日本SF 創世記のことについて……
早川書房がSFをシリーズで確立する前に、元々社(東京元々社)が、空想科学小説全集と銘打って、15冊以上本をだしていますが、これらを翻訳した人々がどんな人だったのか、そして「その後」がサッパリわかりません。早川などに合流したのか、本職(?)にもどられたのか。
確かに訳文は悲惨で、私は「新しい人類スラン」を持っていますが、もう読むのが大変で、筒井康隆氏などは「買わなくてよろしい」とまで昨今おっしゃられたそうですが、なにか元々社の空想科学小説全集についての裏話、または文献などご存じでしたら、お教えください。
回答(2件)
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No.2ベストアンサー10pt
こんにちは
参考になるかどうかわかりませんが、最相葉月の「星新一」の伝記に、福島正実ほかSFの翻訳をしはじめた頃の記述があったように思います。
この回答へのお礼
いかにもありそうですね。今度さがしてみます。
No.1ベストアンサー20pt
こんにちわ
私も確か一冊持っていたはずなので探してみようとしたのですが、発掘が大変であきらめました。
さて、東京元々社と元々社の科学小説シリーズは
http://homepage1.nifty.com/ta/sf0/gen.htm#o2
によれば、刊行リストと訳者は下記のとおりですね。
【東京元々社「最新科学小説全集」】
『宇宙航路』 Return to Tomorrow ロン・ハバート(L. Ron Hubbard) Tr:尾浜惣一
『人形つかい』 The Puppet Masters ロバート・A・ハインライン(Robert A. Heinlein) Tr:石川信夫
『発狂した宇宙』 What Mad Universe フレドリック・ブラウン(Fredric Brown) Tr:佐藤俊彦
『海底の怪』 Out of the Deeps(The Kraken Wakes) ジョン・ウインダム(John Wyndham) Tr:国松文雄
『地球脱出記』 An Earth Gone Mad ロジャー・ディー(Roger Dee) Tr:山田純
『人工衛星物語』 Dark Domintion デヴィッド・ダンカン(David Duncan) Tr:野崎孝
『華氏四五一度』 Fahrenheit 451 レイ・ブラッドベリ(Ray Bradbury) Tr:南井慶二
『憑かれた人』 A Man Obsessed アラン・E・ナース(Alan E. Nourse) Tr:下島連
『人間の手がまだ触れない』 Untouched by Human Hands Etc. ロバート・シェクリイ(Robert Sheckley) Tr:松浦康有
『火星人記録』 The Matian Chronicles レイ・ブラッドベリ(Ray Bradbury) Tr:斎藤静江
『月世界植民地』 Earthlight アーサー・C・クラーク(Arthou C. Clarke) Tr:石川信夫/船津碇次郎
『新しい人類スラン』 Slan A・E・ヴァン・ヴォクト(A. E. van Vogt) Tr:尾浜惣一
『未来世界から来た男』 Man from Tomorrow(Wild Talent) ウィルスン・タッカー(Wilson Tucker) Tr:落合鳴彦
『脳波』 Brain Wave ポール・アンダースン(Poul Anderson) Tr:山田純
『百五十年後の革命』 Revolt in 2100 ロバート・A・ハインライン(Robert A. Heinlein) Tr:石川信夫
『地球の緑の丘』 The Green Hills of Earth ロバート・A・ハインライン(Robert A. Heinlein) Tr:大原竜子
『沈黙せる遊星』 Out of the Silent Planet C・S・ルイス(C. S. Lewis) Tr:大原竜子
『文明の仮面をはぐ』 The Big Jump レイ・ブラケット(Leigh Brackett) Tr:松浦康有
【元々社「宇宙科学小説シリーズ」】
『宇宙恐怖物語』 Science Fiction Terror Tales Ed:グルフ・コンクリン(Groff Conklin) Tr:下島連
『時間と空間の冒険』 Adventures in Time and Space F・マッコーマス(Francis McComas) & R・J・ヒーリイ(Raymond J. Healy) Tr:佐藤俊彦
この訳者の方々を検索して追ってみると、(以下敬称略)
尾浜惣一、国松文雄、山田純、松浦康有、斎藤静江、船津碇次郎、尾浜惣一、落合鳴彦、大原竜子、の皆さんは、他の訳出作品はヒットしませんでした(筆名を変えて翻訳活動をされておられるかどうかは不明)。
判った範囲では、元々社でのSF翻訳以降は
・石川信夫→エラリー・クイーンなどミステリ、スタインベックなど純文学も
・佐藤俊彦→岩波少年文庫、秋本書房ジュニアシリーズなど
・野崎孝→サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」、フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」など(現在でも名訳の評価高し)
・南井慶二→モーア「日米外交秘史」など政治/社会関連書籍やドキュメンタリの翻訳など
・下島連→トインビー「文明の発生」、J.F.ケネディ「勇気ある人々」など歴史/社会関連書籍の翻訳など
……と、SF以外の分野で活躍しておられたようです。
確かに元々社のシリーズは伝説的な悪訳とされているようですが、それは訳者の問題と言うよりも、時代的な制約が大きかったのではないでしょうか。現在でこそオカシイ訳文に見えますが、「SF」という略語もジャンルも存在しなかった1950年代ですから、創生期の時代ゆえの模索があったのではないかと思います。
(なお、「空想科学小説」という言葉は、元々社のシリーズがコケた後で、早川書房・SFマガジン初代編集長の故・福島正美氏が作ったかと思います)
そのあたりの模索と苦労については、創元推理文庫の生みの親・厚木淳氏が1963年に創元推理SF部門を創るにあたったころの苦労話として、インタビューの中で次のように語っていることからも伺えます。(1983/SFイズム誌)
「(前略)……ただね、SF部門始めるのに困ったのは訳者なんですよ。
その頃は、やっと推理小説の專門の翻訳家ってのの養成が終わったような感じでね。で、結局翻訳経験があるっていうことでその人たちにやってもらうことになる。しかし、その人たちはSFは嫌いだから全然読んでない。あるいは興味がない。中にはもう、とにかくSFだけは嫌だ、助けてくれ、という人もいましたよ。
SFってのは、推理小説以上に変な約東事がありますでしょ。たとえば「タイムマシン」って言葉は、そのまま“タイムマシン”でいいわけよね。“時間航行機”なんて訳す必要はない。それを訳してきちゃう人がいるわけですよ、几帳面に。
そういうとこにいろいろ、編集部としては気を配ったりしましたね。(後略)」
( http://www.princess.ne.jp/~erb/sf_izm.htm より )
以上ご参考までに。
この回答へのお礼
ここまでご丁寧に、あり画問うございます。横田氏の日本SF史方面の文献でも、またいろいろ読む限り、最初のSF全集、しかも作品のチョイスはよかったのに、という声が聞こえてくるばかりで(作品をチョイスした人はかなりのSF通だとおもうのですが)、創世記の苦労話、エピソードは聞こえてこないので、長年気にしていた次第です。
よく行く古書店で、全巻揃い、告知カラーポスターつき2万円とあったので、店主に「これ、月報もそろいですか?」と聞いたら「やなこときくなあ」と言われた次第で、なんか読んだら面白そう(確かに時代の制約はあったのでしょうが)という気持ちは多いにありました。新しい人類スラン、も「気持ちはわかる!」な、苦労しているのは感じたし、おそらくこれだけ続いたのだから、読みたい人にとっては干天の慈雨だったのだとおもいます。
ありがとうございました。
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