プロが教えるわが家の防犯対策術!

9条の改憲だとばかり言われるのですが、そっちは理念の問題として、それを実現するために、まず96条の改正を96条の規定で行うという考え方はかつてあったのでしょうか。

憲法第96条
改正に衆参両院の2/3以上の賛成で、国民投票で過半数の賛成が必要。
これを
改正に衆参両院の過半数賛成で、国民投票で過半数の賛成
とかに変える過程において、当然96条の規定に従う。

すると、改憲(別に9条だけでなくてもよい)現実味を帯びてくるのではないだろうか。

A 回答 (5件)

それは「日本国憲法は有効」という前提ですよね。

中には少数ながら日本国憲法無効論もあります。つまり、国家主権のなかった占領期に制定させられたから、そもそも無効ということです。

もし無効論を採用するのであれば、制定者である天皇による無効宣言で事足ります。

ただ、現実論として、日本国憲法は60年以上採用され、国民生活に完全に定着しており、現行の法体系はすべて日本国憲法を前提としてできていますので、直ちに無効というわけにいかないのも事実です。

もし無効論で改憲を行うのならば、無効を宣言した時点で大日本帝国憲法が復活するわけですので、改憲とは大日本帝国憲法の改正ということになります。

ちなみに、大日本帝国憲法の改正規定は次のようになっています。(第73条を簡略化)
1.勅命で発議
2.両議院(衆議院と貴族院)それぞれで出席議員の3分の2以上の賛成で改正実現(ただし、定足数は総議員の3分の2)

一方、日本国憲法の改正規定は次のようになっています。(第96条)
1.各議院(衆議院と参議院)の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議
2.国民投票で過半数の賛成
3.天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布

無効論における改正手順としては、次のようになります。ただし、大日本帝国憲法が規定する「勅令」「貴族院」は、現在は「政令」「参議院」に変わっていますので、置き換えるしかないでしょう。

1.混乱を最小限にするため、手続上はあくまで日本国憲法の規定を(途中まで)踏襲する。つまり、衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成の上、国民投票を実施する。
2.国民投票で可決されると、日本国憲法の規定では天皇が直ちに公布することになっていますが、ここから先を大日本帝国憲法の規定に沿う形にします。つまり、この段階で制定権者である天皇が「日本国憲法の無効を宣言する」と発するのです。そして、「大日本帝国憲法を復活し、次のように改正する」と発します。言ってみればこれが「勅令」です。
万一、現在では「勅令」という法形式は存在しないという批判に備え、別途同内容の「政令」を公布してもよいでしょう。

手続は以上です。大日本帝国憲法の規定による「2」(衆議院と貴族院の2/3以上の賛成)は、既に日本国憲法の規定による、両院の発議で終わっていると考えるのです。順番が逆になってしまいますが、混乱を最小限にするためですのでやむを得ません。

このようなやり方であっても、普通に日本国憲法の規定に沿った改正方法でも、改正内容は変わりません。しかし、法哲学上は全然意味が異なります。

占領期に押しつけられた憲法(本当は国際法上違法なんですよね)を是とするか否とするか。今はどっちでもいいですが、何十年、年百年後の我々の子孫のことを考えると、ここは重要な点だと思います。

あと、いつも思うのは、両議院の総議員の2/3以上の賛成というハードルの高さです。
最高法規である憲法ですから、過半数では危険という考え方もありますが、私が思うのは、最終的に国民投票にかけるわけですから、両議院(つまり国会)が発議した、たった1つの改正案の賛否を問うのではなく、各政党により主義主張が根本的に異なるのですから、国民投票には、各政党の改憲案を列挙し、どれが最も良いと思うかを投票してもらえばよいのではないでしょうか。つまり、例えばこんな風です。
1.憲法改正はしない(日本国憲法のまま)
2.大日本帝国憲法の内容に改正する
3.○○党の案に改正する
4.△△党の案に改正する

もし、無効論を前提にした場合の選択肢は、
1.憲法改正はしない(大日本帝国憲法が復活)
2.日本国憲法の内容に改正する(日本国憲法のまま)
3.○○党の案に改正する
4.△△党の案に改正する

という具合になるでしょう。

これだと、各党の案が盛り込まれているので、容易に2/3以上を確保できますし、自党の案が国民に受け入れられるかどうかも判別できますよね。

どうしてこうしないのだろうか?1案になんかまとまるわけがないだろう。絶対に反対する勢力が出てくるんだから、反対派の案も含めて国民に判断してもらえばいいじゃないか、といつも思うのです。

