No.6ベストアンサー
- 回答日時:
No.5のJagar39です。
1つ書き忘れていたのですが、チップに液が残ることによるロス、は「腕」が上がればほぼゼロになります。
チップにも液切れが良いチップとそうでもないチップがあって、液切れが良いチップを使うと非常に楽です。液切れはクオリティのイエローチップが抜群に良いのですが(-200uLのチップ)、そうでもないチップを使っても、まあほとんどチップ内に液が残ることはないです。
細かい「職人芸」の話をしますと、マスター作製の際やテンプレートを入れる時など、チューブ壁面にチップを触れさせるとそこに液が残るので、機械にかける前に軽く遠心しなければならなくなります。手で振る程度でもけっこう落ちてくれますが。
なので私は壁面には触れず、チップ先端を直接液内に入れています。
そのまま第二ストッパーまで押し込むとエアが入りますし、そのチップを引き上げると毛細管現象でチップ内に液が入ってしまうので、第二ストップまで押し込む動作と同時にチップの引き上げを始め、最後の液がチップから放出されるのとチップ先端が液面から出るのが同時、くらいのタイミングでやると、完璧に入れることができます。
96穴プレートで同じことをやるのはとても難しく、最初は切実にプレート遠心機が欲しい!と思ったのですが、500検体ほどやったら馴れてしまいました。
今では96穴プレートをフルに使っても、壁面にはまったく液は残りませんしエアもまったく入りません。そのまま即機械にかけることができています。
外部から研究費をもらっている課題は、あくまで通常業務プラスアルファなので、時間をそれほど割けるわけではありません。なのでどうしても検体をひたすら溜め込んで一気にPCRを、というスケジュールになりがちで、1日に200検体を3回転で、とかいう無茶なやれ方になるのですが、手早くやらないと3回転なんてできないし、さりとて雑になるとまともなデータが出ないし、ということで、「必要があれば技術は向上する」ということですね。
診断の仕事でも、遺伝子引っかけてしまったら即テレビのニュースになるような検体を100とかやる羽目になると、コンタミでもさせようものなら首をくくらねばなりませんから・・・
迅速かつ高精度に、ということです。
No.5
- 回答日時:
例えば、以下のような反応液だったとします(この例はReal-Time PCRですが)。
・Premix Taq (2x) : 12.5uL
・Primer (10pmol/uL) : 0.5uL
・Probe (2.5pmol/uL) : 1.0uL
・ROX II reference dye : 0.5uL
・H2O : 8.0uL
・template : 2.0uL
total 25.0uL
普通のPCRの場合はPremixではなく、TaqとBufferとdNTPを別々に入れる試薬も多いですが。Mg2+は私はもう何年もbufferに入っている試薬を使っているので、別にMg2+を入れることはRT以外はありません(RTは別に入れるキットを使っているので)。
で、検体分+αのマスターミックスを作ります。No.4さんと同じですね。
ただ、私は検体数が10-15検体くらいまでの時は、「検体数+1検体分のマスターを作る」のではなく、単にH2Oを増やして量を水増し(まさに"水増し")していたりします。要は「水増し量が"1検体分"を越えない」くらいの検体数だと、水だけを増やすみたいな感じです。
別に根拠はなく、少しでも酵素の使用量を減らしたいだけなので(貧乏ラボなので)、本来は検体数を増やしてマスターを作る方が間違いがない、とは思いますが。まあ私のやり方でもおかしな結果が出たことはあまりないですが、保証はできませんし。
マスターを作る時、チップは必ず液面につけて直接液内に入れるようにしています。ただしマスターミックスを作る段階ではピペッティングはしていません。
マスターができたら、それを上の例だと23uLずつチューブなりプレートに分注していくのですが、その前に一度チューブを転倒混和して軽く遠心しています。
あとはマスターをチューブまたはプレートに分注した後、テンプレートを入れていくわけですが、この時はもちろんチップ先端を液面に入れて確実にテンプレートを入れるのが鉄則ですね。
ピペッティングによる混和をしないのは、どうしてもエアが入りがちなんですよね。貧乏ラボなのでマスターはいつも「ぎりぎり」の量しか作りません。検体分入れた後、5uLは絶対残らない、というくらいギリギリでやっているので、ほんの1個でも気泡が入ってしまうと最後まで吸えないので。気泡を消すのにまた転倒混和したり遠心したりしなくちゃならないですから。
最近、この数年ですが外部から研究費をもらってやっている課題があるので、昔ほど経費的に辛くはなくなっているのですが、一度身に染みついた貧乏性はなかなか抜けません。
