2.現代ものより、古典といわれる作品により比重を置いていただきたく思います。目安は作者が亡くなっているかどうかということで。

なお、併せてアメリカ文学の全集や、ベスト○○(ただし総合的なもの)などの情報も、ご存知でしたら教えてください。
wikipediaの「アメリカ文学」は参考にはなるのですが、作家の人数が多すぎることと、作品名が挙がっていないことがマイナスです。

よろしくお願いします。

A 回答 (8件)

アメリカ文学というものをおおざっぱに分類すると、



1.植民地時代~建国
2.独立革命前後
3.十九世紀前半から南北戦争まで
4.十九世紀後半
5.1920年代まで
6.大恐慌から「怒れる30年代」~第二次世界大戦まで
7.第二次世界大戦以降

ということになるかと思います。もちろんいろんなわけかたがあるし、'50年代、'60年代、というふうにもっと細かく分けるやりかたもあります。

「文学史上における代表作」というのは、その時代を代表するものをあげていく、ということになるかと思うんです。
で、これは、まじめにやっていくとカナーリ大変な仕事でもあります。
ですから、あんまり真剣にならず(ゴメンナサイ)とりあえずは時代的にわたしが考える代表作をあげていきます。

本によっては、手に入りにくいものもあるかと思いますが。
あと、韻文に関しては、ヨーロッパからの移民、またヨーロッパへ渡った人をどうするか、という難問がありますし、戯曲になるとこれまた込み入ったあれやこれやがあるので、ここでは除外して、散文に限定することにします。

もし、こういうのが知りたい、というご希望があれば、補足なさってください。
いつになるかわかりませんが、お答えします。
ということで、晩ご飯の時間まで、サクサクとやっていきましょう。

1.植民地時代から建国まで

この時期で一番有名なものは、「フランクリン自伝」です。これは発刊は1791年。
自伝の中心は、フランクリンの生活信条を要約した「13の徳」です。
これはのちに『グレート・ギャツビー』のなかで一種のパロディとして登場します。
いわばハウツー本の元祖、ビジネス書の元祖ではあるのですが、アメリカ人がいったいどういうものを是としているか、あるいは植民地時代の人々がどのような暮らしをしていたか、いろんな意味で興味深いものです。

2.独立革命以降

そうだなあ、この時期は、あんまりマニアックになるので、パスです。ゴシック小説の元祖みたいなものが生まれているのですが、翻訳もされてないし。

3.19世紀前半

そうして、いよいよ輝かしい19世紀、文学の時代の幕開けです。

まず下にも出ているワシントン・アーヴィング。
有名なところではアメリカの浦島太郎、リップ・ヴァン・ウィンクルを書いたのもこの人(短編小説集『スケッチブック』(1820)所収)。映画にもなった「スリーピー・ホロー」も入っています。

もうひとり、ジョージ・フェニモア・クーパーを。
五部作『レザー・ストッキング物語』を著します。この五部作のなかでは『最後のモヒカン族』が有名。映画にもなりましたが、邦訳では福音館から出ている『モヒカン族の最後』がおすすめ。ワイエスの挿絵が楽しい。

4.19世紀中葉

これは三人の偉人をあげましょう。
ホーソーン、メルビル、そうしてエドガー・アラン・ポーです。

ホーソーンはやっぱり『緋文字』(1850)、今読むと相当かったるい(笑)ですが、アメリカ文学史上避けては通れない人です。

メルビルはもう『白鯨』(1851)が圧倒的に有名ですが、これはいま読んでも十分におもしろい。

エドガー・アラン・ポーはもうことさら作品をあげるまでもないでしょう。

5.南北戦争から19世紀後半

この時期はもう挙げたい人は山のようにいますが、順当にいってマーク・トウェイン、セオドア・ドライサー、ヘンリー・ジェイムズを。

まず、マーク・トウェインは作品はいいですね。

セオドア・ドライサーは『シスター・キャリー』(1900)、あるいは『アメリカの悲劇』(1925)をあげておきましょう。アメリカの自然主義文学を代表する作品と言われています。

