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アクリル樹脂を硬化させると、しばしば樹脂液中に発泡が見られる場合がありますが、この気体はどこから生じているんでしょうか?

樹脂液中に溶存していた酸素がでてきているのでしょうか?樹脂液が沸点に達したからでしょうか?

どなたか教えてください。

A 回答 (3件)

用いている開始剤等にもよりますが、以下の可能性が考えられます。



1)開始剤の分解ガス
 アゾ系開始剤は分解すると窒素ガスが発生します。硬化中に
粘度が増加し、発生したガスが出にくくなり、そのまま気泡と
なります。過酸化物系でも、パーオキシエステルなどは、
分解すると炭酸ガスがでたりするので、分解生成物で気体が
発生しにくい構造を選択するのが重要です。
 硬化樹脂に付属している硬化剤を用いていればそれほど問題は
ないはずですが、それでも少量は分解ガスが発生してしまうので
ゆっくり硬化させて泡を追い出しながら固めればいけると思います。

2)容存していた気体が発生した
 
 書かれている内容の通りです。この場合、超音波+真空脱気などを
すれば改善できます。アクリル系は酸素が少量のこっているだけで
光過不足になるので、その点からもきっちりやる必要があります。

3)硬化温度が高すぎた
 
 反応性希釈剤の沸点の問題もありますが、温度が高いと反応が
一気に進行し粘度が急激に上昇する結果、発生ガスを樹脂外に
追い出せないまま硬化することもあります。
 
 一度しっかりと脱気した上で、ゆっくりと固めるように、やや
温度を低めにしてやれば解決できるかと思いますよ
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この回答へのお礼

わかりやすく説明していただきありがとうございます!
発泡といっても複数の原因によって硬化中に気体が発生しているのですね。

自分は過酸化ベンゾイルによる硬化剤を使用しています。

実験により発泡し始める温度を調べてみようとしたのですが、同じ過酸化ベンゾイルを含んだ硬化剤でもその種類(粉末状orペースト状、メーカー)によって違いが生じました。

ペースト状か粉状かは樹脂液に混ぜる際の攪拌時間の差にもつながるので、(2)の溶存気体の問題に大きく影響しそうですね。

あとは、硬化剤に含まれる添加物?なども発泡温度に影響を与えるのでしょうか?

もし、この点についてアドバイスしていただける方がいらっしゃいましたらご教授下さい。よろしくお願いします。

お礼日時:2007/07/04 23:43

1です。



おっしゃるように、その温度で沸騰する物質としたら、メタクリル酸メチルと水だと思います。減圧化であればなおさらですし、発生した気泡は、更に減圧によって大きくなりますので。
 
 減圧でやっているとのことですが、出来れば撹拌後に静置し、一度減圧して容存する気体を除去し、加熱硬化する時には、あまり減圧にしないという手法のほうが良いかな?っと思います。

 あと温度については、生産性との絡みもありますので、なかなか難しい問題だとは思いますが、一例として、最初は低めの温度で硬化させ、ある程度粘度が上がってきたら、少し温度を上げて硬化させるというのも効果的です。これは、メタクリル酸メチルが重合し、相対的にメタクリル酸メチル中の樹脂成分の含有量が増える結果、沸点上昇が起こり、沸騰しにくくなるからです。

 最後に、製造で使用されているとのことですので、一度是非、アクリル樹脂を製造しているメーカーか、購入元の商社などに、発泡で困っている旨相談してみるのをお勧めします。製造メーカーでは、硬化物作成の知見が膨大にあるので、suzuken19さんが行っている内容を伝えれば、具体的な処方について私以上のアドバイスを頂けるかと思います。
 私は材料メーカーに勤めていますが、例え化学的な知識がなくても、分かりやすく教えてくれると思いますよ。

 早く問題解決できて、自分の技を磨けるといいですね(^^)
 
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この回答へのお礼

せっかくご回答いただいたのに返信が遅くなりましてすみません。

疑問に感じていた点を全て詳細に回答していただき本当にありがとうございます。(直接お礼を言えないのが心苦しく感じます)

