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債権者A 債務者B(現在行方不明) 第三債務者C(X市商工組合)
という人物設定です。
 債権者Aは、債務者Bに対して1000万円の公正証書を持っています。
債務者Bは、第三債務者Cに加入しておりましたが、この3月末日で退会する事が決定しています。
 そこで、債権者Aは、債務者Bの組合出資金200万円について、その公正証書によって債権差押命令及び転付命令を申し立て、転付命令が確定しました。
 ところで、法定準備金や組合積立金等、組合員(組合の出資者)の持分に属する金銭(以下、持分金といいます)が、Bについての持分金は、その出資口数から計算すると、去年の決算ベースで150万円あります。
組合を退会するときに、この持分金が払い戻されるのですが、それは当年度定時総会(本年5月末日に開催の予定)の決算承認をもって、正式に金額が確定するので、実際の払戻は、その決算承認の後になります。
 私は、この持分金に対して、今から債権差押命令は申立が出来ると思うのですが、転付命令の申立は同時に出来ないのでしょうか?
 ご指導をお願いします。

A 回答 (1件)

 結論的には、現段階において持分金払戻請求権を差し押さえることは可能であるが、転付命令の取得はおそらく無理であろうと思われます。



1 差押えの可否について
 商工組合の組合員は、脱退したときに持分の払戻を請求することができます(中小企業団体の組織に関する法律39条、中小企業等協同組合法20条1項)。
 B氏は、現段階ではいまだC組合を脱退していませんから、C組合に対して持分の払戻を請求することはできません。

 しかし、将来生ずべき債権であっても、すでにその発生の基礎となる法律関係が存在し、近い将来における発生が確実に見込まれるときは、これを差し押さえることができると解されています。
 本件においては、B氏は、C組合に加入し、かつ、出資金払込義務を履行しているようですから、持分払戻請求権の基礎となる法律関係が存在していますし、近々脱退予定とのことですから、持分払戻請求権が近い将来発生することが確実に見込まれるといえます。
 したがって、持分払戻請求権を差し押さえることは可能です(なお、持分払戻請求権について、差押えを禁止する旨の法令の規定は存在しないようです。)。

2 転付命令の可否について
 民事執行法159条1項及び160条は、被転付債権に「券面額」(≒金額)があることを前提としていますから、金額が未確定な金銭債権は、転付命令の対象とはなり得ません。
 本件においては、C組合の定款上、脱退の日が属する決算期の末日における貸借対照表上の純資産額を基礎として、払戻額を算定することとされているようですから(*)、B氏のC組合に対する持分払戻請求権は、決算の確定以前は、金額が未確定といわざるを得ず、転付命令の対象とはなり得ないものと思われます。

 ご期待に沿えず申し訳ありませんが、何かのご参考になれば幸いです。
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* 払戻額算定の基礎となるのが、脱退の日の直前の決算期末日における貸借対照表上の純資産額であれば、払戻額は確定していることになりますから、転付命令の取得も可能です。
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この回答へのお礼

毎度の事ながら、大変助かっております。
お礼の言葉もありません。
やはり、「2」項記載の通りの状況ですので、転付命令までは出来ない、という解釈については否定できませんよね。
懇切丁寧なご指導、ほんとにありがとうございます。
また難儀な質問をするかもしれませんが、その節はよろしくお願い申し上げます。

お礼日時:2002/03/30 11:58

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