ヘンリー・ジェイムズはヨーロッパ生活が長い人ですが、『ある貴婦人の肖像』(1881)にしても『鳩の翼』(1902)にしても、ヨーロッパにおけるアメリカ人を終生テーマにとりあげています。後代のアメリカばかりでなく、多くの作家に多大なる影響を与えた、19世紀文学から現代文学へと架橋していくような巨星であると思います。

6.二十世紀~1920年代
この時期はやはり第一次世界大戦以降、重要な人物がきら星のごとく登場します。

まずシャーウッド・アンダーソン、ウィリアム・フォークナー、アーネスト・ヘミングウェイ、スコット・フィッツジェラルド、シンクレア・ルイス、とりあえずざっとこんなところかな。

まずシャーウッド・アンダーソンは代表作である連作短編『ワインズバーグ・オハイオ』(1919)を。

フォークナーは、とりあえずは『八月の光』(1932)から。

ヘミングウェイはやっぱり『日はまたのぼる』(1926)など。できれば短編より長編の方が慣れるまではわかりやすいと思います。

フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』(1925)はお読みでしょうか。

日本ではどういうわけかあまり有名ではないですがシンクレア・ルイスは『本町通り』(1920)などでアメリカ初のノーベル文学賞を受賞しています。

4.大恐慌以降

この前の時代に引き続き、フォークナーとかヘミングウェイとかも活躍していますが、この時期の作家といえば、ジョン・スタインベック、ドス・パソス、トマス・ウルフでしょう。

ジョン・スタインベックというと、『怒りの葡萄』(1939)(アメリカではシンクレア・ルイス、ウィリアム・フォークナー、そうしてこのスタインベックの三人がノーベル文学賞を受賞しています)。

ドス・パソスは三部作『U.S.A.』(1938)が代表作。ただしこれは手法的にものすごく斬新なので(新聞記事や広告などのコラージュ、あるいは意識の流れ)、相当に読みにくいかもしれませんし、翻訳もいまはかなり手に入りにくい。

トマス・ウルフは『天使よ故郷を見よ』(1929)を。

あー、ここまで書いたら疲れた。
戦後はご希望があれば、書きます。
ということで。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。興味深く拝見しました。

回答で名前が挙がったものについては全て読むつもりでいるのですが、五部作がツライですね……。「U.S.A.」もツラそうだな……ううむ。
戦後については、では念のために、しかし出来れば3人くらいの範囲でお願い出来ますでしょうか。多くても5人くらいで。お気がむきましたらで結構です。

お礼日時:2006/09/29 00:10

二十冊を目安にあげます。

存命の作家は除きます。
・ポオの短篇「黒猫」「黄金虫」その他
・ホーソーン『緋文字』
・メルヴィル『モービィ・ディック』(白鯨)
・マーク=トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』
・ホイットマンの詩(「草の葉」)
・エミリー・ディキンソン詩集(ただしこれは英語で呼んだほうがよい)
・ヘンリー・ジェイムズ『鳩の翼』か『ある婦人の肖像』か『使者たち』
・フォークナー『アブサロム、アブサロム!』
・ヘミングウェイ『老人と海』その他短篇
・ヘンリー・ミラー『北回帰線』
・アンダスン『ワインズバーグ・オハイオ』
・ミッチェル『風とともに去りぬ』
・メアリー・マッカーシー『グループ』
・テネシー・ウィリアムズ『欲望という名の電車』か『ガラスの動物園』
・マラマッド『アシスタント』
・ウォートン『無垢の時代』
・キャザー『私のアントニーア』
・マッカラーズ『心は孤独な狩人』
あとは生きていますが、オルビーの『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』は名作です。
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この回答へのお礼

こちらのご回答もバランスが良いような気がします。ミステリ好きなのに、ポーを読んだことがなかったことに一年くらい前に気づいて、我ながらびっくりしました。「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」は、まずヴァージニア・ウルフの何かを読んでから読んでみようと思います。

