No.1ベストアンサー
- 回答日時:
ちょっとGoogleから調べただけですが、挙げられている松尾芭蕉の「物いへば唇寒し穐の風」(旧字体)の解釈は三通りあるようです。
口語訳はほとんどそのままで「なにか言うと、秋の風で唇が寒いことだよ」ではないでしょうか。
これにどうも句集での前書きで「座右之銘 人の短をいふ事なかれ、己が長をとく事なかれ」というのが編者によって付けられたらしく、句そのものもこの意味に取られるようになったようです。つまり何か人の長所短所をあげつらって話すとなんだか虚しい気がするよ、と言った風でしょうか。
しかしさらにここから転じて「その場の雰囲気に反した物言いをして、周りから白い眼で見られてわびしい思いをする様子」を歌った句と見る向きもあるようです。これが通解となっているようです(現代風にいうと「空気読めない」状態を自覚して辛い様子でしょうか)。
ですが、どうもそうした教訓めいた話は芭蕉らしくないと考え、純粋に秋の寒さにはっとしている様子(つまり口語訳そのままの驚き)を歌った句と見る人もいるようです。
以上、ご参考まで。
参考:
< http://weeklyregister.blog3.fc2.com/blog-entry-4 … >
< http://www.ese.yamanashi.ac.jp/~itoyo/basho/haik … >
No.2
- 回答日時:
先生は通説に基づいて話されたと思いますので、No.1さんの回答にある通りに理解すればよいでしょう。
実際の芭蕉の読み心は教訓じみた句でもなければ、他人に対して読んだ句でもなく、秋の情景に対する自然な感想と(敢えて警句的な解釈をするとしても)自戒あるいは独言として理解すべきものです。
『蕉翁句集』によれば、この句は元禄四年作だそうです。
元禄四年には、もうひとつ秋風を詠んだ句があって、
秋風や 桐に動いて つたの霜
秋の終わり、季節の移り行きのはやさ、を描写したしんみりとした句でいかにも芭蕉らしいものです。
この前後の句をみても、身辺の静かな侘しい情景を詠んだ句が多く、
教訓じみた句や極端に観念的な句などはありません。
以上のような元禄四年頃の芭蕉の作風をみますと、この句を通説のように解釈するのは「行き過ぎ」だと感じます。(弟子達の過剰読み込み?)素直に文字通り受け取ればよいのではないでしょうか。
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