冷やすことについては、No.4さんが引用した過去質問にも回答しているのですが、私はあまり気にしていません。
冷やす理由は酵素の失活と半端な温度で反応が始まってしまうことを避けるためなのですが、PCRに使うのは耐熱性酵素ですから常温で失活するような代物ではないですし、反応が始まってしまうことについても、私はずっとホットスタート用の酵素を使っているので、これも気にする必要はないと判断しています。
氷の上でちまちまやるより、作業しやすい環境で手早くやってしまう方が良いはず、と思っています。
なお、酵素はボルテックス厳禁と習いました。他の試薬は大丈夫なはずですが。ボルテックスするとどれくらい失活するか、なんてことは試してみたことはありませんが(貧乏性なのでもったいなくて試せない)、未だに教えられたとおり酵素または酵素が入ったマスターミックスは絶対ボルテックスしません。
他の試薬についてはバッファもdNTPもプライマーも、溶かしたら使用前にボルテックス&遠心は必ずやっています。ちゃんと遠心して液を落としておかないと、チューブを開けた時にキャップで跳ねたりしてコンタミの原因になります。
テンプレートも必ずボルテックス&遠心してからキャップを開けます。
一度スタンダード(定量のためのポジコン)のキャップを開ける時、うっかり遠心せずに開けたら、どうも跳ねたらしくネガコンまで10^2コピーくらいの標的DNAが検出されてしまいました。その時は96穴プレートをフルに使う検体数だったので、経費的ダメージも精神的ダメージも大きかったです。
それ以来、以前にも増して「とにかく酵素以外のチューブは溶かした直後に必ずボルテックス&遠心」を守っています。
Premixではない時のマスターは、バッファ、水、Taq、プライマー、dNTPの順に入れています。まああまり深い意味はないのですが、Taqを入れる前にバッファと水、は守った方が良いでしょうね。
最初に反応チューブにテンプレートを入れて、そのチューブにマスターを入れる人もいるんですね。あまり聞かないやり方ですね。
でも、それをやるとマスターを入れる時のチップは1検体1チップにせざるを得ないので、あまりお奨めはできませんが・・・何もないチューブにマスターを入れるのなら、何検体でもチップは替えずにできるので、そちらの方が作業性は圧倒的に良いと思います。
1~2検体の時はマスターを作らずに反応チューブで直接反応液を作る、という方もいるようですが、私はあまりお奨めはしません。
やはり1つ1つの誤差はごく僅かでも、トータルではそれなりの誤差が出てしまうようで、再現性に問題が出ることがあるような気がします。
私もリアルタイムをやるまでは、2~3検体の時はそうしていたのですが、リアルタイムで定量をやると再現性が低いことに気づきました。
それに気づいて、一度スタンダードで同じことをやってみたのですが、やはりかなりデータにバラツキが出ます。
量が大きい方がバラツキが少なくなりますし、何よりマスターを作らないと「全検体同じ濃度の反応液」にはならなくなってしまうので、定性のPCRではほとんど気づかない程度の誤差でも、リアルタイムで定量をやるとはっきり見えてしまう、ということなのでしょう。
ということはつまり、ノーマルPCRでも出るかでないかギリギリの検体なんかは不安定な成績になってしまうことは考えられます。
No.4
- 回答日時:
反応したいチューブの本数が10本である場合、マスターミックスは11本分作ります。
何の実験でもそうだと思いますが、反応液をまとめて作る場合は
必要な量より少し多めに作ります。
これは実験する人の常識であると思います。みなさんやっているでしょう。
はじめから多めに作っているので、マスターミックスの場合は
ピペッティングによるロスは気にしていません。
もちろん乱雑にするわけではありませんよ。
また、完全に反応液ができてから、
私の場合はPCRチューブにすべての液を入れてからになりますが、
ピペッティングによるロスがあったとしても、
反応液が10μlから9,56μlとかに減る、つまり1つの溶液が分量として少ないのではなく、
完全な反応液が少なくなるだけですので(それもほんの少し)、
あまり気にしていません。もちろん乱雑にはしませんよ。
そもそも、きちんとしていれば、ピペッティングではそこまでロスするように思いません。
酵素の溶液のように、グリセロールを多く含んだ溶液(taqとかはかなりどろどろしているでしょ?)は
ロスとか、必要量より多く入れやすいとは思いますので、注意が必要だと思いますが。
あと、冷やす理由については過去にこのような質問と回答がありました。
参考まで。
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa3785077.html
No.3
- 回答日時:
>この作業はバッファーを調整する際にも利用してもよいでしょうか?
