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よく雑草が茂った空地で木が生えているのを見かけますが、殆どがハゼノキです。非常に生命力が強いと言った印象があります。
ハゼノキは他の樹木と比較して種子から発芽しやすいのでしょうか。
日本では草地から森林に移る際に必ず通る経路なのでしょうか。
やはり最終的には他の樹木に淘汰されてしまうのでしょうか。

A 回答 (5件)

草原から森林へ至る植生遷移において、当然ですが、種子の供給元があり、それを運んでくる手段が必要です。

これら考えると、風散布の種子の方が確実(風はどこでもたいがいありますが、鳥はいるとは限りません)ですよね。ですから、通常、パイオニア種はマツやカツラなど風散布の植物のことをいいます。
そのあとの段階で、鳥散布の陽樹が出てきます。鳥散布の場合、行動範囲に沿って散布されます。ですから、親植物に似た環境のところに散布される確率が高いです。この辺りも、なんでもかんでも生えれば勝ちというパイオニアとはちょっと違った戦略ですよね。大規模な撹乱を受けた草原から樹林の遷移ではなく、森林の周縁や林内のギャップに適応した戦略です。

いわゆる空き地は、そのような環境に当たります。鳥が飛び交える程度に隙間があり、休むための止り木(電線等)にもこと欠きません。ですから、鳥散布の樹木がけっこう生えてきます。

ちなみに、ハゼノキは江戸時代に琉球から蝋を取るために持ち込まれた外来種です。在来種である同属のヤマウルシ、ヤマハゼは、自然林においては大きな群落ではなく、日当りのよいところに点在しています。これを見ても、この仲間が遷移上重要なポジションではなく、極相林の中に適応していることがわかると思います。
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この回答へのお礼

有難うございました。非常に深い洞察感心します。
鳥散布の陽樹とパイオニアの違いについて理解出来ました。つまり、周辺環境によって最初に生えてくるものが違うと言うことですね。ところで、新たな疑問を持ってしまったのですが、ハゼノキの仲間が遷移上重要なポジションにはないとのことですが、例えば人里周辺の荒地や放棄田からの自然回復の過程で陽樹は必ずしも必要ないということでしょうか。

お礼日時:2007/09/01 09:27

再度補足です。



雑木林や小規模かく乱地のように、メインの遷移系列でないところ(人の手入れも含む)で成立した林を二次林、例えば若草山のように火入れによって維持している草原を二次草原といいます。
外来植物が問題となるのは、極相林より二次草原、二次林の方が多くなります。

ちなみに、ハゼノキの仲間である外来種ナンキンハゼは、若草山で分布が拡大しています。ウルシの類は、草食動物の捕食忌避性があるので、シカにも食べられないんですよね。

もう一つついでに、外来生物対策先進国ではハゼノキ属 Rhus は侵略性を持つ分類群として認識されています。
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ANo.2です。



草原から極相林に至る遷移は、ある程度の規模以上のかく乱地に当てはまります。火山の噴火や大規模な地すべりなどです。しかし、小規模なかく乱においては、周辺の植生からの種子供給があるので、遷移のメインストリームとは違った(ある意味では、端折った)ものとなります。

人里周辺の荒地や放棄田からの自然回復の過程は、周辺に何が生育しているかに左右されます。ハゼノキは栽培植物としての側面もありますから、農家跡地からモウソウチクが里山に繁茂拡大するのと同じように、かなり偏向した遷移だと考えるべきではないでしょうか。
現在問題となっている外来種ハリエンジュ(ニセアカシア)の分布拡大も、同様な視点から捉えるべきで、これはその種の持つ分布拡大戦略であって、日本の本来の植生遷移ではありません。前にも書いたように、ハゼノキは外来種です。

「植生が増える」=「自然回復」ではありません。
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この回答へのお礼

更なる回答有難うございます。
確かに全体から見ればハゼノキ等の陽樹は小規模なかく乱場所においては遷移の過程を担っているようですが、見方を変えてハゼノキの立場からすれば分布拡大に都合の良い環境と言うことになります。
現在問題となっている外来種の一種であるようで、私が別の質問をしているモウソウチクの問題とも似通ったところがあるような気がします。
いわゆる一次遷移が本来の植生遷移とするならば、空地が森林に変化するのは二次遷移と言う表現が適当なのでしょうね。
外来種の問題は議論が尽きないところでしょうが、人間の活動範囲が国際的になってくると必然的に起こる問題であると思います。最終的には在来種と外来種が調和し、最終的にどこかのレベルで収束へ向かえば問題はないのでしょうが、発散し続けるのであれば問題でしょう。私個人としては在来種のみの自然よりも外来種と調和した姿が行き着くべきところではないかと思います。(人種のるつぼの様に)

今回回答して頂いた方々、本当に有難うございました。生物系に関しては全くの素人なのですが、良く判り易く説明して頂きましたし、この機会に陽樹を始め色々な用語も覚えることが出来ました。

お礼日時:2007/09/02 00:58

植生調査のデータを探していたのですが,Wikipedia以外が見当たりません。



http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%9C%E5%B3%B6
「昭和溶岩の植生は地衣類やセンタイ類で始まり、噴火後30年を経てイタドリやススキ、タマシダ、クロマツが生え始め、噴火後45年を経るとハゼノキやノリウツギも見られるようになった。」

鳥散布と風散布がどの程度散布力の違いを持っているかわかりませんが,ハゼノキについて林外から種子が持ち込まれたことを示す報告があります。

http://www.niaes.affrc.go.jp/inventry/trial/inve …

マント群落やギャップを構成する種として重要だという#2さんの指摘は
その通りだと思います。
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この回答へのお礼

有難うございます。URLの桜島の例からするとやはり最初に生えてくるのはクロマツ等のパイオニア種みたいですね。
ハゼノキはその後に鳥が住めるような環境になってから種子が持ち込まれたのかも知れません。
それから本日家の近くの山を見たのですが、ハゼノキが林の際に生えていました。丁度生えていた箇所はかつて通路があった箇所で今では完全に人が通らなくなったところです。これからするとマント群落と言うことでしょうか。

お礼日時:2007/09/02 00:27

荒地が草原を経て森林に変化していくことを遷移(せんい)と呼びます。

草原に最初に生える樹木は、強い光を受けてどんどん成長する「陽樹」と呼ばれる植物です。ハゼノキは陽樹で、鳥が果実を食べて種子をあちこちにばら撒くため、最初に生えやすいのだろうと思います。

陽樹が茂り薄暗い林になると、もう陽樹は成長できなくなり、弱い光でも生きていける陰樹の森林になります。

草原に最初に生える植物として、ほかにアカメガシワなども有名です。http://www.ne.jp/asahi/osaka/100ju/Akamegashiwa. …

参考URL:http://219.99.65.131/shizen/shajirin/shajirin/13 …
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この回答へのお礼

有難うございます。大変参考になりました。陽樹について初めて知りました。ハゼノキは自然の回復の初期段階と言うことですね。
参考URLの須磨の森について、原生林と微妙に違うことが判り驚きです。

お礼日時:2007/09/01 09:09

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