A 回答 (4件)
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No.4
- 回答日時:
この問題は分厚い本を書けるほどの大きな問題なのですが、以下簡単に述べます。
1. 日本は、イギリス海軍をモデルにして海軍組織を作った。当時のイギリス海軍は、蒸気機関を積んだ軍艦が主流になった頃。
2. 帆船海軍の時代、イギリス海軍の構成員は、本来は
a) 士官(命令する側)
b) 下士官・水兵(命令される側)
c) 乗組文官(医者、牧師、主計官など。士官待遇が多い)
の3種類であった。
3. 帆船軍艦は上記の3つの人たちで動いたが、蒸気軍艦はエンジンを動かす専門家(エンジニア、後の機関科将校)がいないと動かない。イギリス海軍では、「エンジニア」を(C)の「乗組文官」に位置づけた。確か、イギリス海軍で「区分Cのエンジニア」が「区分Aの機関科将校」になったのは20世紀になってかなり経ってから。
「区分Aの士官は貴族出身者が大多数。エンジニアは平民出身者ばかり。平民あがりのエンジニアを貴族出身の士官を同じ扱いにするなど論外!」という、階級社会イギリスならではの理由があったようです。
4. 日本海軍はイギリス海軍を真似して組織を作ったので、海軍士官(区分A)を養成する海軍兵学寮(海軍兵学校に改称)は、兵科将校を養成するための学校であった。機関を担当し、機関兵を指揮するエンジニアは、最初はイギリスと同じく乗組文官の扱いであった。
ただし、日本ではイギリスのような「貴族と平民」の問題はないので、比較的早くエンジニアは「機関官という軍人(士官相当官)」になり、兵科将校と同様の階級呼称になり(例:少機関士を機関少尉に改称)、「機関官」から「機関将校」に改められたりして兵科将校との差が縮められていったが、ずっと兵科将校に認められて機関科将校に認められないもの(指揮権継承、大将昇進)が残った。「一系問題」といわれるもので、これが「一応」解消したのは日本海軍が消滅する数年前のことです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A3%AB%E5%AE%98
の「機関科」の項を参照。
5. 将校の養成についても、海軍兵学校(兵科将校)と海軍機関学校(機関科将校)で別々という形が、実質的には終戦まで続いた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E8%BB%8D% …
海軍機関学校は日本海軍が消滅する約1年前に海軍兵学校舞鶴分校と改称されましたが、実質は何も変わっていません。
6. アメリカ海軍では、19世紀以来、日本で言う兵科将校も機関科将校もアナポリスのNaval Academy (和訳は海軍兵学校)で一括教育し、卒業後に砲術科、航海科、水雷科、機関科などに分かれる。特にそれで問題は起きていない。
7. 戦後の海上自衛隊ではさすがに反省して、防衛大学校卒業後に海上自衛隊要員が海軍教育を受ける海上自衛隊幹部候補生学校では兵科・機関科などの区別はなく、卒業後に航海科、砲雷科、機関科などに分かれる。指揮権や昇進の区別ももちろんない。
No.3
- 回答日時:
機関学校はエンジニアを養成する学校です。
NO.1さんの>「もし、ある軍艦の艦長以下、上級士官が戦死するなどして全滅し、その艦に残っている士官が、任官したばかりの兵科少尉と機関長である機関科中佐だけになった場合、その艦の指揮は機関科中佐ではなく兵科少尉が執ります。」
につきましては、極端な例をあげられていますが、当然だと思いますね。艦の運用については航海術に通じた海兵出身の新米少尉の方が、機関長中佐よりマシということです(でも実際には勉強家の機関中佐であれば、長い乗艦経験から新米少尉より上手くやる可能性は充分にあります)。
これは旅客機のコックピットの乗員と同じようなことです。機長が急病で操縦できなくなったとき、新米であっても副操縦士が操縦します。ベテランの航空機関士が同乗していても無理ですね。
現在の官庁でも似たようなことがあります。技官が役人トップの次官になるのは難しいですね。
どの時代でも、どの世界でも出世には主流と傍流はつきものです。
海軍三校の中でも兵学校以外の機関学校、経理学校出身の士官は艦長にはなれませんでした。
戦前の海軍好きの軍国少年が一番なりたかったのは、戦艦や巡洋艦の艦長でしょう。これになるには同じ兵学校出身でも、航海科や砲術科を専攻したものが有利だったようです。
