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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B% …

 このページを見て疑問に思いました。日本国が、特定海域5箇所においては、意図的に領海の範囲を狭めているという説明に読めます。このことで、12海里を領海と定めた場合に比べて法的・政治的・事実上の不利益を被ることは考えられますでしょうか。

A 回答 (2件)

“ミサイル迎撃訓練”


沿岸国の意に反して、第十九条2に相当する行為を行った場合、領海内であれば沿岸国の法令により対応することが出来ます。簡単に言えば、拿捕することも出来るでしょうし、状況によっては撃沈することも可能でしょう。しかし、公海であれば国内法にのみ根拠をもつ対応が、直ちに国際的に通用するか否かは別問題です。海上ではないですが、類似の状況が発生したのが、数年前に発生したカムチャッカ半島上空での大韓航空機撃墜事件です(ソ連の国内法に従って撃墜したが、航空関連の条約に違反した行動があった)。

また、上記のような行動を行う国にとって、“国際海洋法条約”に反することそれ自身はあまり意味を持たない(別に罰則があるわけではないので)でしょうが、“条約を破る国”と認識されるのは、当該国にとって政治上大きなデメリットとなる可能性があります。また、仮に同盟国がそのような行為(例えば潜行したまま領海を通過する)を行った場合、対立国にとって、“条約を破る国”であるとの宣伝を行うことができ、沿岸国(やその同盟国)にとって、政治上のデメリットになる可能性もありえます。

“同盟国の軍事行動を間接的に有利”
潜水艦の最大のメリットは隠密性にあります。潜水艦がいるかいないか不明だったり、いるとしてもどこにいるか分からないこと、それ自身が潜水艦もつ戦略的な意義です。従って、それが可能になる状況(12海里を領海としない)は、その周囲で潜水艦を行動させる国にとって大きなメリットとなります。
また、日本のような島国の場合、その全周にわたって軍事力を展開することは防衛上必要な事柄でしょう。現時点で同盟関係にあるアメリカ軍の軍事力の行使を援助できるという意味で12海里を主張しないことで、間接的に日本の防衛に資する効果があると考えられます。

よって、12海里を主張しないことは、メリット或いはデメリットの一方のみが存在するといったものではなく、その時点での国際関係や状況によって変化するものです。従って将来的に12海里を主張する可能性も残っています。
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この回答へのお礼

詳しいご説明、ありがとうございます。基本的には#1さんとそれに対する私のお礼を受けた上で、その結論とは異なる場合になりうること、或いは上記を詳細に具体的に書いていただいたものと認識しました。大変参考になります。

お礼日時:2008/04/02 22:38

“法的・政治的・事実上の不利益”


海洋法に関する国際連合条約 (国連海洋法条約)
2 沿岸国の主権は、領海の上空並びに領海の海底及びその下に及ぶ。
とあるので、同海域には日本の主権は及ばず、当該海域で犯罪行為が行われても、直ちに日本の主権の元で処置できないでしょう。

第十九条 無害通航の意味
1 通航は、沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、無害とされる。無害通航は、この条約及び国際法の他の規則に従って行わなければならない。
2 外国船舶の通航は、当該外国船舶が領海において次の活動のいずれかに従事する場合には、沿岸国の平和、秩序又は安全を害するものとされる。
(a) 武力による威嚇又は武力の行使であって、沿岸国の主権、領土保全若しくは政治的独立に対するもの又はその他の国際連合憲章に規定する国際法の諸原則に違反する方法によるもの
(b) 兵器(種類のいかんを問わない。)を用いる訓練又は演習
(c) 沿岸国の防衛又は安全を害することとなるような情報の収集を目的とする行為
(d) 沿岸国の防衛又は安全に影響を与えることを目的とする宣伝行為
とあるので、当該海域が公海のため、上記行為が行われても、直ちに同条約違反とはならず、国際司法裁判所への提訴や、国連総会などでの主張の根拠が弱くなる可能性があるでしょう。

政治的には逆にメリットもありえるでしょう。
第二十条 潜水船その他の水中航行機器
潜水船その他の水中航行機器は、領海においては、海面上を航行し、かつ、その旗を掲げなければならない。
領海を無害通航する場合、第二十条により潜水艦は浮上を要求されています。仮にアメリカが日本海に潜水艦を侵入させようとすると、津軽海峡が領海になっていれば、浮上せざるを得ず、潜水艦のメリットが大幅になくなるでしょう。同海域を領海にしないことで、アメリカ潜水艦は合法的に浮上することなく通峡することができます(但し、アメリカ以外の国の潜水艦も同様ですが)。
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この回答へのお礼

第1の点はとてもよく分かりました。
第2の点は、つまり、日本が12海里領海を主張しないために、国際法上は国際海峡ではなく公海だということですね。となると、津軽海峡公海上でロシア軍艦がミサイル迎撃訓練をした場合に差が出るということでしょうか。もし、12海里領海を設定していれば直ちに国際海洋法条約違反のとなるが、現状ではそうならないという具合でしょうか。
第3のメリットに関しては、日本にとっては同盟国の軍事行動を間接的に有利にするということでしょうか。

お礼日時:2008/04/02 16:29

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