No.4ベストアンサー
- 回答日時:
「フランス語が邪険にされる」というところに回答の重点をおくと、フランス語の発音は突出して優雅ですが、その分、朗々たるメロディには乗りにくいということが言われています。
この”弱点”を逆に生かしたのが、ドビュッシーやラヴェルといったフランス近代の作曲家の作品ではありましたが、イタリアやドイツのわかりやすい声楽作品に比べると、世界的に見て大人気であったことは一度もないようです。また、フランスはルイ14世の時代(17-18世紀前半)の時点で、イタリア音楽に対抗して、独自の路線を追及しはじめています。たとえば、イタリアのオペラがメロディーを全面に出したものであるなら、フランスのオペラはフランス語という言葉の響きを全面に出したものでした。マリー・アントワネットの時代などには、フランスの音楽とイタリアの音楽、どちらが優れているかという論争が巻き起こり、同じ脚本でオペラを作った場合、イタリア風とフランス風だとどちらが優れて聞こえるか、などという競争が何回も起きました。
ちなみにドイツ&オーストリアはイタリアの音楽家を多数、宮廷に招いていたことからもわかるように、フランス音楽よりも、ずっとイタリア音楽を重視していました。モーツァルトの父親も息子に対して「フランス音楽はくだらない」というような(偏見に満ちた)手紙を書いています。
なお、日本では(江戸時代などに比べても)質実剛健さを重んじた文化が主流となった文明開化以来、フランスよりもドイツの文化に傾倒する知識人が多かったようです。ちなみにベートーヴェンの熱烈なファンには、一回も彼の音楽を聴いた事がなかった文学者などがいたほどでした。こうした趣味思考の歴史は現在にも影響を及ぼしているのだと思われます。
音楽にしにくい言語だということは聞いたことがあります。実感はありませんけど。そういう論争もあったのですか。日本でドイツ偏重になったのは、国全体としてそんな雰囲気だったのでしょうかね。それがABC(アーベーツェー)になってしまったのか。
No.7
- 回答日時:
wy1さんがANo.5にておっしゃることは概ねそのとおりだと思います。
16世紀にフランス宮廷に嫁いでいったのは、カトリーヌ・ド・メディチで、彼女がイタリアの先進文化をフランスに伝えたのは事実です。
補足ですが、カトリーヌ・ド・メディチはシャーベットやお菓子のレシピだけでなく、男女が共に食卓を囲むというような文化風習もフランスにもたらしました。また同時に音楽家やダンサーをフランスに連れて行ったということです。
音楽の話で補足すると、(カトリーヌ・ド・メディチよりも)後の時代のルイ14世と共にフランス独自の音楽追求していった音楽家は、ジャン・バティスト・リュリで、この人も実はイタリア人でした(まぁ皮肉な話ですが)
(あとココからはさらに細かい話ですが、トスカーナ大公家になりあがったメディチ家の基盤はローマではなく、フィレンツェでしょう。
さらに細かい話ですが、カトリーヌ・ド・メディチがフランス王家に嫁いでから数十年後の1569年にはじめて、メディチ家は貴族としての爵位・トスカーナ大公の称号を得たことになります。
それまでは、いくら金持ちでもただのメディチ家であり、その当時は事実上の平民と王家の婚礼ということで大スキャンダルでした)
しかし17-18世紀はもちろん、ヨーロッパ中の宮廷ではフランス語が公用語でしたし、フランスの宮廷文化は憧れの的でした。(19世紀になってもフランス語が、その文法的な明晰さゆえに公式言語として国際会議などで使われていたことは事実です)
問題はそれゆえ、というか、ウラハラにというか、ある種の(鼻持ちならぬほどの)スノッブさを、フランス文化に対して感じるのは日本人だけでなく世界中共通の反応となってしまったようです。
特にドビュッシーやラヴェルが活躍した19世紀後半以降のヨーロッパでは、自国文化を尊重しようというナショナリズムの嵐がまきおこってきましたから、フランスの作曲家が大衆的とはいえない高雅なイメージを意図してまとおうとしたのも事実でしょうね。
