No.7ベストアンサー
- 回答日時:
#2です。
無駄に話がややこしくなっているのでもう一度結論から言えば、
事実の主張について当事者のどちらの言い分を受け入れるかは、「証拠と弁論の全趣旨による」です。明文上明らかです。
つまり、弁論の全趣旨を考慮しつつ、証拠を「裁判所が自由な心証で評価して」当事者の主張のどちらを受け入れるかを決めるのです。
そして証拠を評価しても決められない、あるいはそもそも証拠がなく、弁論の全趣旨によっても決められない場合には、証明責任の分配によって決めるのです。
それだけです。#2の冒頭に書いたとおりです。それ以上の話はありません。
#和解うんぬんは忘れた方がいいです。和解は、当事者の主張をどう判断するかとは何の関係もありません。
以下は、参考。
自由心証とは「当事者の出した証拠が何をどの程度証明できるかについて裁判所が自由に評価していいい」ということです。
証明責任とは「証拠と弁論の全趣旨からは事実認定ができない場合に、事実をどう認定するか決める基準」のことです。
証明責任とは「自由心証の尽きたところにある」と言われるのはそのせいです。自由心証で結論が出ないから証明責任に従うのです。
証明責任と自由心証の区別をきちんとしないのはそれだけでお話にならないくらい間違いです。
例えば「金を貸した」と原告が主張しても相手が「借りてない」と争えば原告は証拠により金を貸した事実を立証しなければなりません。
そこで「金を貸した事実を、弁論の全趣旨しを考慮して証拠を評価してもなお、裁判官が存在すると認定できない」場合には証明責任の問題となります。
金を貸したことについては、金を貸した事実を主張することで有利になる原告側が証明責任を負っています。
ですからそれを証明できないことについて不利益を受ける、つまり「金を貸した事実はない」という認定になります。
「主張を無視する」のではありません。証明責任に基づいて主張を認めない、つまり金を貸した事実はないという認定をするのです。裏返せば「借りていない」という被告の主張を事実と認めるのです。
ただし、「他の事実を認定するだけで結論が出る」場合には、結論を出さないという意味で無視することもあります。
例えば「金を渡していない」という事実が認定できれば「金を貸す合意があった」という事実を判断する必要はありません。
金を貸す合意があっても実際に金を渡さない限りは金を返せと主張する根拠がありませんから、合意の有無に関わらずどっちであっても請求は棄却になるからです。つまり、その事実があったかなかったかは法律的にはどうでもいい、言い換えれば判決を書くのに必要がない話なのです。その場合には元々、事実を認定する必要も証拠を評価する必要もありません。どうでもいいのですから。
どうでもいいことを判断するのに時間を使うのは無駄です。訴訟遅延の原因にしかなりません。
なお、自由心証とはあくまでも事実について裁判官がどう判断するかという話であり、裁判官が当事者の「どちらかの味方をする」などという話ではありません。裁判官は「どちらの味方もしてはいけない」のです。どちらの味方でもなく、純粋に「口頭弁論に現れた全て証拠と弁論の全趣旨から」事実を認定し法律を適用し判決を書くのです。
全く証拠がない場合には証拠に基づく事実認定はできません。しかし、その場合であっても「弁論の全趣旨のみで事実認定をすることができる」というのが判例です(ただ、実際にそれをやることは滅多にありません。その意味で「明らかな証拠」に基づいているとは言えますが、元々「明らか」かどうかも自由心証の問題でしかありません。ただ、一般的に見て有力な証拠と言えるかどうかという程度の話です。刑事では弁論の全趣旨で事実認定はできないのですから、弁論の全趣旨を事実認定に持ち込める民事の方が縛りが確実に緩いです)。それでも駄目な場合には証明責任で雌雄を決します。
ところで、証明の度合いが五分五分というのは通常は「どちらの言い分も甲乙付けがたく、決めることができない」という意味ですので、五分五分であれば「真偽不明で証明責任の問題になる」です。ですから「証明の度合いが五分五分だと原告が勝つのが普通というのは嘘」です。たとえ弁護士が言っていたとしても(そもそも個々の事実認定の問題と全ての事実認定の結果としての勝訴とかを一緒くたにすること自体おかしな話なので、多分、別の意味で言ったのでしょうけれどね)。
もし証明責任で処理した場合と結論が一致しないのであればそれはそもそも五分五分ではなかったということです。弁護士が何と言おうと、事実認定をするのは裁判官なのですから裁判官が五分五分だと思っていない限りは五分五分ではないし、五分五分だと思っているなら証明責任の問題として処理するのです。
原告に有利に扱ったのであればそれが原告の証明責任に係る事実であるのなら原告の証明の方が一定以上、分があったということに他なりません。
>裁判官が一人だけでも、その地方裁判所でミーティングなどで他の裁判官の意見も聞いて判決がおりるということですか?