ご回答ありがとうございました。

お礼日時:2006/10/02 23:25

> 社会問題とはなるべく関係ないものを書いている女性作家を2,3人



う、これまた難問だ。

文学というのは、やはり人間を深く掘り下げていくものですから、その主人公が社会の出来事にたいしてどのように反応するか、というのは当然出てくるわけです。

たとえば下の方でも出ているパール・バックの『大地』(1931)、これもノーベル文学賞を取ってましたね、忘れてました、これだって、中国における「農奴問題」を扱った小説ともいえる。事実、作者のバックは、左翼的な思想を持った作家として、FBIの要注意人物のリストにも載ってしまう(載せる方に問題があるとは思うんですが)。

どういう形であれ、社会問題は遠景・近景に浮かびあがってくるものだし、それに対する作者の問題意識も、不可避的にあらわれてしまうわけです。そういう要素を排除してしまうと、もうロマンス小説にしか行きつかない。

ということで、政治的主張を前面に押し出さない作家、というふうに読み替えて、考えてみます。

まずは19世紀末から20世紀初頭のイーディス・ウォートン、『エイジ・オブ・イノセンス』(1920:邦訳によっては『無垢の時代』とも)は映画にもなりました。
この人はヘンリー・ジェイムズとも親交があって、心理描写などの面で大きな影響を受けていますが、本家にくらべるとずいぶん読みやすい。

ほんとはここでウィラ・キャザーやキャサリン・アン・ポーター、それから時代がくだってユードラ・ウェルティなんかもあげたいんだけど、翻訳はおっそろしく手に入りにくいので、パス。

ハーパー・リーの『アラバマ物語』(1960)はお読みですか。
これは人種問題をめぐる事件が大きな軸にはなっているけれど、基本は南部の田舎町で過ごす兄と妹の物語です。アメリカ文学のモダン・クラシックスというか、心のふるさと、というか。リーはこれ一作しかまとまったものは書いていないのですが、たぶん、これ一作で後世まで十分、残っていく作家だと思う。ロバート・R・マキャモンの『少年時代』も、おそらくこれに触発されて書いたものだろうし。

あとは誰だろうな、現代の作家はわたしもそれほど読んでいるわけではないのですが、やっぱりアン・タイラーかなぁ。この人は家庭内のことしか書かないのですが、それがどうしてこんなに深く掘り下げられるのか、と思うぐらいな深みを持っています。ああ、そういえば『カラマーゾフ』だって家庭内小説だったんだ、みたいに、わたしはこの人を読んで、逆にそのことに気がついた。もちろんそんなことは全然気にせず、読むこともできます。思想的な要素、政治的な要素は、ストイックなぐらいに排除してあります。
一冊、選ぶとしたら『夢見た旅』(1977)。
ただ、多くの作品は手に入れにくいし、手に入りやすい新作は、ここのところ読んでないので。

> 「アメリカ文学は肌に合わないのか」

うーん、こういう発想っていうのはね、「自分の好み」というモノサシを完成させたものである、ととらえるところから来てるかな、とわたしは思います。

わたしはこれといって自分の見方、感じ方、みたいなものが、あらかじめあるわけではないんです。もしかしたら、「自我」みたいなものが、極端に希薄なだけなのかもしれないけれど、逆に、強固にそういうものを持っている人を見ると、しんどいかな、と思います(あくまでもわたしの感じ方であって、だれかを批判する、とかそういう意図はまったくありません)。
すでにできあがった「自分の好み」というモノサシを、作品に照らし合わせて、これはダメ、これはo.k.って見るのは、確かにちょっと、しんどい。

現実に、わたしたちはAさんに出会ったときの態度と、Bさんに出会ったときの態度って、変えてますよね? 選ぶ話題も、話し方も。
なんで、本を相手にそれをしちゃいけないのか、って思うんです。