この二つの側面が噛み合って、フランス音楽というとある種の拒否反応を世界中で示されるようになったのでしょう。
ルイ14世の文化政策などについて、ネタ本的にパラパラと読めるのは↓の本
堀江宏樹(竹書房)「後宮の世界」
ちなみにルイ14世などのバロック時代のフランス音楽について、かなり詳しくわかりやすいのは↓の本です。
竹下節子(音楽之友社)「バロック音楽はなぜ癒すのか-現代によみがえる心身音楽-」
日本における、おフランス音楽受容については古い本ですが、↓を読めばその高踏派なイメージはつかめると思います。
斎藤磯雄(三笠書房)「フランスの歌曲」
フランス人によるフランス(の近代)音楽に対する音楽哲学的なエッセイは↓を。
ウラディミール・ジャンケレヴィッチ「ドビュッシー : 生と死の音楽 」、「夜の音楽 : ショパン・フォ-レ・サティ 」「フォーレ : 音楽から沈黙へ 」
まぁ、一口にフランス音楽とはいっても、ドイツ音楽との間に接点をもとめようとしたセザール・フランクなどの作曲家や、わかりやすいところでいえばサン=サーンスなどがいるので、簡単に語れるものではありませんが。
ちなみに「むずかしくない」フランス歌曲のCDも出されています。これにはマリー・アントワネット王妃の作品も収録されてます。
唐澤まゆこ「アントワネット」
媚を捨てていたということなんですね。それで受けがよくなかったのがフランス音楽用語もぜんぜん受け入れられなかったということかもしれないですね。
No.6
- 回答日時:
音楽の世界だけでなく、世界史を紐解くと色々わかってくるんですね・・・
ご質問に対する回答というわけではないかもしれませんが・・・・
面白いと思うのは、世界には、ドイツ人と、フランス人と、イタリア人だけではないのに、楽譜(特にクラシック)を色々見ると、まず大雑把に言ってイタリア語の表記が目立ちます。
日本でもそうですが、音楽用語の多くがイタリア語の表記で覚えるものが多いからなんでしょうね。しかし、「音階・音程」の読みはどちらかというと
ドイツ語に結構偏ってるとは思いますが。
作曲家というもの、自分が慣れ親しんだ言語はやはり一番であるらしく、
たとえばチャイコフスキーはロシア語(ロシア系の何語かはわからないです)、レスピーギはイタリア語、マーラーやワーグナーはドイツ語、ラベル、ドビュッシー、デュカスなどはフランス語で表記してますね。アメリカの作曲家は英語とイタリア語が混じっている例が多いみたいです。
実際私たちが、日本で手に入れることができる楽譜は、ロシア語表記は一部を除いてイタリア語表記に直された出版譜、ドイツ語のスコアも何もかもドイツ語ではなくある程度はイタリア語も見受けられます(作曲家により差がありそうです)。フランス語のスコアは出版社の意向もあるのでしょうが、フランス語が大半を占めたまま出版されています。
どの国でも根本は同じでしょうが、フランスの人は特に自国を誇りに思っていて簡単に英語などを受け入れないところがある、という話を聴いた事があります(どこで聞いたのかは忘れてしまいました)
音楽用語はイタリア語で、音階音名関係はドイツ。これがどうも納得行かないというか、経緯がわからないところなんです。これは世界的に見ても普遍的なのか、フランスではもっぱらフランス語でやっているのかアメリカではABC(アーベーツェーじゃなくエービーシーなのか)、日本ではどうしてこうなっているのか。その点なんとなく創造するしかないですね。作品の表記としては自国語になっているのでしょうが、用語ですね。その関係が各国どういう扱いをしているのか、疑問です。
No.5
- 回答日時:
”1です。
音楽に限らず、食文化、今ではフランス料理が、、と言われておりますが、これらの根源は全てフランス宮廷にトスカーナ大公家との婚姻により、初めてもたらされたものなのです。料理をナイフとフォークで食べるのも、初めてみたフランス人はびっくりしたのでは?ドイツはフランスよりもやや遅れていたのではないでしょうか?