発泡といっても複数の要因が考えられるので、それぞれを切り分けして個別に対応策を考える必要がありますね。
硬化剤の投入量や温度管理についてメーカーに相談するなどもう少し調査を続けてみたいと思います。
koji59さんにいろいろ教えていただいたおかげでどういう事を調べるべきなのかわかったような気がします。

非常に丁寧な回答をありがとうございました。
今回教えていただいた知識を様々な場面に活用させていただきたいと思います。

お礼日時:2007/07/10 09:08

1です。



BPOの種類で異なったということですが、BPOのペーストは
基本的に水に分散していますし、粉末でも水を多少含ませています。
よくある粉末だと25%ぐらい水が含まれてるんじゃなかったかな?
この辺はうらおぼえですが・・。
(絶乾品は容易に爆発しますので、安全上、必ず含ませてます)

 ですので、硬化剤の配合量ではなく、含有されているBPOの量を加味した上で配合する必要がありますが、その点は大丈夫ですか?

 あと、『泡』の件ですが、もしその『泡』が極めて小さく、硬化物が薄く濁っているような場合、硬化剤に含まれた水によるヘイズの可能性もありますので、その点もご考慮ください。

 ちなみに温度はどれくらいで硬化させてますか?

BPOを硬化剤にした場合、10時間半減期温度が70℃強ですが、アクリルは重合速度が速く、重合発熱もでかいので、実温度が予想以上に高くなる可能性もあります。その点も注意したほうがいいですよ。
 
 レスをみた感じ、撹拌時の空気の巻き込みが一番の原因っぽいんで、まずはしっかりと脱気してみてください。硬化剤によって撹拌時間が異なる旨の内容が書かれていましたが、そのまま固めると容存酸素量が異なるため、同じBPO配合量であっても、硬化時間などが変わると思います。アクリルは酸素による重合阻害を受けやすく、また酸素そのものを溶解しやすい物質ですので、このあたりは非常に重要ですよ。
 
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この回答へのお礼

たびたびのご回答ありがとうございます。非常に参考になります。

自分は義肢・装具の製作に従事する者で、アクリル樹脂は義足のソケットと呼ばれる切断端収納部分を製作する際などに利用しています。
業界としてアクリル樹脂を利用するようになってからは長くたつのですが、作業者の経験的な勘に頼った利用が大きく科学的な考察があまり行われていないという現状にあります。私はそこに疑問を感じていろいろ調査を始めたのですが、化学を専門にしたことがないもので…

頂いているアドバイスは非常に参考になるものばかりでありがたい限りです。

硬化剤は「樹脂液に対し2~5%を入れる」と先輩作業者には教わってきました。
しかし、これはBPOの配合率について考慮されたものではないですし、計測方法も非常にアバウトです。
(利用している硬化剤はBPO40%~50%のペースト、あるいは30%の粉体でした。)

私は樹脂液温度の計測実験を行いました。(PVAフィルムを一枚隔てた状態でサーミスタセンサをとりつけて計測)
樹脂液に対し硬化剤2%混ぜて硬化させる試験を、40%ペーストと30%粉体の場合で行ったところどちらも110度くらいまで上昇していました。
発泡はペースト状のものが80度くらいから、粉状のものでは105度くらいからみられました。(攪拌時間は同じになるようにしたのですが…)
(ご回答を参考にする限り、この硬化温度はどうやら高すぎるようですね。)

前回のご回答の3番目に「硬化温度が高いことによって沸点に達してガスが発生」という内容があったので、自分でも調べてみたのですが、実験で計測された80~100度という温度で沸点に達するものはメタクリル酸メチルそのものと水あたりでしょうか?(吸引による陰圧をかけた状態で成型しているので、どちらも沸点は大気圧下より下がっていると思います。)

またご指摘の攪拌時の酸素に対してあまり注意を払っていませんでした。(私自身も)
硬化剤を投入してから誘導期に入るまでの時間、誘導期の長さにばらつきが出るのは溶存酸素が原因だったのですね…。

やはり我々の作業はアバウトすぎるようですね。
硬化剤の配合をより慎重に行うこと、脱気を十分に行うこと、より低温下で硬化させることを業界全体に伝える必要がありそうです^^;

もし、引き続きアドバイスがあるようでしたらご教授よろしくお願いします。

お礼日時:2007/07/06 01:42

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