少し、自分の立ち位置を変えてみたり、読み方を変えてみたりするだけで、新しい人と親しくなれるように、新しい本ともいい関係が築いていけるんじゃないか。
わたしは「相手と呼吸を合わせる」みたいな言い方をしていますが、多くの作家っていうのは、格別によみやすい人を別とすれば、長編だったら、三分の一から半分ぐらいまで、読みながら、相手に呼吸を合わせていく作業が必要です。短編だったら、それをやってるうちに終わっちゃうってことが少なくない。だから、わたしはいきなり短編はあまり読まないんですが。

「呼吸を合わせる」みたいな感覚的な言い方しかできないんですが、少し、読むときに工夫してみてください。音読する。誰かの朗読で聞いてみる。誰かが読んでいる声を耳の内側で想像しながら読んでみる。
とにかく、相手にしているのは、ノッペラボーな字面じゃない。その向こうに「人」がいます。

嫌いな人とはつきあわない、みたいな生き方をすると、ほんとなら好きな人とだけつきあえて楽しいような気もするけれど、実際は逆に、あれヤダ、これヤダ、って、どんどん世間が狭くなって、かえって苦しくなるのと一緒だと思うんです。
もう少し、ラクに、自分の好みっていうのは、日々変わっていくものだ、どんどん作り上げていくもんだ、って見方を変えたほうが楽しいかなぁ、って思います。
だってわたし、本屋に行くと、ああ、こんなに読んだことのない本がある、と思って、うれしくってしょうがない。ここまでいくとすでに「変人」の領域かもしれませんが(笑)。

ちょっと越えた話でゴメンナサイ。

この回答への補足

※その過程で、一応色々な出会いが(好き嫌いに関わらず)展開されていくわけですから、それにつれて自分の好みも変化します。(あまり変化したくないけど。でも変化しないことも不可能でしょう?)ただ、変化したものも「自分の好み」に間違いないから、それが基準であることは変わらない。モノサシという言い方で言えば、不定形ではありますね。その不定形で計るのですから、客観性というものは全くない。しかしわたしに関して言えばそれでいいのです。いわばわたしの王国内の出来事ですから。

かなり恣意的に書きましたが、言いたいことは伝わるでしょうか。伝わらないかもしれないけど(^_^;)。
まあ「呼吸を合わせる」方向には興味がないということですね。わたしにとっては……こんなことを言うと、実は身もフタもないのだが(^_^;)、あまり好きな(あるいは良い)物ばっかり増えても仕方ないのです。いかに削ぎ落としていくか、というのが大事なので。

ご回答の前半に関しましては、面倒なお題にご回答くださりありがとうございました。一昨日数えてみたところ、みなさんの回答を合わせて40冊ちょっと……。このくらいで打ち止めにしたいと考えております(^_^;)。というか、わたしは割合律儀なので、「一作家一冊というのはかなり賭けじゃないか?」とか考えそうです。かといって二、三冊ずつ読むことにすると、あっという間に100冊超えてしまうのだが。……足元だけを見つめて歩こう。

再再再度の回答ありがとうございました。

補足日時:2006/10/02 23:18
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この回答へのお礼

わたしは根本的には小説読みではありません。フィクションを読むのなら、出来れば現実世界とは全く離れたものを読みたいと思っています。人生の艱難辛苦やどろどろを、わざわざ字によって追体験せずとも良いのです。なので、ジャンルで言えば好きなのはミステリとファンタジー。他に、歴史小説は現実から時間的に隔たっているということで、安心して読めます。といっても、ミステリとファンタジーと歴史物に限っても、好きだと思えるものはそうないのですが。

……が、まあそれだけじゃあ読むものがないので、最近は多少範囲を広げる努力をして(^_^;)。でもそうそう楽しい出会いがあるかと言うとそうではない。しかしあんまり贅沢を言っていると、出会いもありませんからねー。とりあえず読んでみないことにははじまらない。(ここまでは普通の話。)

