No.12
- 回答日時:
おお~~っと、そうでした!!
siegmundさんの言うとおりですね。
フェルミ粒子かどうかは離散化には関係ありませんでした。
そういえば粒子の種類の仮定は入れずに式が導けましたね^^;
結局は電子の波動性ですか・・・。
失礼しました。
No.11
- 回答日時:
電子の束縛状態の離散化とフェルミ粒子かどうかは直接関係がありません.
本質的に原子核のクーロンポテンシャル中の1粒子問題ですから,
粒子がフェルミ粒子でもボース粒子でも波動関数は同じです.
フェルミ粒子とボース粒子の違いは,2個以上の粒子を軌道に詰めてゆくときに
同じ状態(スピンも含めて)に1個しか入れないか,
何個でも入れるかの違いです.
したがって,例えば,スピンゼロのボース電子(?)を普通の電子の代わりに
もってきて,ボース水素原子(?)を作ったとします.
stomachman さんが最初に書かれた軌道間遷移に伴う特定の波長の電磁波は
同じように観測されるはずです.
化学結合の方は本題と離れますので,コメントは差し控えます.
No.10
- 回答日時:
siegmundさんのおっしゃるように、電子の束縛状態の離散化は不確定性原理では説明できません。
これを説明するためには、電子がスピン1/2のフェルミ粒子であることを考慮しなければなりません。あと、化学結合の安定化については蛇足でしたが、蛇足ついでということで・・
波動関数で言うなら共鳴積分の項ですね。実は、これも不確定性原理による安定化の現れなのです。
化学結合において、結合性軌道の方が波動関数の節の数(位相の変化する数)が反結合性よりも少ないのは、それだけ電子密度が0になる部分が少ない、すなわち電子の非局在化になる、・・・Δxが大きくなる、ということになります。
結果的に結合性軌道では2核間の間の電子密度が濃くなるので、その濃くなった電子密度領域に核が引き寄せられて結合が安定化している、といってもいいですね。
ただ、位相が揃うと安定化するというのは、結局不確定性原理の現れなのです。
No.9
- 回答日時:
もう回答は出揃っているようですが、
良い質問だったので思わず顔を出してしまいました。
ということで、加速器による衝突の話だけにします。
>加速器での衝突の時、素粒子同士がぶつかるのは
>不確定性原理に違反してはいないのですか。
これは、「ぶつかる」と表現により混乱しておられるのだと思います。
正しくは、「衝突」が高エネルギーであればあるほど
より近くで相互作用するということを意味します。
ですから、不確定性原理には反してないですね。
原子核を一つのものと思えば衝突しているようですが
陽子でさえ、(up,up,down)という3つのクォークにより作られた状態です。
したがって、クォーク間を相互作用しながら突き抜けていく
と思ったほうが近い認識だと思います。
(本当は、あまりにも近づいたときには水素原子の束縛状態のように波動性が強く、
遠くを飛んでいるときには粒子性が強く出ているなどややこしいですが、)
また、念の為
加速器では1つの粒子同士がぶつかるのではなく
もっと荒っぽいことをしています。
siegmund さんが仰っていたようなターゲットとの衝突の場合では
ターゲット側には多数の粒子が存在しています。
また、陽子同士や電子同士の衝突のような場合では、
出来るだけ細く(nm のオーダー)絞った陽子などの固まり同士をぶつけています。
要するに「どこかでぶつかれば良い」ということです。
この回答への補足
すいません。
お礼の所で、途中できれているので追加します。
原子核の中のことを考えることは、化学反応について考えることに負けず劣らず面白そうだとおもいました。
ありがとうございました。
加速器を使った素粒子の衝突実験に関して、重要な知識をありがとうございました。私は、化学よりの勉強を続けていますので、原子や分子をイメージして考える癖はついております。そのレベルから考えると、原子核とはとても小さいものとしか考えることができませんでした。しかし、この回答を拝見させていただきますと、
No.8
- 回答日時:
siegmund です.
○ 電子が原子核に落ち込まない説明は不確定性原理でもいいですが,
束縛状態のエネルギーが離散化されていることと,
散乱状態のエネルギーが連続であることまでは
すぐには説明できないように思います.
単に不確定性原理だけだと,水素原子の最低エネルギーの上に
ずっとエネルギーが連続的にあってもいいことになりそうです.
○ stomachman さんが最初に書かれたように,
電子波の概念を使うと3つがうまく統一的に説明できます.
電子が原子核に落ち込んでしまうと,電子波が作れない.
束縛状態というのは時間がたてばいずれ同じ場所に戻ってくるのだから,
電子波の頭としっぽがちょうど合うために軌道の制限 → エネルギー量子化
がおこる.
散乱状態なら元に戻って来ないから,電子波の頭としっぽがどうのこうの
という必要はなく,エネルギー量子化は起こらない.
○ でも,いずれにしろ,正しい概念に基づいているわけはないので,
どこかボロが出ます.
motsuan さんのフェルミの接触相互作用がその好例ですね.
核磁気共鳴などの話では波動関数の形などが重要なので,
半古典的な軌道概念ではお手上げです.