超エリートといえば海軍大学校でしょう。末は将官が約束されていました。陸軍大学校と並んで戦前戦後を通じ、最難関の学校でした。
確かに旧海軍(陸軍も同じ)では、学校=出世 ということでしたが、それでも学校を出ていなくても努力をすれば、限界はあるにせよ出世の道はありました。
海大を出なくても海軍大将になった人はいますし(日米開戦時の駐米大使野村吉三郎)、下士官から特務士官に昇進することも出来ました。
機関学校出身者はその性格上、艦長にはなれませんでしたが、最高位は中将までいけました。戦前の社会で中将閣下ともなれば目も眩む顕官です。席次では並みの県の知事より上位です。
まあ、出身学校によって出世の度合いが違い、不公平といえば不公平ですが、学校の性格と習得した知識技術から止むを得ないところもあります。機関科士官はそれを承知で機関学校へ入ったんだろうと思います。
No.2
- 回答日時:
私の父方の祖母の従兄が海軍兵学校のOBなので、調べてみましたが、
私の眼には旧制高専等を統合し、分校や学部が散ばる新制大学に併設される短大に似ている様に映りました。
それは(NO1さんの)>「(中略)指揮権を持っているのは兵科将校だけで、機関科を含むその他の科の将校には指揮権はありませんでした」との説明が"大卒なら学士で、短大卒だとそうならぬ、点とダブったからです。
尚、現総理の実母の伯父の佐藤市郎も海軍"兵"学校を主席で卒業している模様です。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E8%97%A4% …
後は質問者さんは既に見られたかも知れませんが、http://moijan0.hp.infoseek.co.jp/
http://www.asahi-net.or.jp/~un3k-mn/kaigun-s.htm
http://www.city.maizuru.kyoto.jp/contents/7d3412 …
等でも海軍機関学校に触れています。
いやぁなんというか、佐藤市郎氏の経歴には色んなことを思い巡らせました( ^ ^ ;)
弟の岸信介の評が面白いですね。「政治力は学校の成績に反比例する」というのは何か「銀河英雄伝説」を彷彿させます。「(士官学校を)首席で出てもバカが直らなかったのか」とか皇帝陛下がのたまっておりましたが( ^ ^ ;) 佐藤栄作首相時代に生まれた身には、三兄弟それぞれの個性が面白いです。
ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
海軍機関学校はもともと海軍士官学校の分寮として創設され、機関科将校を養成する学校でした。
海軍兵学校は兵科将校を養成する学校で、海軍士官として出世を望むのであれば必ず出なければならない学校でした。
海軍の兵科と機関科は士官としての待遇や指揮命令承継順位で歴然とした差がありました。基本的に軍艦なり部隊なりの指揮権を持っているのは兵科将校だけで、機関科を含むその他の科の将校には指揮権はありませんでした。
もし、ある軍艦の艦長以下、上級士官が戦死するなどして全滅し、その艦に残っている士官が、任官したばかりの兵科少尉と機関長である機関科中佐だけになった場合、その艦の指揮は機関科中佐ではなく兵科少尉が執ります。
また士官の階級の最高位である「大将」は兵科出身者しかなれず、その他の科は「中将」または「少将」どまりでした。それも正式な「将官」ではなく「相当官」という一段低い扱いを受けていました。
この兵科と機関科の待遇格差は明治以来、日本海軍の部内対立の火種になっていましたが、昭和19年になって、兵科と機関科の区別を撤廃することになり、制度上は「機関科大将」や「機関科艦長」「機関科司令官」の誕生が可能となりましたが、実際には終戦までそのような例はありませんでした。
>>昭和19年になって、兵科と機関科の区別を撤廃することになり、
昭和19年って、すでに遅い気満々ですね( ^ ^ ;)
んー、つまりいわゆる「司令官」になろうとしたらどうしても兵学校を出なくちゃいけなかったわけですね。入学試験は同一だった(らしい)のにえらい不公平ですねぇ( ^ ^ ;)
世間一般でも立身出世が今よりもうんと重い意味を持っていた時代ですから、なおさらですよね。
ありがとうございました。
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