わたしは好き嫌いを基準にして考えています。自分の好き嫌いをとても大事にしたいのです。作品に寄り添って、(客観的に)美点を見つけていく読み方もあるでしょうが、そういう寛容な見方をしたくはない。そういう方法の方が、幸福量総体としては多いのかもしれない、多分。
……しかし、そうではない見方があってもいい。星の数ほどある書物を、思い切り自分の我儘な見方で「コッチ側」「アッチ側」と分ける。数をこなしていくうちに、コッチ側の本の数も増えますが、それに伴ってその中でもさらにコッチ側とアッチ側に分かれていく。
そして、どんどんどんどんコッチ側が尖っていって、だんだん高く突き出る。(その背後には「アッチ側」の死屍が累々。)その突き出た部分はどこまで行くのか、どんな姿をとるのか、というのがわたしの興味の方向です。だから、わたしはなるべく狭める方向で物を見ます。
例えば水鉄砲。どんどん穴を小さくすれば、同じ時間をかけて穴を通過する水量はわずかになりますが、しかし遠くまで飛ぶようになる。わたしが求めているのはそういう方向です。※

お礼日時:2006/10/02 23:18

うーん、戦後を三人ですか。

困った。どうしよう。

ということで、戦後に入っていきましょう。
たとえばフォークナーにしてもアンダーソンにしても、それまでのアメリカ文学は、アメリカの土地というものを非常に大きな問題にしていたわけです。
そもそもアメリカにメイフラワー号で来た人たちが「新しい土地」を求めて北米大陸に上陸したわけだから。
とにかく「アメリカ」という土地と文学というのは、第二次世界大戦以前までは、並々ならぬ結びつきがあったわけです。
ところが経済が急成長して、都市の規模は空前のものになっていく。
そうなると、都市へ集まった人々は、土地との結びつきを喪失して、個人へと解体されていくわけです。

そういう流れにサリンジャーなんかもいるわけだけれど、この面ではジョン・アップダイクに代表してもらいましょう。『走れウサギ』(1960)を。これは60年代から90年代にかけて、10年ごとの「ウサギ」の生涯を追う四部作でもあります。

もちろんそれ以前から問題にはなっていたのですが、戦後大きくクローズアップされたのが、人種、民族、フェミニズムをテーマに据えた作品群です。

もちろん戦前からリチャード・ライトの『アメリカの息子』(1940)という作品もありますが、これは社会の中で抑圧された黒人の悲惨な状況を訴え、アメリカの白人の差別的なありかた、自由・平等なんて嘘じゃないか、みたいに批判するものだった。それが戦後になってもっと「文学作品」として、質の高い(ああ、言葉がまずいな)ものが描かれるようになったわけです。ということで、この時期の金字塔、ラルフ・エリソンの『見えない人間』(1952)を。最近新訳が出ました。上下分冊で読むの、大変だけどね。

人種+フェミニズムということで、トニ・モリスンはお読みかもしれない。もし未読でしたら、うーん、何がいいだろう。『ビラブド』(ああ、ノーベル文学賞をこの人もこれで受けています。下で書いたのは、第二次世界大戦以前のつもりでした)かな。

民族でいったら、いろいろあるのだけれど、やはりここではユダヤ系に代表してもらおう。
ノーベル文学賞受賞作家を順次挙げていっているので、ソール・ベロウにしましょう。おもしろいっていったら、『オーギー・マーチの冒険』なんだけど、手に入れるのはむずかしいかもしれない、アマゾンでトップに来る『犠牲者』これはちょっと好きずきっていう気がします、それなら中古で『この日をつかめ』(1956)かな。この人はトニ・モリスンの前、1976年に受賞しています。

