帝銀事件の本を、読んでいて詳しい方の、ご意見を伺いたくなりました。
刑事訴訟法に規定されている、公訴時効ではなく、刑法32条に規定されている、時効についての質問です。
死刑判決を受け、確定した場合、刑の執行を受けないまま30年経過した場合、時効となる。
となると、帝銀事件の平沢死刑囚は時効成立だったのでは?
(もっとも、これについては、死刑自体が絶命するその瞬間が刑の執行であるからとの理由で、棄却されているかと思いますが)
そうなると、この刑法の死刑の時効とは、一体どのようなものに適用される条文なのでしょうか??
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
No.4の者です。
丁寧なお返事をありがとうございます。投稿後、表現がややきつかったかもしれないと反省しておりましたので、ホッといたしました。
> 刑訴法と刑法とは、別の法律なのだから、同じ時効といってもその意味合いが違う。従って、比較すること自体が意味を成さないと解釈したほうがよろしいのでしょうか?
法律が異なるからというよりも、条文の趣旨が互いに異なるから、と捉えるほうがよいものと思います。法律の違いから直ちに条文の制度趣旨が導かれるものでもないからです。
また、趣旨が異なることを前提に比較することは、意味があるはずです(たとえば、趣旨が異なるから刑法の時効のほうが長く設定されている、と捉えることは、意味があると思います)。
> 立法論とは、どのような意味の言葉なのでしょうか?
立法論とは、現行法で欠いている規範や現行法と異なる規範を法にすべき(ではないか)、または、ある法について現行解釈と異なる解釈をすべき(ではないか)として唱えることだと考えます。
今回のケースでは、現行法の解釈たりうる最高裁判断が出ている(ことがNo.2のmorimaru47さんのご回答で明らかとなった)ところ、それと異なる解釈である「条文を素直に読むべし」を唱えれば、立法論になりうると考えられます。最高裁判断には、事実上の先例拘束性があるからです。
> 平沢裁判のような重大事件に、一民間人が参加すると言うことは無いのでしょうが、もし、仮に参加する機会に恵まれたとしたら、法律の専門家からすれば、的外れな、発言をしても良いものなのでしょうか?
この点については、No.5でken200707さんが詳しくまとめていらっしゃいますが、重大事件にこそ民間人に参加してもらいたいというのが裁判員制度の趣旨なので、裁判員制度が開始されれば重大裁判へ参加する機会に恵まれることとなります。また、被疑者・被告人を支援する会は、共通の理念を持っている一民間人の参加を歓迎するかと思います。
そして、これらの場では、法律の専門家は専門家ゆえややもすると柔軟な発想を欠いてしまうことがあるところ、これをほぐす民間人の発想は歓迎されるべきものです。
特に、裁判員制度の趣旨には裁判に民間人の風を取り入れるべしという考え方も含まれていますから、「的外れ」であっても構わないといえましょう(会議の場などでご経験のあることと思いますが、はじめ的外れと思われていた発言が実は的外れでなかった、ということもありますから)。
ご丁寧に、説明いただき感謝いたします。
興味本位での質問でしたが、勉強になります。
法の趣旨をまず理解すべきと言うことですね。
私自身は、建築関係の仕事をしており、そこで扱ういわゆる技術法とは違い、
法にいろいろの解釈があっても構わないと言う点、考えさせられました。
時間に余裕が出来たら、勉強したいと思います。
もし、裁判員として、指名されたなら、自分の考えを述べるべく、
常識??を身に付けたいと思っているところです。
ありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
“平沢裁判のような重大事件”所謂帝銀事件は
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律
第二条 (対象事件及び合議体の構成)地方裁判所は、次に掲げる事件については、...裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
一 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
刑法第百九十九条 (殺人) 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
により、対象事件に含まれます。よって第三条(対象事件からの除外)による決定が行われない限り、裁判員制度の対象となります(事件当時に本制度があったとしてですが)。
“法律の専門家からすれば、的外れな、発言”
第六十六条(評議) 第二条第一項の合議体における裁判員の関与する判断のための評議は、構成裁判官及び裁判員が行う。
2 裁判員は、前項の評議に出席し、意見を述べなければならない。
により、裁判員は意見(発言)を行う義務と権利を持ちます。
なお、
第四十一条 (請求による裁判員等の解任)検察官、被告人又は弁護人は、裁判所に対し、次の各号のいずれかに該当することを理由として裁判員又は補充裁判員の解任を請求することができる。
四 裁判員が、...第六十六条第二項に定める意見を述べる義務に違反し、引き続きその職務を行わせることが適当でないとき。
により、“意見を言わない”ことは解任理由の一つです。
但し、
3 裁判長は、必要と認めるときは、第一項の評議において、裁判員に対し、構成裁判官の合議による法令の解釈に係る判断及び訴訟手続に関する判断を示さなければならない。
4 裁判員は、前項の判断が示された場合には、これに従ってその職務を行わなければならない。
により、構成裁判官(のみ)の権限である
第六条(裁判官及び裁判員の権限)
一 法令の解釈に係る判断
が示された場合は、それに従わなければなりません。つまり、構成裁判官の合議によって“的外れ”と判断されれば、以降その意見(発言)を行うことは許されません。
その情況でなお、意見(発言)を繰り返すのであれば、
刑事訴訟法第二百八十八条
○2 裁判長は、被告人を在廷させるため、又は法廷の秩序を維持するため相当な処分をすることができる。
により“秩序維持”のため相当な処分や第四十一条(請求による裁判員等の解任)により解任される可能性があります。
しかし、法曹資格を有さない人に発言を促したり、判断を行わせるために、(当然法曹資格を有する)裁判長には
5 裁判長は、第一項の評議において、裁判員に対して必要な法令に関する説明を丁寧に行うとともに、評議を裁判員に分かりやすいものとなるように整理し、裁判員が発言する機会を十分に設けるなど、裁判員がその職責を十分に果たすことができるように配慮しなければならない。
の義務が課せられています。
No.4
- 回答日時:
> 刑訴法の死刑相当の時効が15年。
> 一方、死刑確定後に拘置所で過ごす30年。
> この差には、どうしても納得が行かないのです。
この点については、簡単には「制度趣旨が異なるから」という答えになります。
実体上刑罰が確定している者に対する刑罰の時効と、未確定の者に対する公訴提起の時効とを同列に並べて検討しようとするところに、無理があるのです。
> 私は条文を素直に読めば、時効成立ではないかと思うのです。
> でなければ、どうして平沢死刑囚は死刑執行されなかったのか?