>バッファー調整の際には溶液が非常に少ないので心配です。
濃縮バッファーを希釈して調製するようでしたら、あらかじめPCRチューブに滅菌ミリQ水を入れておきます。
次に、上記の方法で濃縮バッファーを加えます。(酵素を保護させたいのでバッファー調製を先に行います)
ここはボルテックス→スピンダウンでも良いと思います。
サンプルを加えてからの激しいボルテックスは酵素やプライマーにダメージを与えることも考えられますので軽くにしておくか、ピペッティングが良いかもしれません。
ただし、この方法はサンプルがたくさんあるときはピペットのチップ交換が大変です。
No.2
- 回答日時:
私は2,3本のときは酵素以外を適当な順番で壁面や底面など
適当な場所に付けて最後にピペッティングしてよく混ぜ、
しばらく氷で冷やしてからtaqをそれぞれ入れてピペッティングでよく混ぜて、機械に入れています。
本数が多い場合は、それらのサンプルで共通のものをまとめてマスターミックスとして作製して、
例えば、テンプレイト以外はすべて同じだったら、
最初にテンプレイトをPCR用チューブに入れておきます。
後の溶液は適当な順番で適当な場所に付けて最後によく混ぜて冷やし、
そこにtaqを入れてまたよく混ぜ、
その溶液をテンプレイトが入ったチューブに入れながら、
ピペッティングしてよく混ぜて(面倒な時はピペッティングしない時もあり汗)、機械にセットしています。
気にしていることは、酵素を入れる前にはバッファーなどがちゃんとしてる方がいいかなと思い、酵素を加える前にはよく混ぜています。
そして、酵素を入れた後はよく混ぜています。
うまくいくとわかっているPCRに関しては、これで失敗したことはありませんので、いいかなと思っています。
これが私が普段やっている感じです。
この回答への補足
お答えありがとうございます。
ピペッティングではなくボルテックスは良くないでしょうか。
ピペッティングだと、チップに残るロスが出てしまうと心配になります。
またtaqを入れる前に冷やす理由は何でしょうか?今まで気にしたことがありませんでしたので。。
もしも必要なら次から変えようと思います。
No.1
- 回答日時:
この場合は、数マイクロ程度の少量で貴重なサンプルを正確に計りとり、他の容器に混ぜる必要が求められます。
側面に落とすと、チップ内部に僅かに残ります。(残っているものは貴重なサンプルです)
サンプルを吸ったピペットの先端を、目的のPCRチューブにあらかじめ入っている液(調製済のバッファー)に浸けます。
ピペットを第一ストップまで押し下げ、溶液を出します。
→第二ストップまで押さないで、そのままプッシュロッドを戻し、溶液を吸い上げます。
→この作業を数回繰り返し、最終的に容器側面で第二ストップまでピペットを押し込みます。
この作業により、チップ内部に残る貴重で僅かなサンプルを入れることができます。
ピペット操作に関しては、「バイオ実験イラストレイテッド(第一巻),秀潤社」が詳しいです。
この回答への補足
>サンプルを吸ったピペットの先端を、目的のPCRチューブにあらかじめ入っている液(調製済のバッファー)に浸けます。
ピペットを第一ストップまで押し下げ、溶液を出します。
→第二ストップまで押さないで、そのままプッシュロッドを戻し、溶液を吸い上げます。
→この作業を数回繰り返し、最終的に容器側面で第二ストップまでピペットを押し込みます。
この作業はバッファーを調整する際にも利用してもよいでしょうか?
バッファー調整の際には溶液が非常に少ないので心配です。
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