おっとここまででもう四人。
で、もうひとつおまけ。ポスト・モダン系の作家からトマス・ピンチョンを。まずは中編の『競売ナンバー49の叫び』(1966)あたりから。

いちおう「アメリカ文学史」のテキストのどれにもかならず載っているような作品をずらずらっと並べてみました。
ほんと、教科書的であまりおもしろみのないリストです。
翻訳の手に入りやすさとか、いま読んでのおもしろさ、という点はあまり考慮に入れてなくて、ドス・パソスは手に入らないかもしれないし、読む必要があるのか、という気もしないではありません。
クーパーの『レザー・ストッキング物語』は、いま翻訳で読めるのは『モヒカン族の最後』ぐらいでしょう。えと、福音館のところでタイトルがひっくり返ってるのは、昔はそう訳されてたからなんです。いまは訳し直されてて原文通りになってるみたい。

だから、全部目を通さなくても、こんな流れなんだ、と頭に入れて、適当に拾い読みしてみてください。
「これ、読まなきゃ」、となると、しんどいし、実際しんどい本も結構ありますから。
もうちょっとこの本について聞きたい、この作者はなんであがってないの、みたいな追加質問がありましたら、なんでもどうぞ。
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この回答へのお礼

うっ。やっぱり盛り沢山で来ましたね。そうだと思った(^_^;)。

ちょっと「代表作」というお題から逸脱するかもしれませんが、社会問題とはなるべく関係ないものを書いている女性作家を2,3人挙げていただけませんか?トニ・モリスンは女性のようですが、wikiを見ると、どうもわたしの好みとは全く反対の作風のようです(^_^;)。代表作というお題を出しておきながら、好みで取捨選択するのも邪道だが、少々息抜きが欲しい。

「アメリカ文学は肌に合わないのか」を検証するための質問ですので、しんどいのは最初から想定内です。そもそもわたしはとても好みが狭いので、新しい小説を読むというそれだけでもうしんどい(T_T)。でもまあ一歩一歩進んでいけば、いつかは明るい明日が来るでしょう。……多分。

よろしくお願いします。もちろんお時間のある時で結構です。

お礼日時:2006/09/30 23:56

カナダをアメリカに含めた理由ですが、文学は使用言語によって分類するのが自然だと思います。


よって、文学ではアメリカを
英語を使用するカナダと合衆国
ポルトガル語を使用するブラジル
スペイン語を使用する中南米諸国
の三つに分類するのが自然です。
このなかで英語を使用するカナダや合衆国の文学を質問されたのであろうと判断しました。
実際にカナダ出身でも活動の中心は合衆国であることも多く、はっきり別け辛いと思います。
代表的な例
アーネスト・シートン
イギリスで産まれるが5才のときカナダに移住。カナダで育つ。
成人後、北米各地で博物学者、画家、作家、社会活動家(ボーイスカウトなど)として活躍、70歳でアメリカ合衆国の市民権を得ている。
カナダ出身と考えてよいと思われるが、アメリカ合衆国と分離することはできないと思う。
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この回答へのお礼

なるほど。納得致しました。
わたしは、アメリカの国民性という方向から入ってこの質問をしましたので、カナダ作品が挙がったことが不思議でした。
わたしが気に入っているコージー・ミステリに「君たちアメリカ人は……」「私はカナダ人!アメリカ人じゃないってば」というような会話を何度となく繰り返す作品がありますので、カナダ人はむしろアメリカ人との違いをかなり意識させられているのではないかという印象を持っています。

再度のご回答ありがとうございました。

お礼日時:2006/09/29 23:26

小説ではミッチェルの「風とともに去りぬ」が外せないと思います。


O・ヘンリーの短篇に傑作がたくさんあります。「賢者の贈り物」とか「最後の一葉」などです。
コールドウェルの「巡回牧師」か「タバコロード」も入れておいた方がよいかもしれません。
パール・バックの「大地」も舞台は中国ですが、作者はアメリカ出身です。
小説よりもエッセイに近いものとしてはアーヴィングの「アルハンブラ物語」とか、ソローの「森の生活」とかがあります。
フランクリンの自伝も文学作品と見てもよかろうと思います。
戯曲ではユージン・オニールの「喪服の似合うエレクトラ」や「奇妙な幕間狂言」が世界文学の中でも最高峰だと思います。テネシー・ウィリアムズの作品も有名です。たとえば「ガラスの動物園」とか「欲望という名の電車」とかいくつかあります。
詩はあまり詳しくありませんが、ホイットマンの「草の葉」とかロングフェローの「エヴァンジェリン」などでしょうか。
児童文学ではオルコットの「若草物語」、ウェブスターの「あしながおじさん」、モンゴメリの「赤毛のアン」など少女小説の傑作が多いことが特記されます。男の子むけとなるとマークトウェインの「トムソーヤの冒険」などですが少ないように思います。
シートンの動物記なども重要な文学作品と思います。
なお、ここではカナダ文学も含めていますが、南アメリカはおそらく対象ではないと思い外しています。

