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TiとAlの合金形成温度について質問します。対象の合金はAl3Tiです。
構造は、Si基板に酸化膜を形成した後、その上にTi/TiNを形成し500nmのAlCu合金をPVD法で成膜しました。その上にTi膜を同じくPVD法で50nm形成し、窒素雰囲気で熱処理しました。その時の温度は400℃2分です。
本来400℃ではAl3Ti合金は形成されない筈ですが、断面TEM観察で部分的にAl3Tiが形成されていました。この様に低温度でAl3Ti合金が形成される要因は何があるでしょうか?

ここで、Ti膜成膜前に、アルカリ水溶液でAl表面をクリーニングしています。(EKC265 40℃ 20分)更に、Ti膜成膜前に同じPVD装置の真空中でArによるクリーニングしています。(Arスパッタ、30秒、表面アルミナ除去が目的です)このKEC処理では、Al表面が多少腐食されます。Arスパッタでは表面がアモルファス化します。また、Alは多結晶です。
(これは半導体のVia工程プロセスで、Wプラグ形成前のグルーレイヤー形成工程です。)
私はAl表面が荒れている為にTi膜がポーラスになり、この状態で窒素雰囲気で熱処理した場合、Alの膨張する力が重なって低温で反応しているのでなかいと考えていますが、Al結晶の配向性も関係していのではないかと思います。

A 回答 (3件)

正直言ってこれ以上の知見は持ち合わせていないのが実情です。

したがってきちんとしたお答えをするのが厳しい状態です。

一般論としてしか申し上げられませんが、物理的には以下のように考えています。

 粒内の拡散はTiとAlの原子サイズから考えて、Vacancyがなければ、起きる事はないと考えています。したがって、結晶が弾性変形内で伸びた場合、原子間距離が変化した場合でも、拡散が起こりやすくなるほどPotentialが下がるということは考えられません。

 もし、Alとの膨張の違いから、Tiの逃げ場がなくなって、大きく変形した場合、Tiの塑性変形が局部的に起きて、dislocationが増殖されます。この場合、Migration Energyが低くても拡散は起こり易くなります。加工変形を施した金属の再結晶温度が下がるのと同じ理屈です。この可能性はあると思います。

 又、表面がArスパッタでアモルファス化しているとのことでしたが、室温で拡散に寄与するVacancyの割合は10^-6オーダに対して、アモルファス状態では、10^-1にまで増大するはずです。この場合、拡散速度は非常に速くなるはずです。したがってアモルファスの層の近傍が合金化されることは考えられます。ただしアモルファスの層の厚さは薄いと想像されますので、結晶粒全体に拡散が及ぶことは考えにくいと思います。

 Ti膜がポーラスになっているとのことですが、どのくらいのサイズのボイドかに寄りますが10オングストローム以上であれば、それがそのまま拡散に効くとは思えません。ポーラスになったことで表面積が増えて、表面拡散が起こりやすくなったことも考えられます。ただしこの場合も、結晶粒全体に拡散が及ぶことは考えにくいと思います。

 後は、コンタミによる3元系で合金化温度が下がった可能性も考えられますが、コンタミは慎重に除去されているようなので、影響はないかと思います。

 方位の影響は、あるかもしれませんが、FCCのアルミ単独で見れば、影響は(200)でも(111)でもあまり差がないように思うのですが、勉強不足でしょうか、むしろ、合金化が起こっている界面での結晶構造とその方位の影響を受けそうに思うのですが、そうであれば、新発見かもしれませんが、一気に合金化の界面が進行していくのかもしれませんね。Alの入った他結晶の合金系で、筋状に合金が形成されるのは見たことがありますが、ご質問ののケースではよく分かりません。

私はMigration Energyは原子の移動のエネルギーを言っています。従って、温度が上がればMigration Energyは増大しますし、欠陥が増大すれば、原子移動に必要な乗り越えるポテンシャルが下がりますから、Migration Energyは減少します。

直接的な回答をすることができず、申し訳ありません。今回の実験の結果が、未知の新発見に結びつくことを期待いたしております。
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まったくの想像ですが、場所によって違うということは、拡散したところに、ディスロケーションが入っていたのではないですか。

または結晶粒界に沿って拡散したのかも知れませんね。

結晶方位による拡散速度の違いが支配的であれば、その結晶粒内に一様に合金化すると思いますが、そうなっていますか。
そうでなければ、ディスロケーションか、結晶粒界などの、ラティスディフェクトに沿った状態で合金化するように思いますがどうでしょうか。

その温度で合金化しないというならば、TiまたはAlのマイグレーション・エネルギーが局部的に下がったと考えるしかないですよね。
そのためには、表面か、結晶粒界か、転移ぐらいしか、私には思いつかないのですが。

乱筆をお許しください。

この回答への補足

ご回答有難う御座います。
結晶粒界に関しては部分的に拡散がみられますが、結晶内にも拡散が見られています。結晶方位についてはEBSP法で現在調査中です。
合金層が結晶粒全体に広がっていますので(記載が不十分でした)欠陥や結晶粒界だけの問題では無いようです。
マイグレーションエネルギーに関してですが、Alの熱膨張が集中した時、例えばセラミックの試験管の様なものの下層にAlを上層にTiを積層に堆積させたとき、この試験管の温度を上げるとAlが大きく膨張しますが、その逃げ場がTiとの界面しかない場合、合金化は促進されるのでしょうか、マイグレーションエネルギーが下がっても反応するのでしょうか、逆にマイグレーションエネルギーが大きくなるのでしょうか?本来より低温で反応が促進することになるのでしょうか?物理的な理論式は存在するのでしょうか?

補足日時:2007/09/27 19:59
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>本来400℃ではAl3Ti合金は形成されない筈


という根拠は何でしょうか?手元にAlとTiの拡散係数などのデータが無いので確証はありませんが、感覚的にはnmレベルでは拡散して合金が形成してもおかしくないような気がします。おっしゃるように前処理の影響も考えられますが、そこは条件を変えて実験すれば確認可能と思います。

この回答への補足

ご回答有難う御座います。
文献では450℃では明確にAl3Ti合金が形成されていますが、400℃では明確ではありません。
nmレベルでは確かに合金層はできると思いますが、今回は50nm程度の合金層ができています。Al3Ti合金は元のTi層の3.6倍の合金層を作りますので元々の10nm(先の記載の50nmは誤りで10nmが正しい厚さでした)のTiが全部反応したと思われます。しっかりとした拡散反応が生じています。
実は、場所によっては全く反応していない場所があります。XTEMのEDX分析で確認しました。条件を変えて実験したいのですが、量産の半導体工場ですので簡単に実験できません。Al表面起因なのかAl配位向性なのかある程度条件を絞りたいので皆様のご意見を参考にしたいと考えています。
Alの表面形状により反応が促進される場合はどの様な状態で拡散現象が促進されるのか、ALの結晶方位により反応が促進される場合は通常(111)結晶方位成長が主と考えられますが(200)やその他の場合では(111)とはどう拡散反応が異なってくるのかなどです。
以上、よろしくお願いします。

補足日時:2007/09/23 23:51
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