日商1級第111回の工業簿記の過去問になります。
原料受入価格差異、原料消費量差異、加工費配賦差異を「比較的多額の差異を配賦する処理」に従い、売上原価、期末材料、期末仕掛品、期末製品、に配賦して勘定記入を行う問題ですが、「可能な限り実際原価に一致するように配賦すること」という指示があります。
そこでこれらの配賦の計算を行う際の基準は、物量ベースなのか金額(原価)ベースなのか教えていただけませんでしょうか?
私が使っている過去問集は大原出版のものですが、金額ベースですべての差異の按分計算を行っています。
ところが、ダイエックス出版の問題集に本問を模した総合問題があり、その中においても「実際原価に一致するように...」という指示がありますが、物量ベース(受入価格差異、消費量差異は実在量、加工費配賦差異は加工時間)で按分計算を行っています。
「実際原価に一致するように」という指示からは、実際原価そのもので按分すべきともとれますし、実際原価計算を行うときには実在量(または加工換算量)で費用按分しているのだから物量ベースで按分すべきともとることができると思うのですが、いかがでしょうか?
ちなみに本問において、物量ベースで計算を行った結果、解答とは異なった計算結果が算定されてしまいます(受入価格差異は物量ベースでも金額ベースでも同じですが、消費量差異と加工費配賦差異は物量ベースと金額ベースでは異なる)。
お願いします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
>「可能な限り実際原価に一致するように配賦すること」という指示
これは、この出題内容に限られた提言ではなく、
『原価計算基準』で制定された原価計算上の概念に、
配賦計算結果を適用させるための問題指示だと、私は解釈しています。
日商簿記検定の工業簿記・原価計算は、
この『原価計算基準』をベースに作成されているとのことですので、
時間があれば、会計法規集やネット検索で、
条文を、一瞥されることを、お勧めします。
◆費目別計算における予定価格等の適用(『原価計算基準』より)◆
「適用される期間における実際価格にできる限り近似させ、
価格差異をなるべく僅少にするように定める」
原価差異の追加配賦の問題ですが、第111回以前にも、出題されています。
私が知る設題は、材料受入価格差異と材料数量差異の、追加配賦を問う内容。
この時の解説(公認会計士受験対策用・管理会計テキスト参考)によると、
材料受入価格差異を、
期末材料・期末仕掛品・期末製品・売上原価・材料数量差異へと、
追加配賦する際は、物量ベースで按分。
材料数量差異を、
期末仕掛品・期末製品・売上原価へと、追加配賦する際には、
仕掛品・製品・売上原価分の物量(個数)ではなく、
それぞれの原価をベースに按分しています。
ご質問の、第111回工業簿記の場合ですと、
私が参考にしているテキストでは、
原料受入価格差異は、キログラム。
原料消費量差異は、標準原価。
加工費配賦差異は、標準加工時間。
…の比によって、按分計算なされています。
◆標準原価の算定(『原価計算基準』より)◆
「原価要素の標準は、原則として、物量標準と価格標準との両面を考慮して算定する」
追加配賦基準についても、
物量ベースか?原価ベースか?…を迷うのではなく、
物量と原価との双方を見比べた上で、
どちらのデータを用いることによって、
第一次配賦後の現状に即した、緻密な按分結果を算出できるかを、
判断材料にすればよい。と、私は認識しています。
InTheLife様、御丁寧な回答ありがとうございます。
確かに、原価計算基準 標準原価の算定 に「物量基準と価格基準との両面を考慮...」の旨記載がありました。読込みが足りませんでした。
やはり「その状況に合わせて」ということであり、「受入価格差異は物量、消費量差異は原価ベース」のように決められている訳ではないということを確認でき安心いたしましました。
確かにそうですよね。仮に月初、月末の棚卸資産が存在して単価が異なっていれば、当然物量ベースと原価ベースでは按分計算結果が異なりますものね。
会計期間を通じて単価が同じであれば、物量ベースも原価ベースも結果は同じですが、異なる場合には既に算定されている原価によって按分すれば、その単価の違いは反映されているのだから原価ベースで按分すればよいのだとInTheLife様のおかげで理解できました。
どうもありがとうございました。
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