No.3ベストアンサー
- 回答日時:
> 正八面体構造は、どのようにしてできるのでしょうか?
配位子の数は、大雑把には、金属イオンの大きさで決まると考えて下さい。金属イオンの正電荷に配位子の非共有電子対が引きつけられてクーロン力でイオンが安定化するのですから、それだけを考えれば配位子の数が多いほどイオンが安定化するのですけど、金属イオンの回りに配位子が集まりすぎると配位子間の反発が大きくなりますので、配位子の数には最適値があります。3d遷移金属イオンの場合には、それが6になるということです。6個の配位子の間の反発を最も少なくする形が正八面体構造です。
配位子場理論を使うと、もう少し精密な議論もできるのでしょうけど、「『なぜ』正八面体構造になるのか?」を配位子場理論に基づいて簡単に説明するのは、私には無理でした。ごめんなさい。
#「『なぜ』メタンは正四面体構造になるのか?」を分子軌道法に基づいて説明するのが難しいのと、同じ理由です。
大変よくわかりました。ありがとうございました。私は配結晶場理論と原子価結合理論が統一された理論だと勘違いしていましたが、全く別な理論だったようです。錯イオンというものを別部な観点から見た理論だったのですね。
No.2
- 回答日時:
> 6個の配位子の6個の非共有電子対は、どこに入るのでしょうか?
非共有電子対がもともと入っていた配位子の6個の軌道に、そのまま入ってます。
というのが結晶場理論の考え方です。
配位子場理論では、もう少し精密化して、非共有電子対がもともと入っていた配位子の6個の軌道が、鉄の3d軌道2個と4s軌道1個と4p軌道3個と相互作用して、もともとの水分子の軌道からちょっとだけ変化する、と考えます。6個の非共有電子対は、このちょっとだけ変化した軌道に入ります。鉄の軌道も、この相互作用の結果、ちょっとだけ変化しますけど、4s軌道1個と4p軌道3個に対応する軌道は空のままです。
このちょっとだけ変化した鉄の軌道が、混成軌道「ではない」ことにご注意ください。詳しい計算によると、3d遷移金属イオンの3d軌道と4s,4p軌道のエネルギー差は、予想されていた以上に大きくて、d2sp3混成は事実上おこらないそうです。
この回答への補足
ご回答ありがとうございます。まだわからないことがあります。
> このちょっとだけ変化した鉄の軌道が、混成軌道「ではない」ことにご注意ください。
だとすると、正八面体構造は、どのようにしてできるのでしょうか?
ご回答ありがとうございます。まだわからないことがあります。
> このちょっとだけ変化した鉄の軌道が、混成軌道「ではない」ことにご注意ください。
だとすると、正八面体構造は、どのようにしてできるのでしょうか?
No.1
- 回答日時:
> どこに間違いがあるかわかりません。
「d2sp3混成軌道によりFe(II)イオンの色が説明できる」という前提が間違ってます。Fe(II)イオンの色を説明するには、配位子場理論(または結晶場理論)が必要です。
以下、配位子場理論に基づいて説明します。
配位子が配位する前のFe(II)イオンの電子配置は
3d(‥,・,・,・,・) ..... 裸のFe2+ の基底状態
となっています。6個の配位子(水分子)が結合した場合、配位子がつくる配位子場によって、3d軌道がt2g軌道とeg軌道に分裂します。
t2g(‥,・,・) eg(・,・) ..... [Fe(H2O)6]2+ の基底状態
これを配位子場分裂といいます。この電子配置ですと可視光を吸収して
t2g(・,・,・) eg(‥,・) ..... [Fe(H2O)6]2+ の励起状態
に遷移することができます。
なお6個の配位子が、シアン化物イオンのように強い配位子場をつくる配位子の時には、
t2g(‥,‥,‥) eg(空,空) ..... [Fe(CN)6]4- の基底状態
のような電子配置になります。じつはこの場合ですと、混成軌道の考え方をつかっても錯イオンの色の説明ができます。できるのですが、決して分かりやすいものではないですし、現在の主流の考え方でもありませんので割愛させてください。
ご回答ありがとうございました。しかし、まだよくわからないところがあります。
> t2g(・,・,・) eg(‥,・) ..... [Fe(H2O)6]2+ の励起状態に遷移することができます。
その場合、6個の配位子の6個の非共有電子対は、どこに入るのでしょうか?
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