No.2ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
重心位置の問題は結構難しく、ましてや「許容範囲」は操縦・機動・運行まで含めた広い分析が必要ですのでかなり高度な設問と言えるでしょう。質問者さんの期待されているレベルがわからないのですがいささか単純化して、次のような説明ではいかがでしょう。
ポイントは、「水平尾翼の迎え角が失速限界になるまでが許容範囲」
主翼の揚力中心と機体重心が合致していれば安定して飛行できますね。校庭の鉄棒の上でおへそを鉄棒に乗せて体を伸ばしてバランスしている状態のように体の重心と支えの位置が合致していれば、いわば、「尾翼は必要ない」状態ですね。
ここで、機体重心が後ろに移ったら、誰かに足(機体のしっぽ)を持ち上げてもらう必要がありますが、これは尾翼の「揚力」に期待することになります。尾翼全体をねじっても良し、後ろ半分(エレベータ。昇降舵)を曲げても良し。とりあえず、尾翼全体を上向きにねじった(迎え角を大きくした)姿を想像すると、揚力を得た尾翼が「しっぽ」を支えてくれますが・・・・
ここでのポイントは、「重心のずれ(機体を尻下がりにしようとするモーメント)は、速度に関係なく一定だが、尾翼の揚力は速度が下がるほど少なくなってしまう」こと、また、「迎え角を大きくしすぎると気流が乱れて揚力を失う(失速)が起きる」ことですね。(速度を下げると主翼の揚力も減るが、高度が下がるものの姿勢には影響しない)
・・・で、結局、重心位置の後方許容範囲(どのくらい後ろでも良いか)の限界は、「(最も速度を下げる必要のある)着陸時の速度で尾翼迎え角を尾翼が失速しない限界まで大きくしたときに尾翼の揚力で水平を保てる位置」までと言えます。
これは、重心が前方にずれた場合でも同様ですが、実際には操舵のための余力や操舵時の追従性(反応時間)などに安全率を考慮する必要があるほか、競争の激しい民間機では巡航速度で常に舵を切っているための燃費の悪化さえも「重心位置の限界」に考慮されることもあるので、なかなか難しいようで。
さて、先尾翼(カナード)機の考え方も難しいところですね。基本的な考え方(物理モデル)は尾翼式とさほど変わらない回答になるでしょうが、次のような考え方もできますね。
多分ご存じでしょうが、先尾翼機は、機首が上がると先尾翼の迎え角が大きくなりさらに機首が上がってしまう特徴があり(負の復元力。復元しない)、機首が上がる(機尾が下がる)と尾翼の迎え角が大きくなって機尾を上げる方向に自動調整してくれる(正の復元力)尾翼式航空機に比べて一般的には扱いにくいでしょう。ただし、こと「重心位置の許容限界」で考えると、先尾翼式にも良い点があります。
普通の尾翼式が後方重心一杯(尾翼迎え角が失速限界)で飛行していたとき、何かの理由で機首が上がる(尾翼の迎え角がさらに上がる)と、尾翼が失速して揚力を失い、機首がもっと上を向いて操縦が破綻してしまいます。
一方で先尾翼式では、前方重心一杯(先尾翼の迎え角一杯)で飛行中に機首が上がると、先尾翼の迎え角が大きくなって失速し、機首が下がってくれます。で、「先尾翼機のほうが重心位置の許容範囲は(ちょっと)広い・・・かも」
ただし、実際には、機首が下がると先尾翼の揚力が低下してもっと機首が下がってしまう特性の中で、先尾翼が迎え角一杯でなければ水平が保てないような状況であれば、「常に先尾翼を失速限界ぎりぎりに保つ操舵」を要求されるので、有人機でコンピュータの助けを借りずにそんな運用をすることは想定しにくいのが実情でしょう。
さてさて、いかがでしょうか。
状況は複雑で、一概には言えない要素がたくさんありますが、取りかかりの議論としてお役に立てれば幸いです。
No.1
- 回答日時:
重心は、揚力の中心だと思います。
主翼の揚力(上向き)、尾翼の揚力(普通の形の飛行機では下向き)と機体にかかる重力(重心位置)で、力とモーメントが釣り合う位置でしょう。主翼や尾翼の揚力の中心は、翼形の資料でも見ないと正確にはわからないかもしれません。先尾翼機と普通の機体との比較は、機体が、前後に傾いたときに、復元力がどのように働くかを調べると、よいと思います。普通の機体の場合は、たとえば、機体が下向方向に傾くと、前進速度が増し、主翼の揚力が増え、尾翼の下向きの揚力も増え、機体を上向きにしようとする、モーメントが発生するので、復元力があり、安定していると思いますが、先尾翼機では、主翼も先翼も、上向き揚力のため、主翼の迎え角によっては、そうはならないので、安定性は比較的によくない、と思います。
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