フランスは当時のイタリア(ローマ)から見ればガリアの辺境に思えたのでは? これは冗談ですが。
No.3
- 回答日時:
クラシックのサックスの楽譜は、フランス語満載ですよ。
おかげで、用語の意味を調べるのが大変です(笑)
ご参考までに。
そうですね。おフランスな楽器なのかもしれませんね。やはりその国に強い方面というのは、必然的にそっちに行くものですね。そういう普遍的な事情があるのに、やれ「アーベーツェー」だ「ドレミ」だという風潮がよくわかりませんね。多分歴史的な事情があってそうなってしまったのか、音名などは特にいいやすいものが選ばれたのか(そりゃフランス語音名用語はいちいち指示出すのたいへんでしょうからね)、その辺がよくわかりませんね。
No.2
- 回答日時:
フランス人の作曲家ってどんな人をご存知ですか。
ろくに思い浮かばないでしょ。でもドイツならいくらでも出てくるでしょ。それだけのこと。これが腑に落ちないならきっと、ド氏もラ氏も名前だけの存在なんでしょうな。音を聴いたこともないのでしょう。
へんてこな平等主義、相対主義に目くらましされてるのでしょうか、十九世紀の西欧世界における音楽的覇権はドイツにありました。わかりきったことなんですけどね。なぜって冒頭に申した争えぬ事実があるわけで。
腑に落ちないね。西欧作曲家の国籍はさまざま。自然になんとなくクラシック聞いてれば、大体の国は網羅するね。これで「自信あり」とはまたよくわからない。
No.1
- 回答日時:
”東京音楽学校”の成り立ちからドイツ語が重視される様になったと思います。
日本の”クラッシク音楽家”の当時の留学先は殆どがドイツですね。西洋音楽(クラッシク)即ちドイツ系音楽だったのではないでしょうか。外国人の教師も当初はドイツ人の人が多かったと思います。それで最初は声楽でもドイツ式渡渉する歌唱法が重視されたようです。
しかし、声楽でもイタリア式が取り入れられたのはかなり後のことのようです。
フランス音楽が日本に紹介されたのは、ドイツ音楽と比べたら相当遅くなってかれですし、一般的に聴くことの出来るクラッシク音楽は圧倒的にドイツ物の方が多いのでは。ただし、音楽用語はイタリア語ですよね。
イタリア語が使われるのは、昔ドイツ系の音楽家でも、手本は文化的に進んでいたイタリアの音楽作品を手本、基準としたのです。あのバッハでも、ヴィヴァルディーの作品の楽譜を苦労して手に入れ、勉強して、編曲したりて、尊重していたようです。モーツァルトもまたイタリアへ赴き、自分の演奏/勉強をしたのです。それで、イタリア語が音楽用語として広く使われているのではないでしょうか。
日本では、音階の読み方に、ドレミ、CDE(ツェー、デー、エー)、
ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、イ、ロ、ハ、とか いわゆるポピュラーだと
CDEの英語読み。と色々と有りますね。
やはりドイツの影響が大だったのですか。なぜまた明治の音楽輸入でドイツを押したんでしょうね。音楽の王国だったのでしょうか。西欧人も
イタリアに習うところもあって、しかしあまりフランスには興味がなかった?やはり音楽は本場でも強くなかったんでしょうか。それと、フランス語の音名ですけど、やたら言いにくいですよね。B♭マイナーとかえらく言うのがたいへんだったと思います。Si bemoll +短調のフランス語とかになってしまうからか。
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