No.2ベストアンサー
- 回答日時:
松坂が明言しない理由はいくつかあるのでしょうが、
そのうちのひとつは「ジャイロボールの定義が不明確」ということです。
なぜかと言うと、ジャイロの発見者2名がそれぞれ異なった解釈をしているからです。
順を追って説明します。
まず、普通のストレートはバックスピンのかかったボールです。バックスピンですから回転軸は横ですね。(横向きの棒にボールを刺しているイメージ)
これに対してジャイロボールは回転軸が進行方向に向いています。(スクリュー回転をイメージして下さい)
そしてジャイロ回転しているボールは、「(4シームの場合)空気抵抗が少なくなる」という実験結果が出ています。
ここからさらにややこしくなります。
普通のストレートはバックスピンの影響で、「やや上向き」の力が与えられます。ボールが「伸びる(ホップする)」というのはこの為です。
もちろん本当にホップするわけではなく、通常よりも落ちにくくなるという程度。ストレートは全てバックスピンなので、多かれ少なかれこの影響が見られます。つまり物理的には「ストレートは変化球の一種」とも言える訳です。
これに対してジャイロはバックスピンではない為に、ストレートに比べるとボールが落ちやすいと言えます。しかも空気抵抗が少ないので初速(ピッチャーの手を離れた瞬間の速度)と終速(キャッチャーミットに収まる瞬間の速度)の差が少なく、同じ初速で投げた場合にはストレートより早く到着します。
これが魔球と呼ばれるゆえんです。ほんの0.何秒かの差なんですが、距離にすると80cm近い差が生まれるわけで、バッターにしてみればやっかいきわまりない。チェンジアップとも違って、投げた瞬間にはストレートと同じ速度なので見分けがつかないわけです。
さらに2シームジャイロ(4シームや2シームは握り方で変わる縫い目のこと)の場合には逆に「空気抵抗が増える」ので、予想より遅い球になってしまいます。
さてようやく本題。上記のジャイロの特徴は回転軸が進行方向に向いている事。でも、当然ながらこれはバリエーションが可能で、回転軸をわずかにずらす事でもっと複雑な変化が生まれます。
そしてそのバリエーションのうちのひとつを松坂が投げている(大きく縦に割れるスライダー)と言われているのです。発見者のひとり手塚氏は、似ている事は認めながらも彼の定義からすると少し違うと発言し、もうひとりの発見者姫野氏は、ジャイロの一種であると発言しています。
つまり、両者とも認識自体は近いのだけれど、定義が違うのでジャイロだと言ったり違うと言ったりしているわけです。
※別に両者で論議しているというほどではありませんが
というわけで、松坂版ジャイロはもちろん日本でも使っていた縦のスライダーです。日本人からすると「何を今更」なのですが、ジャイロという概念がメジャーでは面白いらしく、結構大きな騒動になっています。
この回答へのお礼
お礼日時:2007/02/25 21:31
ありがとうございます。
大塚投手が得意の縦のスライダーの事をジャイロと
言っていたのですね。
縦のスライダーの事をジャイロだと分かっているのなら、
早く教えればよいのにと思います。
(騒動が大きくなって、期待が大きくなる前に。)
No.6
- 回答日時:
#5の回答者です。
誤記訂正及び補足をします。(誤)
<しかし、この手首の使い方で手首は右方向にひねって、ボールは左回
<転をさせるように投げてみたらわかると思いますが、どこに行くかわ
<かりません。
(正)
しかし、この手首の使い方で手首を左方向(反時計)にひねって、ボールは右回転をさせるように投げてみたらわかると思いますが、どこに行くかわかりません。
つまり、ボールを右側を持って、手首を反時計にひねってボールの右側をこするように右回転をかけます(タイヤのバッティングマシーンの要領です)
No.5
- 回答日時:
恐らく他に投げる投手はいないのではないでしょうか。
数年前テレビで松坂の投球を特集した番組を見たことがあります。
そこでもジャイロ回転が取り上げられてました。
松坂は3種類のスライダーを投げるそうで、その中の右打者の外角に落ちるスライダーがジャイロ回転しているとのことです。この回転をかけるために手首をカーブを投げる時のように時計周りにひねらず、シュートを投げるときのように反時計周りにひねっています。このひねり方は最も早く手首を振ることができる方法で、野球の投球の他、テニスのサーブのときにも利用されています。しかし、この手首の使い方で手首は右方向にひねって、ボールは左回転をさせるように投げてみたらわかると思いますが、どこに行くかわかりません。思い通りに投げるのは至難の業です。それ故、投げる投手が少ないと思います。
また、松坂の調子を見るバロメータにもなります。このボールがはっきりとボールになれば、バッターはスライダーとわかった瞬間、全て見逃し、まっすぐだけを狙い撃ちできます。野茂攻略と同じパターンです。スライダーが決まれば150kmの直球とのコンビネーションは非常に脅威です。それがイチローが初対決のとき、「松坂はスライダーに特徴のある投手」と言った理由でしょう。
No.4
- 回答日時:
結構話題になっているけども、プロ投手がそれほど興味を示さないのは効果的な球ではないからです。
昔のフォークボール、SFFやチェンジアップのように効率良く空振りの取れる球ではないから。松坂投手も言っていますが「ジャイロ回転するボールはたまにある」というだけで、それはスライダーです。理論でいう鉄砲玉のような回転で落差の少ない速い球はなかなか打てないでしょうが、不可能に近いです。No.3
- 回答日時:
少々補足。
何故か大塚投手の名が挙がっていますが、発見者の手塚氏と姫野氏は両方とも選手ではなく研究者です。
そして松坂のスライダーがジャイロの一種だと発言しているのは姫野氏の方。
一方の松坂自身は、今回の騒動では特に肯定も否定もしていませんが、実は数年前のインタビューで「ジャイロボールを投げられるか?」の問いに「意識しては投げられない」という旨の発言をしています。
つまり、彼はあくまでスライダーのつもりで投げているのであって、ジャイロはたまたまらしいのです。同じスライダーのつもりが偶然ジャイロ回転をする時がある、と。
多分、松坂のスライダーはそもそもジャイロの一種なのでしょう。それが時として「失敗して」純正ジャイロ=ジャイロストレートになることがある、という発言に聞こえます。
ジャイロがここまで騒動になっているのは、半分はわざとだと思われます。魔球の解明というネタは面白いですからね。
また、ジャイロという考え方自体が新しい視点なので、ジャイロと思わずに投げている投手も結構いるし、打者もジャイロが何なのかよく分かっていない為に証言が一定しない。結果としてジャイロの正体がよく分からないものになってしまうわけです。
先の手塚氏と姫野氏の話に戻りますが、手塚氏は「ジャイロは変化しない」と発言しています。手塚氏の定義では、ジャイロは純正ジャイロ=ストレートこそ本来の持ち味であり、初速と終速の差が生み出す錯覚が魔球の鍵だと言う訳です。一方姫野氏はジャイロ回転する(ジャイロ効果が見られる)ボールは全てジャイロの一種であり、変化もするという立場。
メジャー関係者の立場はこれまで姫野氏に近く、ジャイロは変化球であると考えられてきました。それが実はストレートもあるらしいという事になって、ではジャイロとは何なのか?にスポットが当たっているんですね。
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