プロが教えるわが家の防犯対策術!

白石一文「一瞬の光」を今読み終わりました。
書評も良かったので、読んだのですが、主人公の選択に納得できませんでした。読後感の悪い小説でした。
香折という女性に主人公がどうしてそんなに惹かれるのか、介入してゆくのか、最後まで納得できませんでした。
小説の最初から、どうしてこんな女にそんなに関わるんだ?から始まって、物語の後半では瑠衣と自然な幸せを掴んでくれって願いながら読みました。
ずっと香折のことを疫病神のように感じながら不吉な気分で読みました。自分自身の身勝手さ(面倒なものを切り捨てたくなる気持ち)のせいでそう感じるのかとも思いました。

確かに、瑠衣は一人でも生きていけるかもしれないし、香折には絶対に浩介が必要だったと思うのです。

しかし、浩介の気持ちの流れで、香折のどこに「一瞬、一瞬のかけがえの無さ」を感じ、「生の実感を掴むことができた」のか、理解できないのです。香折はそれほど魅力的には描かれていないと思うのです。

まだ一回読んだだけなので、分からないのかもしれません。読んだことのある皆さんはこの主人公の選択に納得できましたか?
それとも、読者が違和感を感じるように作られた「意地悪な」「不自然な」小説なのでしょうか?
虐待され続けた女性が最後は虐待し続けた相手に植物人間にされるという設定自体、異常なものを感じます。
(私自身も浩介が瑠衣を選んだとして、香折のことをどう解決するのか提示できる選択は無いのですが。)
ご自由に解説、批評していただければ、嬉しいです。

A 回答 (3件)

私も2年ほど前に読みました。

この小説には、引き込まれる力があり、結構一気に読んだ記憶があります。
私も、結末にはなにこれ・・・?って思いました。
もうあと数十ページってところで、どうなるの?次は次はって思いながら読んで・・・でもね、この小説でもし主人公が令嬢と結ばれたら、ドラマチックではなくなりますよね、回復する見込みのない女性のことを何もかも捨てて一生面倒見るって言うのが、やっぱり小説かなって思うんですが、質問者さんはどうですか、この結末は許せないのかな?
 ところで同じ白石さんの小説で、「すぐそばの彼方」というのがあるんですが、これもまた似たような
結末でした。一時白石さんの小説にはまっていたんですが、これを読んで、なんか時間を損したような気持ちになったので、やめちゃいました。
でも、白石さんは確か文芸春秋の編集者を長く勤めた方で、一瞬の光でも、商社の裏側みたいなものは読んでて勉強になりましたよ。また「すぐそばの~」では政治の世界が出てくるので、その方向から読めば勉強になるかもです。
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この回答へのお礼

ご回答大変ありがとうございます。

そうなんです!
小説的には、来るよ来るよ、香折とくっついちゃうんだろうな・・・と予感はあったのですが・・・。
香折の魅力が十分描かれていない気がするのです。
香折が、とんでもなく弱く、浩介を必要としてるのは分かるのですが、それだけで瑠衣より香折を選ぶか?、と思ったのです。
それが不満でした。

しかし、それは自分中心でばかり考えるからでしょうか?
恋愛至上主義的に考えると、あんまり魅力のない弱い女を選ぶことが間違いのように見えるのです。
恋愛だけではない広い人間関係で考えること、つまり、より弱い人間を助けたくなる気持ち、助けないといけないと思う気持ち、というものも、ある種の心理の人には、ありなのかな、と思うようになりました。
浩介が、権力を目指し達成することを中心に濃密だった15年間を棒に振って、大切な人々に裏切られて、たどり着いた境地は、そう言うシンプルな倫理観だったのかな・・・と。

自分の恋愛的な好き嫌いを中心に考えることを当然の様に思っていましたが、弱い人への思いやりを中心に考えざるを得ないような心境になったのかも知れません。

だけど、まあしっくりは来ませんでした。
「すぐそばの彼方」の情報助かりました。やめておきます。

ありがとうございました。

お礼日時:2006/10/11 00:31

 こんにちは。

私もつい最近読み終えたのですが、私も質問者様と同じく「何これ? これで終わっていいの?」って感じざるを得ませんでした。
 私の場合、文庫版の裏表紙のあおり文句(「新鋭の作家さんで感動できるエンディング」みたいな感じの)を見て買ったのですが、思いっきり期待外れでしたね(涙

 ただ、質問者様は香折が嫌いなようでしたが私はむしろ浩介の方が気に入りませんでした。というのも元々香折は自分から浩介に好かれようとはしていませんでしたよね。香折が襲われていたから浩介が助けた。二人の関係はそこから始まっているんです。
 まぁ、その後香折が浩介を呼び出したりしているシーンは数多くあったのですが、それだって浩介が必要以上に香折に接していなければそんなことも無かったわけです。香折が浩介から離れる決意をしたのに浩介は香折のことが気になって仕方が無いわけで「香折が浩介に頼ろうとしている」のではなく「浩介が必要以上に香折と接したがっている」の方があの二人の関係を表す言葉としては適切なのではないでしょうか。

 つまるところ「浩介が必要以上に香折に接しすぎて自分を見失った」のではないかと私は考えます。浩介は香折を悪く言った部下を海外に飛ばしたりしていますから、これは乱心としか思えません。
 ちなみに、私も最後は瑠衣と一緒になって欲しかったです。でも結末は・・・。作者さんの考えは高尚過ぎて私には理解できません(苦笑
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
そうですね。個人的に、あまり香折みたいなタイプが好きではないです。nathimariさんのおっしゃるとおり、「浩介が必要以上に香折と接したがっている」ことの理由になる香折の魅力が描かれていないことが不満でした。
ご丁寧にありがとうございました。

お礼日時:2006/10/15 15:46

 2年ほど前に一読した者です。

どうして浩介さんが香折さんに惹かれたのか。私見で恐縮ですが述べたいと思います。現実的に無理あるような、突っ込みたいところは置いときます。

 終盤、香折が襲われた後、病院で柳原君の台詞で、
「彼女、逃げようと思えば逃げられた気がします。」
とあります。

 香折さんは自分がいる限り、浩介さんは瑠衣さんと結ばれないと思い、自分を犠牲にしたんだと思います。本当に浩介さんの幸せを考えれば、自分を犠牲にすることではないんですが、初めて愛情を受けた香折さんがそれに気づくのは経験的にまだ難しかったと考えます。また恐らくそれらを浩介さんは知っています。

 瑠衣さんの気持ちも痛いほど分かっていたとは思います。ですが浩介さんの主観で香折さんにあって、瑠衣さんにないもの、瑠衣さんにあって、香折さんにないものを考えると終盤の浩介さんの場合、香折さんだったのでしょう。
 
 浩介さんの周りにいる人たち瑠衣さんを含め皆、客観的に測れるものとそうでないもののバランスを考えて、物事を選択していると思いますが、浩介さんはそうしなくなった、ただそれだけのことかもしれません。
 
 駄文ですみませんが参考になれれば幸いです。
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この回答へのお礼

丁寧にご回答下さり感謝いたします。
なるほど~っ、と、とても感動いたしました。
香折が逃げなかった、ことの解釈はそういう風に考えると良いですね!どうしてかなとちょっと立ち止まったのですが、話の流れに押されて深く考えませんでした。
ありがとうございました。

お礼日時:2006/10/11 00:07

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