個人的にはブローティガンの「西瓜塘の日々」など気に入ってます。まだ読んだことがありませんが、トマス・ウルフの「天使よ故郷を見よ」なども代表作に入れるべきかもしれません。
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この回答へのお礼

バランスよく挙げていただいたようで、ありがとうございます。それから、このところずっと「アーヴィングという名前の人で何か一冊読んだことがあるはずなんだがタイトルが思い出せない」と落ち着きの悪い思いをしていたのですが、おかげさまで「アルハンブラ物語」だったと思い出しました。

ところでこの質問に対するご回答で、カナダの作品を含めたのはなぜなのでしょうか。アメリカ文学といった場合、カナダも自動的に含めるという見方が主流なのですか?もしよろしければ再度ご回答いただきたく思います。

ご回答ありがとうございました。

お礼日時:2006/09/27 00:11

シオドア・ドライザー「アメリカの悲劇」


シンクレア・ルイス「本町通り」
今は忘れられがちですが、20世紀初頭の米文学を代表する大作家です。

そして第二次世界大戦後の傑作である
ハーマン・ウォーク「ケイン号の反乱」
ジェームズ・ ジョーンズ「ここより永遠に」
ノーマン・メイラー「裸者と死者」
の3作も是非加えてください。
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この回答へのお礼

まったく聞いたことのない作家なので、実は「どの程度代表作なのか?」と危ぶむ気持ちは少々あります。が、どうやら求めていたのは、自分が知らない「代表作」なので、まさに期待した回答なのかもしれません。読んでみます。
「ここより永遠に」は映画になりましたね。はるか昔に見た記憶があります。

ご回答ありがとうございました。

お礼日時:2006/09/25 22:48

ホーソーン「緋文字」1850


ストー夫人「アンクルトムの小屋」1851
メルヴィル「白鯨」1851
スコットフィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」1925
フォークナー「八月の光」1932
ヘミングウェイ「日はまた昇る」1936
         「老人と海」1952
スタインベック「怒りの葡萄」1939  
サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」1951 

半イギリス人のヘンリージェイムズやトム・ソーヤーのマークトウェイン含めると少し違う。それに文学といってもミラー、オニールなどの芝居を入れるのか、ホイットマンやポーの詩を入れるのかによって大分異なってくるとおもいますが、どうなんでしょう?まぁそのへんは他にもアドバイスくれる方がいると思うのでかぶったり足りないものを取捨して軌道修正いってください。とりあえずこれだけ。

この回答への補足

ご回答ありがとうございます。

イギリス文学ではシェイクスピアを避けて通れない、日本文学史では万葉集を避けて通れないと思うので、戯曲や詩を含めない理由はないように思います。
ヘンリー・ジェイムズは今日wikipediaを見るまで、完全にイギリスの人だと思っていました。かなり驚かされました。マーク・トウェインは、「ハックルベリィ・フィンの冒険」はアメリカ文学の嚆矢である、という文章をどこぞで読んだことがあったので、わたしとしては完全にアメリカ文学の人なのですが。逆に、どの辺りが微妙なのか知りたく思いました。

ところで、今後ご回答して下さる皆様、少々冊数を変更しまして、出来れば20冊くらいの範囲でお願いしたいと思います。

補足日時:2006/09/25 00:02
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