全くしあさってな持論を展開してしまいまして恐縮ですが、一つの考え方として、ご参考になさってください。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

大日本帝国憲法がこういうこと炉でまた復活するとは思ってもいませんでした。大変深慮にとんだご考察、勉強になりました。

お礼日時:2008/07/27 11:00

海外から見ると、日本の憲法議論というものには、そもそも根本的な矛盾がある、ということになります。



いくら憲法であるといっても、これは人のつくった法律であり、間違いもあるだろうし、時代の移り変わりにより変えたほうが国民にとって望ましいことが出てくると考えるのが「当然」。宗教の教義ですら、時代とともに変わっています。その憲法と関連法令に、改憲手続きが定められていないのは「不可解」。改憲議論をすると「右翼」と決め付けるのは、共産党政権がある(あった)旧ソ連とか、現在の中国とか北朝鮮とかベトナムですら、朝令暮改的に憲法に相当する法令を変えてきていることから考えても「理不尽」です。

96条を変える云々という発想でなく、96条を用いて憲法を変えることができるように制度を整えることが憲法をより完全なものにするための第一歩で、改憲すべきかどうかや、その内容をどうするかというのは、全く別の議論です。そのあたりをもう一度整理してほしいです。

ちなみに、現在の2/3のハードルを3/4にしたからといって、ワイマール憲法下のドイツは、ナチスとヒトラーの台頭をとめることはできなかったと思います。全員一致でなければ改憲できないのなら、日本は北朝鮮みたいな国になれ、と言っているのと同じです。このように、ハードルの高さの議論の意味は、あまり大きくないと思います。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

そうですね。ハードルの高さではなく、改憲する意味内容を検討しないことには何も始まりません。

お礼日時:2008/07/27 11:01

 96条の解釈そのものも、憲法論議の対象なんですよ。


たとえば「 国民投票で過半数の賛成 」は、投票者の
半数なのか、それとも有権者数の半数なのか、といった
議論で、憲法の講義ではわりとポピュラーな話題です。

 さらに「 憲法96条は改正の対象になりえるのか? 」
といった議論すらあります。なぜかというと、日本が
一党独裁の体制になり、憲法96条を改正できる素地が
揃ったとき、「 憲法96条はこれを廃止する 」と決議
してしまうと、それ以降に政治体制が変わっても憲法
改正ができなくなってしまうからです。

 だから、憲法96条改正の考えは、前述の問題を
クリアした先にあるので、現時点ではそのような
考え方は存在しない、もしくは実効性がないという
のがお答えになります。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

そうなんですか。知りませんでした。
あまり巷で96条のことは聞きませんので、どうかと思って質問しました。

お礼日時:2008/07/27 10:57

96条を先にいじる道筋は、9条改正が本丸の狙いと誰でも分るので、


猛反対を受けます。
いわばセットに捉えられるので、手段として疑問です。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

そうですね。おっしゃるとおりです。

お礼日時:2008/07/06 21:25

96条の改正案の質問者さんの案は、非常に、民主主義において危険な面があります。

今回のロシアの大統領選挙など、例にあげても解るように、単に2院の過半数を得た与党が存在すれば、いつでも、洗脳した国民投票で、改憲できることになり、独裁憲法化しやすい状況ですね。

私は、個人的には、96条は、いじらない方が、ベターだと思います。少なくとも、与党1党支配=自由に改憲発動できる、は、余りにも、危険です。現行法令ですら、強行採決で、1ヶ月だけ、ガソリン税を下げてみたりなど、訳のわからない、未熟な国会議員だらけなのですから。。本来、質問者さんの期待する案ですと、少なくとも、今のような、政治屋(政治家ではない)の集まりには、任せては、危険すぎませんか?

民主主義の基本は、少数意見を必ず尊重した多数決ってことで、過半数=なんでもできる、多数決では、ないのです。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

そうですね。おっしゃるとおりです。
実は、もっと強固な案にしてもいいと思っています(3/4の賛成とか)要は、なにか「この憲法の改正」をうたった条項をまず変える、そして狙いの条項に焦点を移すという政治的手法があるのかなと思ったしだいです。

お礼日時:2008/07/06 21:25

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!