「裁判所」とはそういう意味ではありません。例えば「東京地方裁判所」という裁判所組織上の具体的実体的な一機関のことではなく、「実際に個別の裁判権を行使する抽象的観念的存在としての裁判所」です。実際に事件を担当している裁判官が構成しているのが訴訟における「裁判所」という国家機関なのです。組織上の「裁判所」とは意味が違うのです。本筋からすればどうでもいい話なので今は分からなければ分からないでいいです。教養が増せばそのうち分かるようになります。
一般論としての法律解釈については、裁判官同士が勉強会(と呼ぶかどうかはともかく)などで情報交換などをすることはありますが、個別の事件の事実認定は基本的にその裁判に関わっている裁判官(つまり当該事件の係属する裁判所を構成する裁判官)の職責です。他の裁判官は、口頭弁論に出ていないし訴訟資料も読んでいないのですから「その事件のことなど知らない」ので意見など求められても言えません。
勝手に口を挟むのは職権の独立に反し、違憲ですが、そうでなくても意見など言いようがないのです。自分の知らない事件のことなど答えられるわけがありません。それに、そんなことを相談するような裁判官は無能と思われるだけです。
>「法律上の主張」は原告が指定しなくても、裁判所が法律・規則・条例など調べてくれるということですか?
当然調べます。でないと判決は書けません。法令の解釈適用は裁判所の職責です(調べて「くれる」のではありません。当事者のために調べているのではありません。自己の職責を全うするために必要だから調べるのです)。適用すべき法令及びその解釈について当事者が意見を述べることはできますが、実際のどの規定をどう解釈して適用すべきかを決めるのは裁判所の専権です。当事者が独自の解釈を展開するのは自由(そして訴訟マニアには結構そういう輩が多い)ですが、「ああそうですか」というだけの話になります(あえて説示することもありますけどね)。
なお、原告が想定している規定以外の規定を使えば請求が認められそうな場合、原告がその別の規定により請求を認めるために必要な主張をしていないことがあります。そういうときは訴訟指揮の一貫として必要な主張を促したりすることはあります。
#念のため言っておきますが、「まともに書いたらとても書ききれない」ので結構、大雑把に端折って書いてますからこれ以上詳しく知りたいなら自分で民事訴訟の本を読んでください。
No.6
- 回答日時:
例えば、「貸したお金返して」と裁判したとします。
借りた者から「返しました」と云う答弁だったとすれば、返したことの証拠、つまり、貸主発行の受領書があれば、被告の勝訴ですが、双方で「返してもらってない。いや、返した。」と争っても、裁判官は、両方を信用しないと云うことです。
その場合、原告側の証拠として、契約書があれば、原告勝訴となります。
基本的には、自由心証主義と云って、どちらの味方してもいいことになっていますが、民事訴訟では、明らかな証拠だけで判断しています。
No.5
- 回答日時:
#3です。
>和解で言ったことは、そのまま変えることはできないのですか?
基本的に、和解は双方が譲歩して解決を図る方法なので、和解が成立すると、その訴えは取り下げられたことになります(和解と裁判は別のシステム)。また、和解が合意に至らず訴訟が継続する場合でも、判決は、口頭弁論終結前間までに主張された事実を基に判断します。
和解での発言内容が裁判に影響すると考えた場合でも、裁判の終結前までに主張が変わった(譲歩しない硬直的な態度になった)と考えることができ、影響は無いでしょう。
基本的に、和解の場での発言内容が直接に裁判に影響することはありませんが、100万円という額を提示することにより、判決を下す裁判官が、「このぐらいまでの譲歩は可能である」と考え、それを参考に判決をする可能性が無いわけではありません。
No.4
- 回答日時:
民事事件の場合『言った言わない』という場合は、裁判官は、普通、どちらも信用しません。
他は、明らかな証拠だけで判断します。
あと、誰がみても五分五分と云う場合は、原告勝訴としているのが普通です。(某弁護士談)
ありがとうございます。
どちらも信用しないなら、一番重要なところだけど無視するということですか?
明らかな証拠だけで、被告の言っていることが取るに足らない場合、原告勝訴するのですか?
