No.1ベストアンサー
- 回答日時:
「分かりやすくした」ものであるのは確かですが、少なからぬ脚色が加えられているため、「内容を要約した」ものといってよいかは微妙なところです。
いずれにせよ名作であることに変わりはありませんが。手塚版『罪と罰』は純粋な意味での「漫画化」というよりも、「翻案」といった方が正確だろうと私は思います。
あの大作を逐語訳的に漫画化すると途方もないページ数になってしまいますので、脇筋はだいぶ省略してありますし、登場人物の設定も原作とは少し異なるところがあります(スヴィドリガイロフの思想とか)。ラスコーリニコフが自分の犯罪の拠所とする理論の説明も、まとめ方はかなり大胆です。
とりわけ大きな違いは金貸しアリョーナの妹リザヴェータが登場しない点、スヴィドリガイロフが武装蜂起を起こしている最中にラスコーリニコフが自首する場面をラストシーンにしている点でしょう(原作にはそのような蜂起の場面はなく、シベリアへ流刑になってからのラスコーリニコフのことについて少し触れてから終わる)。ラスコーリニコフを侮辱するためソーニャに盗みの嫌疑を着せたルージンの悪巧みを暴くのも、原作ではスヴィドリガイロフではなくレベジャートニコフだったような気がします(たぶん)。
このように登場人物の数を減らす工夫をしているのは、手塚治虫が大学時代に『罪と罰』を舞台化した学生演劇に出演したさいの演出が影響しているのではないかと私は推測しています(役者の人数は限られているため、長編小説の戯曲化ではそうした脚色がしばしば行なわれる)。ちなみにそのとき手塚治虫が演じた役は第一発見者で最初の容疑者になったペンキ屋です。舞台の上にやぐらを組んで階段をつけ、上の階と下の階を表現したため、高所恐怖症の手塚治虫は上へ登っていくのに大変苦労したというエピソードが残っています。あの斬新な見開き4連縦長コマというレイアウトも、このときの経験を反映したものではないか……というのも単なる私の推測ですが。
内容は、かなり大まかに(乱暴な言い方ですが)
まとめられているようですね。
さまざまな面から、いろいろな知識を与えてもらい、
ありがとうございます。
特に、ラストシーンが、
大きく変わっているところに、また興味がわきました。
(ラスコーリニコフが自首の言葉をさけぶシーンが
好きなもので。)
回答どうもありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
先の方が書かれているように、手塚氏の漫画は「要約本」ではありません。
かなり手塚流に手を加えています。でも、小説が難解で理解できなかったということですが、漫画を読んだ後に読み直せば、かなり理解が深まるのではないでしょうか。少なくとも登場人物の大まかな相関がわかりますし。もう一度チャレンジなさいません?私はたまたま先に漫画を読んでいたので、小説も筋を追う分にはそれほど難解だとは思いませんでしたが。
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