> 歴代の法務大臣は、なぜ執行の許可をださなかったのか?
確かに文言解釈をすれば、そのように読めるといえます。しかし、最高裁は文言解釈をしなかったのですから、「条文を素直に読めば、時効成立ではないか」というのはもはや立法論であって、jirounonusさんの意見の表明となりましょう。
平沢死刑囚に対して執行の許可が出なかったのは、冤罪可能性や再審申立中など、様々な理由が考えられているようです。しかし、時効だからとする理由が考えられていたとは、寡聞にして聞いたことがありません。すなわち、jirounonusさんの独自説の可能性があります。
詳しいご説明ありがとうございます。
>体上刑罰が確定している者に対する刑罰の時効と、未確定の者に対する公訴提起の時効とを同列に並べて検討しようとするところに、無理があるのです。
つまり、刑訴法と刑法とは、別の法律なのだから、同じ時効といってもその意味合いが違う。従って、比較すること自体が意味を成さないと解釈したほうがよろしいのでしょうか?
>確かに文言解釈をすれば、そのように読めるといえます。しかし、最高裁は文言解釈をしなかったのですから、「条文を素直に読めば、時効成立ではないか」というのはもはや立法論であって、jirounonusさんの意見の表明となりましょう。
なるほど、このような解釈ということ自体が、私の意見表明となるのですね。そうか、そういうことか。。
お詳しそうなので、もし、お時間が有れば教えを請いたいのですが、
立法論とは、どのような意味の言葉なのでしょうか??
あと、考えていたら気になることが出てきてしまいました。
もし、よろしければ、ご意見をお伺いしたく存じます。
現在、裁判員制度のことが、盛んに議論されいます。
平沢裁判のような重大事件に、一民間人が参加すると言うことは無いのでしょうが、もし、仮に参加する機会に恵まれたとしたら、
法律の専門家からすれば、的外れな、発言をしても良いものなのでしょうか?
No.3
- 回答日時:
刑法
(時効の中断)
第三十四条 死刑、懲役、禁錮及び拘留の時効は、刑の言渡しを受けた者をその執行のために拘束することによって中断する。
つまり刑の執行を免れた者、脱獄した者に適応されるのではないでしょうか。
No.2
- 回答日時:
死刑の時効(刑法32条1号)をめぐっては、平沢死刑囚の釈放請求に対して最高裁の見解(昭和60年7月19日決定)が出ています。
それによると、「死刑の確定判決を受けた者が、その執行を待つために監獄に拘置されている場合は、死刑の時効は進行しない」とされています。
そうすると、死刑の判決が確定した後に死刑囚として拘置されず、その状態が30年続いたら時効が成立すると解されます。
これは、現実的にはありえないでしょう。
条文を素直に読めば、平沢死刑囚には死刑の時効が成立したと解釈できそうなのに、最高裁はこれを認めなかったのです。
参考URL:http://ch05411.kitaguni.tv/e237086.html
どうもありがとうございます。
私は条文を素直に読めば、時効成立ではないかと思うのです。
でなければ、どうして平沢死刑囚は死刑執行されなかったのか?
歴代の法務大臣は、なぜ執行の許可をださなかったのか?
と言う疑問に、ぶつかってしまうのです。
No.1
- 回答日時:
刑の言い渡し後に、逃走した場合が考えられると思います。
逃走で時効が停止してしまうとだめですが、停止しないという立場があるようです。この問題は殆ど考えられていないと思うので、通説的な立場はなさそうなので、立場があるというだけ一定の結論にはなると思います。
逃走の理由としては、司法(裁判所や刑務所)のミス、戦争、自然災害、革命などでしょうか。
非現実的な例としては、恩赦法改正で、刑の停止の効果を持つ恩赦が出来てそれが適用されるとか、考えてみましたがあまり良い例が思いつきません。
どうもありがとうございます。
その後、調べるいたら、言われるように逃走した場合に適用される。
とありました。
しかしです。
刑訴法の死刑相当の時効が15年。
一方、死刑確定後に拘置所で過ごす30年。
この差には、どうしても納得が行かないのです。
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