No.3
- 回答日時:
まず、和解勧告するでしょう。
合意に至らなければ、『証明責任』を果たしたかどうか、自由心証に基づき判決するでしょう。
・権利を主張する側が証明責任を負う(原告の場合が多い)。
・相手の権利を妨害規定・無効を争う場合は、主張された側が証明責任を負う(被告側が反対証拠を提示した場合など、原告が負う)。
その責任を果たせなかったほうが負けます。
ありがとうございます。
和解で言ったことは、そのまま変えることはできないのですか?
例えば、1000万の請求で100万で和解すると言って和解不成立で裁判が続く場合、あのとき100万って言ったじゃないか!というように後でなったりするのですか?
No.2
- 回答日時:
事実の認定は、口頭弁論に現れた全ての証拠および弁論の全趣旨を斟酌して裁判所(*)が自由な心証に基づき判断します(民事訴訟法247条)。
もし、どうしても判断が付かない場合には、証明責任の配分に従って、証明責任を負う側にとって不利益になるように事実を認定します。
(*)正確に言えば、裁判官あるいは判事ではありません。判事とは裁判官の官名の一つにすぎません。裁判官は判事以外にもいます。また、裁判官は裁判所に属して裁判権を行使する公務員の職名であり、判決を出す国家機関は裁判所というのが正確な言い方。
もう少し詳しく言うと、民事訴訟は講学上、
1.請求
2.法律上の主張
3.事実上の主張
4.立証
という風に4段階になっているモデルで考えます。
「請求」というのは例えば「金百万円払え」とか「甲土地を明渡せ」とかそういう内容で、まさに原告が判決を求めている内容そのもの。
「法律上の主張」とは、「請求」の根拠となる法律的な根拠。例えば「貸金返還請求権」とか「所有権に基づく土地明渡し請求権」とか。つまり、「請求を正当たらしめる法律的な根拠」のこと。
「事実上の主張」とは「法律上の主張」に該当する事実。例えば「いついつ100万円貸す契約をして現に100万円渡した」とか「甲土地は原告の所有である」「被告は甲土地を原告に無断で使っている」とかそういうこと。つまり、「請求を正当たらしめる法律的な根拠に該当する事実」のこと。
「立証」とは「事実上の主張」の存在を裏付ける資料により、事実上の主張が本当であるということを示すこと。例えば「金銭消費貸借契約書を出す」とか「甲土地の登記簿謄本出す」とか。つまり、「請求を正当たらしめる法律的な根拠に該当する事実の存在を示す資料を出す」こと。
そこで、当事者が口頭弁論で実際に何をするかと言えば、「事実上の主張」とその事実についての「立証」。つまり、「こういう事実がある」と主張し、「その事実が本当に存在するという証拠はこれ」という資料を出すということが訴訟活動の内容です。「法律上の主張」は当事者がしても構いませんが法律解釈は裁判所の職責ですから、裁判所は当事者の主張など「全く無視して勝手に解釈していい」です。「請求」は訴状に記載してあります。
そして、事実上の主張の存否、つまり、「当事者が主張する事実があったかなかったか」を裁判所が判断することを「事実の認定」と言います。裁判所はこの「事実の認定」により認定した事実を法律に当てはめて請求の当否を判断し、判決を書きます。
ここで、原告と被告がその事実上の主張を争っている場合には「証拠(調べの結果)」および「弁論の全趣旨」(簡単に言えば、口頭弁論全体を通した当事者の態度とか主張の仕方とか訴訟追行の仕方とかあらゆる情況)から裁判所は判断することになります。
もし、「証拠」と「弁論の全趣旨」をもっても事実の存否が判断できない場合には、その事実が存在することを立証しなければならない当事者(=証明責任を負う当事者)が「自己の主張を裏付けるに十分な証明活動ができなかったために不利益を受ける」、即ち、その当事者の主張する事実は「存在しない」という前提で判決を書くことになります。
なお、「証明責任の分配」は難解な部分なので省略します。
ちなみに「原告と被告がその存在を争っていない(=存在を両方が認めている)事実」は必ず「存在する」ものとしなければなりません。また「原告も被告も主張してない事実」は「存在しない」ものとしなければなりません。立証が必要なのは「原告または被告が主張し、且つ、原告と被告が争っている事実」についてだけです。
詳しく教えていただいてありがとうございます。
裁判官が一人だけでも、その地方裁判所でミーティングなどで他の裁判官の意見も聞いて判決がおりるということですか?
「法律上の主張」は原告が指定しなくても、裁判所が法律・規則・条例など調べてくれるということですか?
例えば、原告は1条を使っているけど、2条に当てはまると裁判所が思ったらそれを教えてくれるというような…
No.1
- 回答日時:
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