○ 不確定性原理の最も精密な形は
Δx・Δp ≧ h/4π
です.H. ワイルなどが厳密な証明をしています.
等号が成り立つのは,1次元調和振動子の基底状態です.
○ 化学結合で,電子が2原子核間を移動することで結合が安定化するのは,
不確定性原理の効果というよりは,
共鳴効果,あるいは波動関数の言葉で言うなら交換積分の効果です.
有名な話は,水素分子に対するハイトラーとロンドンの仕事,
水素分子イオンに対するポーリングの仕事などです.
No.7
- 回答日時:
もう、みなさんが正解をだしておられるように、不確定性原理によります。
これは、運動量、位置の不確定性をそれぞれΔp、Δxで表したとき、
Δp・Δx≧h
を満たすため(hはプランク定数)、電子が原子核に落ち込もうとすると(Δxが小さくなろうとすると)、Δpが大きくなってしまい運動エネルギーが大きくなってしまいます。したがって、電子は落ち込むことができず、釣り合いのいい位置に存在するようになります。結局電子の波動性が効いてくるからなんでしょうね。
一方、運動エネルギーを大きくすると、Δxは小さくなりえます。
話はそれますが、この不確定性原理の効果は、一般の化学結合でも働いています。
結合している2原子では、電子が2原子核間を移動することで(Δxを大きくすることで)、結合の安定化に寄与しています。
このように粒子の交換による物質の結合の安定化は、原子核の陽子間(核内では正電荷同士で結合している)でも起こっていると考えられ、その媒介粒子の存在が湯川秀樹博士により予言され、立証されました。湯川粒子または中間子と呼ばれています。
No.6
- 回答日時:
siegmund先生とmotsuanさんのご回答を拝見し、このご質問に関しては第0近似として不確定性原理で理解しておくのが一番良さそうだと思いました。
stomachmanの最初の回答の後半がコケてるのは、束縛状態の電子と、ぶっ飛んでくるけど原子核と相互作用する電子の違いの説明がちとシンドいからです。ところが不確定性原理なら、これひとつさえ納得して戴けたら後は統一して論じられる。粒子が原子核にぶち当たる衝突断面積の見積りまでできそうだ。なるほどな、と感心致しました。
太古の昔訳も分からず読んだ初等的なボーアの水素原子論の解説に漠然と束縛されていたようです。おふたりのご回答にちょっと励起されてstomachmanも軌道が変化いたしましたので、回答#1は不確定ということで...(<そりゃ無責任性原理か、っての)
No.5
- 回答日時:
毎度のことながらstomachman間違えてしまいました。
siegmund先生のご指摘のとおり、電子波の波長は電子の運動量で決まってますから、運動エネルギーだけ考えれば良いんでした。
訂正してお詫びします。
No.4
- 回答日時:
電子が原子核に落ち込まないことは不確定性原理でも説明できます。
プラスとマイナスの電荷が引き合う力よって核に近づくと、
電子が狭い範囲にいることになり、不確定性原理から運動エネルギーが大きくなります。
このため、プラスとマイナスの電荷が近づくことよってエネルギーが低くなる分よりも
結局エネルギーが高くなって損をする(安定でなくなる)というストーリーです。
衝突の場合も軌道の延長で考えることもできるます。
たとえば彗星のように遠くから太陽をめがけてやってきて、
また、太陽からとうざかる。
これが周期的な軌道を描くのはエネルギー的に
太陽の重力に取らえられているからで、
エネルギーを上げていくと、軌道が閉じなくなります。
これを遠くから眺めれば(?)、太陽に散乱されたように見えます。
電子の場合も同様に考えられます
(siegmundさんの言われている連続なエネルギーを取る領域です)。
でも、原子核と衝突させる(原子核の構造が見える)
ためには上に述べたように不確定性原理があるために
相当高いエネルギーをつぎ込まないといけないと思います(違うかな?)。
あと、問題の意図とは違いますが、
電子の軌道がs軌道と呼ばれる状態である場合、
原子核のところにも存在確率ができます。
これをフェルミコンタクトといって、これを通して電子の軌道のゆがみなどを
核磁気共鳴などで知ることができます
(電子が核とぶつかっているわけではありません)。
No.2
- 回答日時:
stomachmanさんの答えの蛇足です。
量子力学(bigseaさんは量子化学と表現されていますが...)誕生以前、
物質の運動についてはニュートンの古典力学とマクスウェルの古典電磁気学がメインでした。古典電磁気学によれば、荷電粒子(質問の用語なら電子)が加速度運動すると電磁波を放出してエネルギーを失うということが知られています。そのため原子中の電子はエネルギーを失い、軌道半径が小さくなってやがて原子核に落ち込みます。これは「原子が不安定」であることを言っています。どの程度で陽子につかまるかというと、10のすごい乗分の1ぐらいで、
ほんとに「あっ」という間に電子は吸い込まれてしまいます。
すると、この宇宙にある物質がすべて不安定であり現実とは根本的に食い違ってしまうわけです。それを解決する方法としてstomachmanさんが述べたように、
電子は、量子化の規則で許される軌道だけ周れるという提案がなされました。
これはRutherfordの弟子のBohrによって主張され、現在Bohr の量子論と呼ばれるようになりました。
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