冷却CCDカメラのオフセットって?

冷却CCDカメラのオフセットって何ですか？また、何のためにあるのでしょうか？

No.1 ベストアンサー 回答者： geneticist12 回答日時： 2007/09/19 11:21

「オフセット」はいろいろな場面で使われる用語ですが、一般的な意味は辞書で確認してください。

簡単に言うと、ある基準点を定めて、その差分をとる場合の基準点のことです。

冷却CCDの場合、CCDから出力される信号の強度に対してある基準値を定めて、それ以下の信号は無いもの、つまり0とし、それを越えた信号だけを有効として、基準値との差分を強度の値とするとしたとき、その基準値がオフセットです。

たとえば、出力される信号の強度が0から100まであるとしましょう。オフセットを10とすると、10以下信号は0、信号が20だとたら値は10、
50だとしたら40という具合です。

なんのために、こういうことをするかというと、信号にはノイズがつきものなのでノイズをカットするためです。ノイズのレベルが多くても10だとすれば、オフセットを10にしておけば、ノイズを除いて真の信号だけを相手にすることができます。

冷却CCDの場合、ノイズとはどういうものかというと、例えば暗電流で、これは光が当たっていないのに信号が発せられる現象です（これを極力抑えるために冷却するわけですが）。

私は、特異的核酸を相補鎖の核酸プローブで検出するとか、特異的タンパク質を特異的抗体で検出するとかの目的で冷却CCDをよく使います。
ところが、プローブや抗体は特異的な標的に強く結合するだけでなく、試料全体にごく微量に吸着するので、バックグランドを生じます。バックグランドから信号をカットし特異的信号だけをみるためにも、オフセットを利用します。

この回答への補足

回答ありがとうございます。私もタンパク質を抗体で検出する目的で冷却CCDを用いています。
私の使っているシステムでは、出力される信号の強度が0から100までとすると、信号がないはずなのに(背景光も、もちろんありません)、デフォルトで常に値が10あります。これは、基準値との差分が10あるということでよいのでしょうか？また、何故デフォルトで0ではなく10上乗せしてあるのか、教えていただけないでしょうか？

補足日時：2007/09/20 19:14

No.3 回答者： geneticist12 回答日時： 2007/09/20 21:00

>また、何故デフォルトで0ではなく10上乗せしてあるのか、教えていただけないでしょうか？

今のあなたの実験系ではノイズが非常に低くシグナルが強いから不必要だと思われるのかもしれませんが、いついかなるときもそうであるとは限りません。


たとえば、ウェスタンだとパーオキシダーゼ/ルミノール系が多いですが、これは強い発光を出す一方、短時間で寿命が尽きます。このような場合だと短い露光時間で撮るので、ノイズも相対的に小さいです。
しかし、アルカリフォスファターゼ/CDP-Starなどの系では、発光強度はルミノールより低いですが発光寿命が長いので、長時間露光することによってルミノール系を越える感度が得られます。しかし、露光時間をのばすと、暗電流ノイズや試料からのバックグランドの発光も累積していきますので、どうしてもバックグラウンドノイズが高くなります。ですから、オフセットでノイズをカットしてやったほうが良好な画像が得られることが多いです。

設計者としては、オフセットを10とってそれ以下をノイズとしてカットしておけば、ユーザーが調節をしなくても大部分の実験でそこそこ良い画像が撮れるだろうというと考えているのだと思います。みんながみんな、装置の操作に精通していて、状況に応じて自分で調節できるとは限りませんから。

もちろん、そこのところを良く理解して、状況に応じて自分で調節ができるなら、より情報量が多くS/Nの高い画像を撮ることがでるでしょう。あなたの例だと、オフセット値をもっと下げてやっても良いかもしれません。

オートカメラで撮るか、マニュアル一眼レフで撮るかの違いのようなもの、といったら良いでしょうか。

この回答へのお礼

回答ありがとうございます。オフセットの意味がよく理解できました。

お礼日時：2007/09/21 20:06

No.2 回答者： geneticist12 回答日時： 2007/09/19 11:38

読み返したら、微妙にはずしているところがあったので、訂正します。

＞冷却CCDの場合、CCDから出力される信号の強度に対してある基準値を定めて、それ以下の信号は無いもの、つまり0とし、それを越えた信号だけを有効として、基準値との差分を強度の値とするとしたとき、その基準値がオフセットです。

「基準値との差分を強度の値とすること」がオフセットの本来の意味です。
ただし、冷却CCDの操作パネル上では、設定する基準値が表示上「オフセット」あるいは「オフセット値」になっていることが多いと思います。